第50話 揚陸と突撃
遅くなってしまい、すみませんでした。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕東部 王家直轄領〔モールトタイス〕 平原
ズ、ザ、ザ、ザ、ザアー。
重い物が、川岸の砂を擦る音が、響いた。その音の正体は、王国海軍の揚陸艇が、岸に乗り上げたことで、起こった音であった。
ガッチャン ズゥーン
そして再び、重い物が外れる音と、その重い物が川岸に落ちる音が、聞こえて来た。その音は、揚陸艇の前の扉が、開き、その扉が、川岸に落ちた音である。そしてその扉を板代わりに踏みしめる足音が、響き渡り、海兵隊員たちが、上陸を開始した。
上陸をした海兵隊員たちは、前もって指定された場所まで、小走りで向かい、平原に印が、打たれたその場所に着くと、点呼を取って全員が居るかを確認すると、部隊を3つのグループに分けて、何かの作業を開始したのであった。
その作業を終える頃、前線指揮官を拝命しているユーリナタス公爵の命で、元〔ドルパース伯爵領〕の囲みを解き、転戦してきた貴族連合軍が、合流したのであった。
〔デイ・ノルド王国〕東部 王家直轄領〔モールトタイス〕 平原 天幕
「どうやら、最初の賭けには、勝利した様だ。」
私ことデオルード・フォン・ユーリナタスは、集まった貴族たちを前にこう言った。するとその貴族たちを束ねる役目を負っている、デノスタイア伯爵が、こう問いかけて来た。
「公爵閣下、賭けとは、どういう事ですか?」
私は、それを聞かれて、こう返答した。
「私は、2つの可能性を考えた。一つは、反乱軍が、元〔ドルパース伯爵領〕内で戦いを選ぶ場合、もう一つは、元〔ドルパース伯爵領〕の包囲を突破して、戦いを行うかと言う場合の二通りの選択肢を想定していた。」
それを聞いた他の貴族たちも「確かに。」と言い、デノスタイア伯爵も、「そうですな。戦の常道からすれば」と同意を示してくれた。
私は、その言葉を受けて、こう続けた。
「だが私は、最初の選択肢を考慮に入れずに、後の選択肢での作戦行動を計画した。」
それを聞いた貴族たちは、「なんと、無茶な。」と言って来た。私も無茶であるとは百も承知であると思いながら、その根拠を彼らに説明した。
「私が、後の選択肢を取った理由は、威力偵察の結果からだ。」
私は、そう言ってエギルたちが、収集してくれた偵察結果を貴族たちに見せ、そしてこう続けた。
「奴らにとって占拠地を荒されるのは、大きな痛手だ。特に大きな見返りを要求されている場合は、特にその傾向が強まる。そしてそれは、偵察結果からも明らかだ。異論が、あるれば聞こう。」
それを聞いたデノスタイア伯爵は、「確かに、その通りですな。」と発言した。他の貴族たちも、同じような結論にたどり着いたようで、皆、納得が行ったという顔をしていた。私は、そんな貴族たちの顔を見ながら、こう述べた。
「そして我らの方が、奴らよりも先にこの場所に到着した。その為私は、賭けに勝ったといったのだ。」
それを聞いた貴族たちは、「はっ、納得いたしました。」と言ったのであった。その後、私と貴族たちは、部隊の配置や、攻撃の順序などを話し合い、会議は、進めて行った。
そして私は、彼らにこう言って会議を終わらせたのであった。
「では、明日の戦いでの、貴卿らの奮戦、期待する。」
「はっ。」
それを受けた貴族たちの大合唱が、響いたのであった。
〔デイ・ノルド王国〕東部 王家直轄領〔モールトタイス〕 平原から離れた森
「ボス、やはり王国軍が、やって来ていました。」
その報告を部下から受けた、盗賊の男は、「くそ。」と悪態をつきながら、乗っている馬の進む方向を変えて、少し離れたところで待機をしているタルドマン・フォン・ドルパースの元へと戻ったのであった。
タルドマンは、戻って来た男を見ると、こう声をかけて来た。
「どうだった?」
それを受けた盗賊の男は、こう返答した。
「良くねーな、今の所賭けに負けているぜ、大将。」
それを聞いたタルドマンは、「そうか。」と言うと、少し何かを考え出した。しばらくして考えがまとまったのか、こう盗賊の男に問いかけた。
「突っ切ることは、出来ると思うか?」
それを聞いた盗賊の男は、「ハハハ。」と笑いながらこう返した。
「おい、大将。本気か、死にに行くようなもんだぞ。」
そう返されたタルドマンは、こう返した。
「生き残るためには、この方法しかない。王国の奴らにアッと言わせてやるのさ。」
それを聞いた盗賊の男は、ニヤッと笑うと、こう返した。
「いいぜ、大将。気に入った。俺も生き残りたいからな。その賭け乗ってやるよ。」
そうして彼らは、反乱軍を迎え撃つ準備が整った、平原に突撃をかける準備を開始したのであった。
そして翌朝、朝靄が立ち込める平原に、角笛の音が、木霊したのであった。
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