第33話 出港と監視
遅くなってしまい、すみませんでした。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕南部 王家直轄領 海洋都市〔アルカニス〕
僕たち〔スカイテール連邦王国〕訪問使節団の一行は、海洋都市〔アルカニス〕が、世界に誇る第零番埠頭にやって来ていた。
この第零番埠頭から船に乗り、そこから一旦王家が所有している群島に立ち寄り、休息をし、再び船に乗って〔スカイテール連邦王国〕へと向かう事になっていた。
そして僕たち使節団の眼前にその巨体を海に浮かべているのが、〔デイ・ノルド王国〕海軍工廠で建造され、王国海軍が管理、運航を担う、王家の専用艦、「ノルドイリルストリア」である。
この船は、魔導帆船と呼ばれる形の船で、帆に風を受けて航行する方式と魔導機関を動かして船体の後方から水を出して進む方式の二つが採用された艦である。艦齢は、七年で、僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドが、生まれた年に就役した艦である。
僕たちは、この艦の艦長の出迎えを受けて、船に乗り込むところであった。
「ようこそ、先王先王妃両陛下、王弟王弟妃両殿下、エギル殿下、そしてディスダベル先王陛下、本艦の艦長を務めております、〔デイ・ノルド王国〕王国海軍ミールエイド・カトルマン大佐です。」
そう言いながら僕たちに敬礼をして来た大佐に、お爺様は、こう返した。
「うむ、艦長。今回もよろしく頼むぞ。」
「はっ。」
そう返事をすると、カトルマン艦長は、お爺様の横に立つと、僕たちに、岸壁に架けられたタラップを登る様に促した。
お爺様とガル叔父上は、お婆様とシルビア叔母上の手を取りエスコートしながらタラップを登り、僕とダベル大叔父上は、一人でタラップを登ったのであった。
タラップを登り終えると、船の入り口で士官の制服を纏った、艦の乗組み員たちが敬礼をして僕たちを迎えてくれた。
その後僕は、案内の従兵に部屋まで案内してもらい、手に持っていた手提げ鞄を部屋のロッカーに固定して、案内をしてくれた従兵に甲板に案内してくれる様頼んだ。
従兵は、快く僕の申し出を受けてくれ、僕を甲板に案内してくれた。甲板に到着するとそこでは、埠頭に置かれている僕たちが乗って来た馬車を艦内に積み込む作業をしていた。第零番埠頭にある魔導式ガントリークレーンを使い馬車の車体を吊り上げ、甲板の所定の位置に車体を降ろされる、するとその甲板が下へと降りて行き、艦内に馬車が積み込まれたのであった。
僕は、その作業をしばらく見た後、艦橋へと向かった。
艦橋では、お爺様が居て僕を見つけるとこちらに来るように手招きした。僕は、手招きに従いお爺様の傍に行くとお爺様は、こう言って来た。
「エギル、声掛けをやってみるか?」
「声掛け?」
と僕が、質問するとカルトマン艦長が、こう言って来た。
「エギル殿下、声掛けとは、出航や入港、戦闘や日常の行動の開始を告げる物です。今回殿下には、出航の声掛けをやっていただきたいのです。」
僕は、それを聞いて僕は、「やります。」と答えたのであった。
そしてしばらくすると甲板での作業が終了したとの連絡が入り、乗組員の配置が完了したとの報告が、艦長にもたらされた。
艦長は、魔導マイクを手に取ると僕に渡してきた。僕は、艦長に教えられた通りにマイクに向かって声を発した。
「出港、よーい。」
その掛け声が、かかるとラッパが鳴り響き、僕の掛け声とラッパの音を受けて乗組員たちが、出航に向けた用意を整えていく、そして数分後、艦長に離岸可能との報告がもたらされた。
僕は、艦長が頷くのを確認し、再びマイクに向かって声を発した。
「ノルドイルルストリア、出航」
この掛け声を受け、艦長が、埠頭からの離岸を指示し、艦は、ゆっくりと岸壁から離れたのであった。
そして艦長は、ある程度の所まで艦が離れると航海長に進路と速度を指示し、航海長は、それに従い艦を港から外洋にへ進めたのであった。
しかしその時は、誰も気付く事は無かったこの艦に何者かの監視が、紛れ込んでいる事を。
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