4 父エルディアスー公爵家の事情
久々の投稿です。どうぞよろしくお願いいたします。
久々に訪れる実家、ラーティア公爵家の前庭で、リーシアの父であるエルディアスは目を細めた。
屋根付きの四阿、ここに転移陣が用意されていて、許可証を持っている者だけが弾かれずに辿り着ける。
時刻は予定ぴったり。四阿の外には、迎えの侍従が待っていた。
「ご無沙汰しております、エルディアス様」
お仕着せの紺色の侍従服を着た昔馴染みのロートが丁寧にお辞儀する。
「ああ、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」
「ありがとうございます。エルディアス様のご活躍は私どもにも聞こえてきております、おめでとう存じます」
「ありがとう」
四阿から外に出ながら、ロートが差し出した手に小さな鞄を預ける。
「本日はお嬢様とご一緒と伺っておりましたが」
「ああ、すまない、今朝方、どうも体調が良くなくてね。今日は休ませる事にしたんだ。他の子たちに移るような病気ではないと思うが、念のためにね。」
歩き出しながら話を続ける。
「さようでございますか。それは残念でございますね。大旦那様も大奥様も楽しみにしておられましたが。いたしかたございませんね。」
「ああ、娘もとても楽しみにしていたのだが、こればかりはな」
子どもたちも多く集まる場だから、病気の予防は大切だ。
(さてこれで切り抜けられれば良いのだが。父と兄に嘘が通用するかどうか、、、それに今年はどうにかなるだろうが、来年から先は、どうしたものか・・・)
やれやれ、と内心の困惑を隠して、笑顔で館の扉をくぐった。
エルディアス・セオ・ラーカスは、このラーティア公爵家の三男だった。母親が違う兄が2人、その長兄が父の跡を継いで現在の当主になっている。分家の分家であるラーカス子爵家に婿入りしたのは、王立高等学院で妻のリリアナに出逢い、双方の合意の上である。幸運だったと思っている。
今日は久しぶりに、約1年ぶりに実家に来た。毎年、この侯爵家の集まりには顔を出しに来ているが、それ以外ではもう、来なくなっていた。それなりに兄弟仲は良いのだが、今のエルディアスにとっては、すでにラーカス子爵家が自分の家になっているのだ。なにより、王城で父や兄たちとは会えるので、ほとんどの用件はそこで済む。王城内でたまに昼食を一緒にとることもあり、すると、わざわざこちらには足を向けなくなっていた。
案内されたサロンでは、すでに兄2人とその家族が揃っていた。父と義母の姿もある。
さくっと一礼してから用意された席に着く。それぞれに挨拶を交わす前に、先に娘が来れなかったことを伝え、謝罪する。残念だと本気で思ってくれるのは有り難い。
継承争いもなく、穏やかな兄弟仲は、ほんとうに心明るくなるものだ。血族で助け合うことが当たり前、という風潮も。
ただ、今後はどうなるかわからない。悪いようにはならないだろうが、ある意味、この家にとっては時空間魔法使いは特別なのだ。おそらく、どの貴族家よりも。
(さてどうしたものか。。。いずれはバレるだろうし、隠しておくわけにもいかない。味方になってもらうには。)
美味しいお菓子を褒め、お土産にもらえるだろうか、と話しながらも、どうしても思考はリーシアに行く。
(どうすれば守れるだろうか。)
取り留めなく思い悩みながら。
ちょっと説明会でした。次はリーシアの話に戻ります。




