プロローグ
「ノルン、お前はもうパーティにいらない。」
リーダーであり勇者のウルドから突然の宣告だった。どうして?これまでずっと協力し合ってやっとSランク冒険者になれたばかりだというのに。
「どうしてって顔してるな。気付いていなかっただろうがヴェルとノクサルもお前が邪魔で仕方なかったんだ。」
ウルドは続ける。
「お前は確かに剣の腕はまあまああるがそれはお前が装備している聖剣あってこそ。せいぜい腕前だけならBランク止まりだ、しかも魔術は何一つ使えないじゃねえか。そんなお前だったが長年共に戦ってきた情として何も言わなかったが、Sランクになった今はもう力不足なんだよ。」
「ウルドの言う通り、君はもう必要ないんだよ、最近は物理攻撃が無効のモンスターも増えてきてるし剣術だけじゃ正直この先足手纏いなんだ。」
「そうよ、ただの剣士は今の時代使えないお荷物なの、わかる?」
ヴェルとノクサルからも確かに必要ないと言われてしまった。俺は心拍が脈々と上がっているのがわかる。今にも気を失ってしまいそうだ。
それでも、なんとか声を出した。
「そ、そんな。じゃあこれからは三人でやっていくのかよ?」
ウルドが真顔で静かに答える。
「いや、もう既に新しく入る冒険者は決まっている。なんでもずっと1人でやってきたSランク冒険者だそうだ。だからお前も安心して抜けてくれ。」
もう次のメンバーまで決まっていたとは…さすがに俺もこれ以上は食い下がれなかった。
「というわけでこれでさよならだ。じゃあな。」
それだけを言い残し三人は去っていった。
「どうして…俺はそんなに弱かったのか」
思い返してみると、確かに俺は魔術は使えないが前線に立ち他の仲間を身を挺して庇ったりもしていたし、モンスターもある程度は自力で倒していたはずだ…目には涙が滲んでくる。
だが、ここでじっとしてはいられない。なにか行動に起こさないと。
「新しいパーティを探すか…」
そう考えてギルドに向かって歩き出した。