第41話 準備と出航
遅くなってしまい、すみませんでした。
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〔デイ・ノルド王国〕 とある場所 円卓の部屋
半仮面の男が、とある目的の為の行動を開始すると宣言し、それを聞いた半仮面の男の部下たちが、了解な声を上げ、その準備の為の話し合いを行なおうとし始めた時、部下の一人が手を上げて、ボスである半仮面の男に話しかけた。
「ボス、すみません、質問が有るのですが、よろしいでしょうか?」
それを聞いた半仮面の男は、その部下に対してこう返した。
「構わないよ、サーソテ。何かな?」
それを受けたサーソテと呼ばれた部下は、立ち上がり、こうボスである半仮面の質問したのであった。
「ボス、本来の計画ではもう少し後になってから行動を起こす事になっていました。ですが本来の予定よりも早く行動を起こす事になります。何故、急に早まったのですか?」
そう聞かれた半仮面の男は、椅子の後ろに控えている黒いローブを纏った人物に視線を向けた。
そしてその人物に対して首を縦に振って、発言を促したのであった。それを受けた黒いローブの男は、前に一歩進むと話し始めた。
「私からその疑問にお答えしましょう。」
それを聞いたサーソテと呼ばれた男は、不快な表情をしてこう返した。
「貴様が、答えるだと。」
それを聞いた黒いローブの人物は、「はい。」と言って理由を説明しだしたのであった。
「今回、行動の開始を早めるようボスに進言いたしましたのは、私でございます。その為、私が、説明いたすのが筋というもの。」
そう言い終わると黒いローブの人物は、息を整えて、再び話し始めた。
「計画を早めた理由は、2つございます。一つは、今の状態であっても十分に利益を確保することが出来ると言う事です。東部での反乱は、順調に進んでいますので。」
そう言って言葉を切ると、円卓に腰掛けている人たちをぐるりと見渡すと、三度話し始めた。
「もう一つの理由は、交渉材料を手に入れることが、出来なかった為です。」
それを聞いたサーソテは、「何?」と言ってこう言い募った。
「どういう事だ、相手の様子を監視していたのに、何故そう言う事になっている。」
そう問い質された、黒いローブの人物は、こう返答した。
「情報屋が、捕まり私が、彼に持たせた装置が、彼らの手に渡ったことを確認し、捕獲の為のチームを送り込みましたが、対象に伸されてしまったのですよ。いやはや強いとは聞いていましたが、ここまでとは予想外でした。」
そう言うと「ハハハハ」っと言って、笑い出した。それを聞いたサーソテは、「何が、可笑しい、問題だぞ。」と言って、語気を荒げ椅子から立ち上がった。しかし黒いローブの人物は、平然とこう言ったのであった。
「何も問題は、有りません。元々この誘拐自体、交渉材料を多く持っておくべきと言う安全策の為です。この策が、成功できなかったからと言って計画自体には、何の影響もありません。そして先ほども申した通り、我々の協力者が、よく働いてくれたおかげで、我々の計画は、上手く行っているのですから。」
そう言い終えると黒いローブの人物は、ボスである半仮面の男の後ろに下がったのであった。
それを受けて半仮面の男は、サーソテにこう言った。
「これが、計画を早めた理由だ。質問は、ないな。」
そう言われたサーソテは、不満があると言う顔をしながらも、こう言って椅子に座り直したのであった。
「ボスが、そう言うならば従います。」
それを見た半仮面の男は、「うむ。」と頷いて、円卓に座っているメンバーたちに立ち上がりながら、こう言った。
「改めて行動の開始を、宣言する。諸君、準備に掛かってくれ。本日は、ここまで解散。」
そう言い終えると半仮面の男は、黒いローブの人物を伴い、入って来たドアへと向かったのであった。
そしてボスたちが、部屋から出て行くのを見届けたメンバーたちは、各々がやるべき事をする為に、その場を辞していったのであった。
〔デイ・ノルド王国〕最南端 王家直轄領〔ノルドサーウ群島〕 ミルベル島
僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、謎の襲撃者からの攻撃を何とか躱し、その襲撃者を撃退した後、部屋に戻って一休みすると、リウム先生と近衛騎士たちが、調査した結果を聞いて、お爺様から号令を受け、その準備に入っていた。
「殿下、此方の刀は、どういたしましょう?」
僕付きの侍女であるミーナが、鞘に納められている刀を持って僕に示しながら、こう聞いてきた。
僕は、その刀を見てこう答えた。
「今回は、装備をちゃんと整えるべきだと思ってる、だからそれも持っていくよ。」
それを受けたミーナは、「かしこまりました。」と言って、持っていく物を並べている場所に置いたのであった。
僕は、その置かれている物を「無限収納」に入れながら、ミーナにこう尋ねた。
「ミーナは、今回の行われることに僕が、参加することをどう思っているの?」
するとミーナは、こう返してきた。
「殿下、私は侍女でございます。侍女とは、殿下がなさりたい事をサポートするのが、本文でございます。殿下が、やると決めたことに口出しは致しません。ですが、もう一人の姉として心配でございます。ただ、私も貴族の娘でございます。貴族の義務を果たす事こそ民と国の為になると信じてあります。ですから殿下も、お心のままにおやりくださいませ。」
それを聞いて僕は、「うん、分かった。」と言って荷造りを再開したのであった。
そして荷造りなどの準備を整え僕は、今回の計画に参加するガル叔父上、シルビア叔母上さらにリウム先生と離宮のエントランスで合流すると、お爺様たちに一旦別れを告げて、ミルベル島の埠頭にやって来ていた海軍の連絡艇に乗船すると沖合に停泊している海軍の艦に向かったのであった。
そして連絡艇からその艦に乗り込むと、艦長から歓迎を受け、艦内のそれぞれに割り当てられた部屋へと案内されると、僕は、荷物を置いて、とある人物が待っている部屋へと水兵に案内してもらいながら向かったのであった。
そしてその部屋に着くと水兵が、扉をノックしてこう言った。
「エギル殿下、御到着でございます。」
すると部屋の名から「入れ。」と言う声が聞こえて来た。水兵は、それに従い扉を開け、僕に入る様に促した。
僕は、それを受けて部屋に入ると、声の主にこう言った。
「ユーリナタス公爵、今回の計画に参加していただき、王家の一員として御礼申し上げます。」
僕が、そう言うと、デオルード伯父上は、こう返答した。
「何の殿下、王家を支えるのが、公爵の役割でございます。こうして殿下と共に戦えることをうれしく思います。」
そう言い合うと僕たちは、握手を交わして部屋に置かれた机に着席すると、艦橋で指揮を執っている艦長に通信機で、出発をする様に告げたのであった。
僕たちの指示を受けた艦長は、抜錨を指示し、〔ノルドサーウ群島〕の沖合を離れたのであった。
そして艦は、一路王国東部へと向かって艦足を進めだしたのであった。
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