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第44話 一穴と設置

遅くなってしまい、すみませんでした。


どうぞ、お読みください。

 タルドマン・フォン・ドルパースが、砦に避難する数時間前。


 〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕 領都〔マーリ〕 中心部


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、一緒に行動している「第二十一武装偵察小隊」に所属している三人の隊員たちと共に、農民の格好をして中央部の市場へと向かっていた。

市場に到着すると僕たちは、集合する時間を決め、それぞれの用事を完了させに動き出した。

僕は、市場の近くで遊んでいる子供たちへと近づいて行った。


「こんにちは。ねぇ、何しているの?」


 そう遊んでいる子供たちに声をかけると、子供たちは少しびっくりした様子ではあったが、こう返してきた。


「こんにちは、今、ボールで遊んでいるんだけど、君は、何処の子?」


 僕は、ガル叔父上から聞かされていた村の名前を思い出して、こう返した。


「僕は、エギル。スールベリオ村から大人たちと一緒に来たんだ。」


 すると僕に質問してきた子が、こう言って来た。


「僕は、イスネ。この〔マーリ〕に住んでいるよ。よろしく、エギル。」


 そう言い終えると、他の子供たちも僕に挨拶と自己紹介をしてくれて、僕を、ボール遊びに加えてくれたのであった。

そして少し時間が立った頃、イスネが、こんな事を言って来た。


「ねぇ、エギル。これから皆で領主館に入るんだけど一緒に行かない?」


 僕は、それを聞いてこれからやろうとしている事の役に立つと考え、イスネにこう返した。


「うん、いいよ。だけどそこで待っている村の大人たちに話さないといけないけどね。」


 そう言って市場の方を指差したのであった。指差した先を見た子供たちは、変装した偵察隊員たちを見たのであった。

隊員たちを見たイスネは、「それじゃ、言ってきて。待ってるから。」と言ってくれたので僕は、隊員たちの方へと向かい、その事を書いた紙を素早く渡し、許可をもらってくると子供たちの方へと戻りこう言った。


「それじゃ、行こうか。」


 それを聞いた子供たちは、「うん。」と言って歩き出したのであった。それを見て僕も歩き出し、領主館の方へと向かったのであった。

しばらく歩くと領主館の裏手に到着した。するとイスネが、地面にしゃがみ込むと何かを探し始めた。

そして探し始める事数分、目的のモノが見つかったのか、「よいしょ。」と言う掛け声とともに木の板を持って立ち上がったのであった。

するとイスネが、探していた場所にぽっかりと壁に腹這いになった大人が一人通れそうな穴が、開いていた。

イスネは、木を壁の脇に置くと今度は、地面に腹這いになるとその穴の中に入って行った。

すると穴の向こうからイスネの声が聞こえて来てこう言って来た。


「よし、大丈夫だ。エギル、来いよ。」


 そう言われて僕も、地面に腹這いになると穴へと入り、領主館へと侵入したのであった。

他の子供たちも、僕の後に続いて入ってきて、それを見届けたイスネは、こう言った。


「よし、ボールを見つけるぞ。」


 そう宣言すると子供たちは、庭の草むらの中を探し始めた。そして直ぐに声が、上がった。


「在ったよ、ボール。」


 子供たちの一人が、声を上げた。その声を聴いたイスネは、そのボールを直ぐに回収するとこう言った。


「よし、逃げるよ。」


 そう言って入って来た穴から一人ずつ出て行き、そして僕とイスネも出で行くことに成功したのであった。

そしてイスネは、退けておいた木の板を穴の前に置きなおし、僕たちは、その場を離れ、市場へと戻ったのであった。

そして市場に戻った僕は、イスネ達に別れを告げて、隊員たちと合流すると、隠れ家へと帰還したのであった。


 隠れ家に帰還した僕たちは、領主館の裏手の壁に腹這いになった大人が、一人通れる穴が開いていると報告をした。

その報告を受けてガル叔父上の組が、夕方になって領主館へと向かい、発火装置の設置と市場で買った油を館の燃えやすい場所に捲きに行ったのであった。


 そして街中が寝静まったことを確認した僕たちは、隠れ家から領主館の裏手に向かい、発火装置のスイッチを入れたのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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