第40話 結果と開始
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〔デイ・ノルド王国〕最南端 王家直轄領〔ノルドサーウ群島〕 ミルベル島
私ことガーベリウム・フォン・ノグランシアは、私の教え子でありこの〔デイ・ノルド王国〕の第一王子殿下であるエギル・フォン=パラン=ノルドを、迎えにやって来た侍女のミーナ殿に預けて、先程私たちを襲撃した者たちが出現した魔導装置の残骸を調べるため砂浜へと向かった。
砂浜に到着すると近衛騎士たちが、残骸の回収作業に勤しんでいた。私も早速その回収作業に加わった。
しばらくして魔導装置の殆どの部品は、回収することが出来たが、肝心のコアである魔石が回収されていなかった。
近衛騎士たちに確認すると、コアの発見を最優先で行いながら残骸を集めたが、全く発見できなかったと返答された。
私は、装置の残骸が置かれている机に立てかけていた杖を取り、再び砂浜へと向かった。砂浜に到着した私は、杖をかざしてとある魔法を詠唱しだした。
「集まれ、魔の力、固まれ、魔の気配、我の、手元へ、来たれ、魔石収集<コレクションソーサリーストーン>」
詠唱を終えた私は、杖を砂浜に突き刺した。すると砂浜のいくつかの場所が盛り上がると魔石が砂の中から現れ、私の差し出した手に集まった。
私は、その集まった魔石に探索の魔術を使い表面になにか刻まれていないか確認を行った。
そうすると集まった魔石の表面に魔導文字が、書かれていること発見した。
私は、それを騎士たちが集まっている部屋へと運び、彼らと協力して情報屋の男が、持ち運んでいた魔導通信機を復元したのであった。
そして復元したコアの魔石に刻まれた魔導文字を解読し、どういった原理で転移のゲートを構築したのかを発見した。
そして尋問によって得られた情報と、今回の調査結果、そして今東部地域において起こっている反乱の調査などの結果をエギル殿下たちに伝えたのであった。
その報告の席上において先王陛下が、私たちを労たった後、こう宣言為された。
「この場において現国王の名代たる使節団代表マルトス・フォン=グロード=ノルドが、宣言する、直ちに東部に出現した賊徒共を討滅し、首謀者たる者たちを裁きの場に引きずり出せ。」
それを聞いた私たちは、「はっ。」と了解の意味を示したのであった。
一方その頃、とある場所において。
ここは、〔デイ・ノルド王国〕のとある町である。その町の通りを身なりの良い男が、歩いていた。
その男は、服の内ポケットにしまっている懐中時計を取り出して時間を確認すると少し焦った表情になった。
そして歩くスピードを少し上げ、どこかへと向かいだした。
そしてしばらく通りを進んで行き、路地裏に通じている道へと進むと、そこにある酒場屋へと入っていた。
酒場に入ると男は、店主が接客をしているバーカウンターに近づいて、店主にこう話しかけた。
「エールとナッツは、入っているか。」
そう言われた店主は、こう返答した。
「二の六に置いてあるよ。」
それを聞いた男は、「そうか、ありがとう。」と言うと酒場の二階へと登る階段へと向かったのであった。
二階に到着すると男は、六号と書かれた板が架けられている部屋へと入ると、その部屋のクローゼットを開け、そのクローゼットの板に手を当てた。
その手に当てた場所から光を走り始め、クローゼットの板に魔法陣が浮かび上がると、その男は、魔方陣が浮かび上がった板へと体を預けたのであった。
すると男の身体は、魔方陣に吸い込まれていき、その部屋には、誰も居なくなったのであった。
酒場にあった魔法陣から転移した男は、王国のとある場所へと出現していた。その場所は、非常に豪華な作りが為されている部屋で、男が現れた場所から少し歩いた場所に大きな円卓が置かれていた。
その円卓には、数人の人間が座っており、何かが始まるのを待っていた。身なりの良い男は、その場へと向かい指定されている椅子に腰掛けた。
それに気付いた他の参加者が、彼に声をかけた。
「モークス、君にしては遅かったな。何かあったのか?」
モークスと呼ばれた身なりの良い男は、話しかけた男に対してこう返した。
「いや、ネービス。すこし表の仕事がごたついてね、その処理に時間を取られてしまっただけだよ。」
それを受けたネービスと呼ばれた男は、「そうか。それは大変だったな。」と言ってこの話を打ち切った。
するとモークスの隣に座っている女性から声をかけられた。
「ねえ、モークスは、今回の集りの目的って聞いている?」
そう尋ねられたモークスは、その女性に対してこう返した。
「いや、何も聞いていないよ。ルーメロ。」
ルーメロと呼ばれた女性は、その答えに「そう。」と返答するとこう続けた。
「ボスと親しい貴方が、何も聞いていないと言う事は、今回の招集は、あいつの差し金ね。」
それが聞こえていたのかルーメロの座っている椅子から少し離れた場所に腰掛けている女性がこう言って来た。
「ルーメロ、あの者が気に食わないのは分かるが、少しはその態度を改めたら。」
そう言ってルーメロに警告した。するとルーメロは、こう返した。
「分かっているわよ、ナーセラ。だけどボスに取り入ってなんでも自分の思い通りにするのが気に食わないのよ。」
そう言われたナーセラと呼ばれた女性は、こう返した。
「まあ、お前の気持ちも分かるが、ボスの前で不満そうな顔をするなと言う事だ。」
そうたしのめられたルーメロは、「分かっているわよ。」と言って話を切ったのであった。
そうこうしていると、円卓を囲む柱の陰から何人もの男女がやって来た。そしてやって来た男女は、モークスが座ったように指定された椅子に着席して、その時を待ったのであった。
そして集合時間に定められた時間になると、この円卓が置いている部屋の唯一扉が開くと、半仮面で目元を隠した男と、真っ黒なローブを着込み、顔の全てを仮面で隠した人物が入って来た。
半仮面の男は、円卓の席に着き、ローブの人物は、半仮面が座った椅子の後ろに佇んだのであった。
そして半仮面の男は、全体をぐるりと見渡すと、こう言った。
「よくぞ集まってくれた、わが同志たちよ。今日皆を呼んだのは、始まりを宣言する為である。」
そう言って半仮面の男は、言葉を切ると一つ呼吸を整えこう言った。
「計画を開始する。我らの願望を叶えるぞ。」
それを聞いた人たちは、「おう。」と返事したのであった。
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