第1話 出航と誕生
遅くなってしまい、すみませんでした。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕最南端 王家直轄領〔ノルドサーウ群島〕 ミルベル島
僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、ミルベル島での最後の朝を離宮の一室で迎えようとしていた。
コンコンコン
と扉をノックする音が聞こえてきて、僕はそれで目を覚まし、少し体を伸ばしながら眠気を覚ましながら、こう返答した。
「起きているよ、入ってきてかまないよ。」
そういい終わると部屋の扉が開き、第一王子付きの侍女であるミーナが、入ってきた。
「おはようございます、殿下。」
ミーナは、僕にそう挨拶をすると部屋に備え付けられている洗面所へと向かい、桶に水を入れ、さらにコップにも水を入れると、腕にタオルをかけて僕が洗面所にやってくるのを待った。
僕は、それを見ながらもう一度大きく体を伸ばして凝り固まった筋肉を弛緩させるとベットから出て洗面所に向かった。
洗面所に到着すると、まず桶に組まれた水で顔を3回洗い、次にコップに汲まれていた水で、2回口を濯ぐと、ミーナからタオルを受け取り、顔の水気を全て拭いたのであった。
それを確認したミーナは、僕が身に着ける下着を取り出すと、こう尋ねてきた。
「殿下、今日のお召し物はどのようなものになさいますか?」
僕は、そう聞かれて、こう答えた。
「今日は、船に乗るから明るい色の服がいいかな。」
それを聞いたミーナは、「畏まりました。」と言って部屋に備え付けのクローゼットを開けると僕が王都から持ってきた服で、明るい色の服を選び、ベットの上に置いてくれた。
僕は、洗面所からベットの方へと戻り、着ていたパジャマを脱ぐと、ミーナが用意してくれた下着と服に手早く着替えると、椅子に座ってミーナに髪を整えてもらい、その後、お爺様たちが待っている食堂へと向かったのであった。
お爺様たちと朝食を取った後、僕は一旦部屋へと戻り、最後に残っていた荷造りを始めた。
ミーナと他の侍女たちと一緒に行ったので、1時間ぐらいで終わり、後は、正午に出航することになっている王家専用艦「ノルドイリルストリア」に乗船するだけとなっていた。
すると廊下からリウム先生の声が聞こえてきた。
「エギル殿下、出発の時間ですよ。」
その声を聴いて僕は、「はい。」と返事を返した。それを受けてミーナから手荷物を受け取ると、僕は部屋を出で、リウム先生に合流すると、離宮の外へと向かい馬車に乗り込み、港へと向かったのであった。
そして港に到着すると、船へと乗り込み、出航の時間を待ったのであった。
〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマー〕 後宮 談話室
私ことマリアンヌ・フォン=カルティア=ノルドは、談話室においてお慕い申し上げる我が夫でありこの国の国王であるアランディア・フォン=フェニア=ノルド陛下と、私と同じく王妃にして私の親友でもあるステラ・フォン=ルドリア=ノルドと一緒に子供たちと共にお茶会を開いていました。
「アリベル、もう少し音を立てずに飲みなさい。」
ステラが、娘であるアリベル・フォン=ロアス=ノルドに紅茶のマナーを指摘していました。
それを聞いたアリベルは、「は~い。」と返事をすると先生に教えてもらっているマナー通りに紅茶を飲みだしました。
私が、その様子を見ているとお腹をポンポンと叩かれました。何かと思い、下を見てみると私と陛下の娘の一人でこの国の第二王女である、クリスティーナ・フォン=ハニーラ=ノルドが、私と紅茶が入ってるカップを交互に見つめていたのでした。
「クリスには、まだ苦いわよ。」
と私が言うとクリスは、物凄い嫌な顔をすると、私のお腹に頭を押し当ててグリグリとしてきたのでした。
するともう一人の娘である、マリーア・フォン=イーニス=ノルドが、姉であるクリスの真似をして私のお腹を同じくグリグリとしてきたのであった。
私は、これ以上お腹を押されるのは、だめだと思い二人にこう告げたのであった。
「じゃ、少しだけ紅茶を飲みましょうか。」
そう言うと二人は、パッとお腹を押すのをやめ、クルリと反対を向くと私の膝に乗ってきたのであった。
私は、侍女に二人の紅茶を蜂蜜抜きで入れるように頼むと、二人の髪を整えながら出来上がるのを待った。
侍女は、手早く新たな紅茶を作ると子供たちが飲める量を子供用のカップに移すと二人の前に置いたのであった。
二人は、それを持ち上げるとカップに息をフーフーとかけながら、慎重に飲みだしたのであった。
するとすぐに「苦いよ」という顔を、したのであった。
それを見た陛下は、「ハハハ」と笑うと娘たちの頭を優しくなでたのであった。
そんな笑いに包まれた談話室の扉が叩かれたのであった。すぐに扉の横に控えていた侍女が、扉を少し開け、誰がやってきたのか確認すると、すぐに私たちのもとへとやってきて訪問者を告げたのであった。
「陛下、第三王妃陛下付きの侍女が、手紙を持って扉の前に来ております。」
それを聞いた陛下は、「分かった、呼んでくれ」と侍女に言った。それを受けた侍女は、再びドアの方へと戻ると廊下に待機させていた侍女を中に招き入れたのであった。
招き入れられた侍女は、陛下の前に立つと礼をして手紙を陛下に差し、こう告げた。
「ステファニー王妃陛下からのお手紙でございます。」
陛下は、その言葉を聞いて手紙を受け取ると、中身を確認し、持ってきた侍女にこう告げた。
「ファニーに伝えてくれ、おめでとう、よくやったと。」
そう言付けられた侍女は、「はっ、分かりました。」と言って陛下に礼をすると談話室を退室していった。
それを見届けた陛下は、私たちにこう告げたのであった。
「ステファニーが、昨日子供を産んだ。男の子だ。第二王子の誕生だよ。」
それを聞いた私とステラは、まだ知る由もなかった、この王子が、エギルと対立する事になり、この国に諍いが発生することを。
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