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生ぬるい風が涼しく吹いてる

作者: 早妃浪 蒼維

最高で最悪な夢。

 友達がいた。

 別に好きでもなくて、幼稚園が一緒なだけの腐れ縁。


 今の私は幽体で、かわいい外国人の顔立ちが整った少女の周りでふわふわしていた。


 少女と私はお話ができて、とても仲よしだった気がした。話したことはないけど、たぶん潜在的な意識が作り出した設定だ。


 少女と友達はひたすら遊んだ。

 ひたすら遊んで、少女は友達の家に行くことになった。

 友達の家は遠く自転車で行かなくては行けない。


 私は以前見た夢で友達の家に言ったことがある。夢だから本当の家とは関係がないけど、なんだか後ろめたい感じだった記憶がある。理由は忘れた。


 少女と友達は自転車を漕ぎ始めた。

 空は清々しい晴天で心地よい風が吹いたサイクリング日和だった。

 友達が先を行き、少女が後を着いて行く。


 私は振り落とされないように少女の首に手をかけていた。幽体だから風とか関係なかったけど、サイクリングしている感が気持ちよかったのでそのままでいた。


 友達が高速道路みたいに舗装されて橋のようになった道を力いっぱい漕いでいく。

 周りは綺麗な草原地帯が広がっている。

 ぐんぐんスピードを上げて、大きくてなだらかな登り坂と下り坂を越えていった。


 私も楽しくなって、精一杯自転車を漕いだ。霊体だから気持ちだけ。

 それが伝わったのか、少女も楽しげに友達に続いていった。


 途中で友達が行こうとしている道が間違っていると気づいて、直進しようとしていた道を左折するよう少女に伝えた。

 少女は一瞬曲がってくれようとしたけれど、友達は気にもかけずまっすぐ進んでいったのでそれについて行った。


 私は通り過ぎた曲がり角を見つめていたが、次第に見えなくなって前を向くことにした。


 友達と少女は楽しげにサイクリングを続けた。


 もうそろそろ家に着きそうだという時に、友達が突然速度を上げたので少女も同じようにした。

 そうしたら、とても急な登り坂が現れて友達がさらに速度を上たので、少女には追いつけなくなった。


 少女が少し遅れつつ坂を登りきると、友達の家があった。そこではもう自転車を降りた友達が待っていた。


「なんで俺の家行く道知ってたの」


 見えてないはずの私の方を向いてピシャリと言い放った。






 ────最悪の目覚めだった。



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