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第46話 帰還と憤怒

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕 集合地点


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、一緒に潜入していた「第二十一武装偵察小隊」の隊長率いる潜入班と共に作戦開始前に決めておいた集合地点へと向かっていた。

作戦前に調達しておいた馬車に乗り込み、街道を走っている状態である。


「隊長、叔父上達はもう到着しているかな?」


 僕が、小隊長に問うと、彼は、こう返してきた。


「いえ、集合地点までは、かなりの距離があります。更に王弟殿下達が、我らより後に出発していると思われるので、先にこちらが到着すると思われます。」


 僕は、それを聞いて「うん、分かった。」と言うと、続けてこう言った。


「何事も、なければいいけどね。」


 それを聞いた小隊長は、こう返してきた。


「はい、ですが備えを怠る訳には行きません。」


 そう言って小隊長は、魔導通信機を取り出して、何処かと連絡を取り、馬車のスピードをほんの少し速めたのであった。

しばらく走っていると、後ろの幌付きの荷台に乗っていた隊員が、顔を出して小隊長にこう言って来た。


「隊長、どうやら敵が、来ている様です。」


 それを聞いた隊長は、少し考える素振りを見せると、直ぐに命令を下した。


「射撃体勢、用意。各員、射撃を許可する。単発で確実に仕留めろ。」


 それを聞いた隊員は、「了解。」と言いながら荷台の後方へと戻っていきながら、魔銃のレバーを引いて弾を込めたのであった。

そして他の隊員たちも同じように魔銃に弾を込めると、腹這いになって構えたり、中腰になって構えたりしながら、敵が、近づいてくるのを待った。

すると敵の方から火矢が、飛んできた。それを確認した隊員たちは、魔銃の引き金を引いた。


 パン パン パン パン パン パン


 魔銃から放たれた銃弾は、敵の先頭を率いている馬と人物に当たり、馬は、撃たれたことにより、バランスを崩して転び、乗っていた人物も銃弾をこめかみに受けた絶命し、道に倒れてしまった。

すると後方から続いていた敵の馬が、それを回避しようとしたが、バランスを崩してしまい、倒れ、馬上にいた人物は、落馬してしまったのであった。

その間にも隊員たちの射撃は続き、敵は、その銃弾の餌食になっていった。

暫く戦闘を続けながら走っていると目の前に橋が見えて来た。この橋は、集合地点へと向かうルートの一つに掛かっている橋であった。

小隊長は、それを確認すると、荷台の後方で戦闘している隊員たちに新たな命令を伝えた。


「爆弾よーい。橋の真ん中に落とせ。起爆は、十秒。」


 それを聞いた隊員の一人が、射撃を止め、持っていた爆弾をセットしだした。そして馬車は、橋へと入り、橋の真ん中までやってくると、小隊長が、命じた。


「投下。」


 その声と共に導火線に火が点いた爆弾が、橋の真ん中に落とされた。小隊長は、命令した瞬間に馬車のスピードを上げて橋を通過したのであった。

それから五秒ぐらいがして後方で、轟音が鳴り響いた。


 ドッカーン


 僕は、爆発音の後、御者台から後ろの荷台に移ると、石造りの橋が、真ん中あたりで燃えていたのであった。

それを確認した小隊長は、再び馬車を走らせたのであった。その後、追撃してくる敵はいなくなった為、無事に集合地点へとたどり着いたのであった。

集合地点には、すでに叔父上たちが到着しており、僕たちを待っていた。

それを見た小隊長は、自分の予測が外れた事を恥ずかしがったのであった。その姿を見た隊員たちは、大爆笑に包まれたのであった。


 しばらくして笑いが収まった隊員たちは、小隊長に詫びを入れた。小隊長は、その詫びを受け入れ、再び彼らにこう命じた。


「よし、帰るぞ。」


 それを聞いた隊員たちも「おう。」と言って頷いたのであった。そして集合地点のから数分行ったところにメルソニス川が流れていた。

そしてメルソニス川の川岸に重武装の船が二台停泊していた。すると武装船から人が、降りて来て僕たちの方に来ると敬礼をしてこう言った。


「初めて御意を得ます。私は、王国海軍大尉、ネルメロ・タールマンであります。皆様をお迎えに挙がりました。」


 僕たちも、答礼をしながら自己紹介をした。先ほど小隊長が、連絡を取っていたのは、ネルメロ大尉であった。

大尉に到着時間と、もしもの時の支援を要請していたのであった。

自己紹介の後、僕たちは、大尉が率いている二艘の船に分乗すると、メルソニス川の河口で待機している強襲揚陸戦闘艦「ダザルベス」に向かったのであった。






 「デイ・ノルド王国」東部 元〔ドルパース伯爵領〕 領都〔マーリ〕 領主館


「この、無能者どもがぁぁぁぁー。」


 朝となりようやく領主館の裏にある山の砦から戻って来たタルドマン・フォン・ドルパースは、領主館の煤けてしまった姿と、何者かに侵入され、重要な書類を持ち出されてしまった事、更にはその犯人を捕らえることが出来なかったばかりではなく、逆に撃退されてしまったという報告を聞いて、部下たちに罵声を浴びせていたのであった。

罵声を浴びせられている部下たちも、嵐が過ぎ去るのをただ待っていると執務室のドアが、開き、からかう声が、聞こえて来た。


「いやはや、派手にやられたな。どうするんだ、大将よ。」


 その人物を見たタルドマンは、憤怒の表情になると、こう言った。


「貴様、今まで何をしていた? こんな大事な時に何処へ行っていた。」


 そう詰め寄られた男は、平然とした顔で、こう言い放った。


「フン、大将の為に武器と人を集めていたんだよ。どうやらそいつらは、大将の期待に沿えなかった様だな。俺だったら、そんな無様な失敗は、しない。」


 そう言い切った男にタルドマンは、こう言った。


「ほう、そんなに言うのならやってみろ、ただし失敗は、一つも許さんぞ、覚悟しておけ。」


 そう言われた男は、「へいへい。」と言いながら、執務室から出て行ったのであった。その態度が、癪に障ったタルドマンは、復もや憤怒の表情になったのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。


明日の投稿につきましては、後ほど活動報告に挙げさせていただきます。

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