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魔法戦機グレンロード  作者: 立花 氷
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第一話 内乱のサーレイス

まだまだつたない文章ですがよろしくお願いします!

「おい、できたのか。」

深紅は白衣を着た大勢いる研究者の中の一人にそう言った。

「あぁ...完成したよ...ようやくね...」

実験室を見下ろしながら不気味そうに研究者は答えた。何故だろう。ざらつくような気持ち悪さを感じる。

「じゃあ、これに入ればいけるんだな。異世界に。」

深紅は身震いした。それはそうだろう。彼が初めてこのマシンに入るのだから。

「あぁ、そうとも、笠音 深紅くん。我々が観測したこことは違う世界、そう異世界とも呼ぶべき魔法の世界への片道切符なのだよこれは。」

研究者は身をよじりながらそう答えた。くねくねと謎の動きをしながら横に動くさまはまさしく「カニ蛇」とでも呼ぶべきだろう。

「今日は記念すべき日だぁ。だが祝杯など挙げている時間などないのだよ、笠音 深紅くん。早速このマシンに入ってくれたまえ。君も待ち遠しいだろうしね。ヒヒヒ...」

「ああ。そうだな。三年も待っていたんだからなこの時を。」

研究者が怪しい笑みを浮かべながらマシンの準備を始めた。深紅はその隣でぎゅっとこぶしを握り決意を改め、深く息を吸った。

「この三年、つらい訓練も乗り越えてきた。知識だってたくさん身に着けた。だから...」

「用意ができたぞ、笠音 深紅くん。追って私もそちらに行くだろうからここでしばしの別れだぁ...」

ねっとりとした口調でそうぶった切られた。起動したマシンの中は青白く発光している。行く時間が来たのだとそう思わせられる。

「お前も来るのかよ...わかった。じゃあ最初に観測したあの国で待ってる。それじゃあ先に失礼する。」

「よかろう。アークリプス...覚えておこう...ヒヒヒ...」

そんな約束を交わしマシンに乗り込む。外から見たときはかなり発光しているように見えたが、中はそうでもないらしい。そんなことを思っているとカウントダウンが始まった。目をつぶって静かに待っていると、数字が小さくなるにつれ緊張感と同時に興奮が高まっていく。カウントがゼロになり瞼が焼けるような光に包まれた。

「無事に転送されたみたいだねぇ...我々の研究は成功だぁ...あとは...無事でいることを願おうかなぁ...笠音...深紅...くん...ヒヒヒ...」

研究者はまた薄気味の悪い笑みを浮かべた。



目を開けるとそこは見知らぬ場所だった。先ほどのたくさんのコードが入り混じった薄暗い施設の中ではなく青空の下、煉瓦や木でできた家が並んでいる。それは中世の街並みを彷彿とさせるようなそんな感じの街並みだ。漫画でしか見たことがない服装の人間もちらほら歩いているのを見て、深紅は胸をなでおろした。

「成功したのか。ならとりあえずここがどこなのか、アークリプスはどこにあるのかとかこの世界のことをいろいろ聞かないとな。この世界にも酒場ぐらいあるだろうしな。」

そう思った時には体はもう町の人間に聞き込みをしていた。酒場の場所とかいろいろと。そんな聞き込みをしているうちにあっという間に日は暮れていった。

「聞き込みってのも楽じゃないな。疲れるったらありゃしない。この世界のお金はチップというらしいがそんなものは持ち合わせちゃいねぇし...今日は野宿かぁ...まぁ今日聞いたことでも整理するか。」

ひとりでうだうだと文句を言いながら町のはずれにあった公園で、今日聞いたことについて整理を始めた。

まずこの世界は自分のいた世界とは違うこと。

この世界は聖霊という神様のような生き物と契約し力をもらい魔法が使えること。

アークリプスという国は存在していて、今いる国サーレイスからは飛行艇で行くことができること。

魔族という地底の種族と巨大ロボットで戦っていること。

最後に...サーレイスは今のところ中立だが、ほかの国は領土や富をめぐる戦争が絶えないこと。

「とりあえず今日聞けたことはこのぐらいか。言語が通じるのは助かったな...文字は読めなかったけど。」

そんなことをしているうちに周りりはすっかり暗くなっていた。雲一つない空がより満月を輝かせ、あたりを照らしている。その月を見上げると心がギュッと締め付けられる感覚に陥った。その感覚の正体は深紅自身しっかりと把握していた。

「リン...」

深紅は少女の名を口にして横になり、捨ててあった新聞紙を布団代わりにして寝ようとしたその時だった。

草陰から物音がし、咄嗟に深紅は飛び上がった。

「誰だ!!」

そうナイフを構えて威嚇すると、その少女はにっこり笑って威嚇などもろともせずに歩み寄ってきた。

「私は、この国の第二皇女サレーネ・サーレイスです。突然で申し訳ございません。私をこの国から逃がしてもらえないでしょうか。」

深紅にはその言葉の意味が理解できなかった。「は?」というような顔をしぽかんと口を開け一瞬あほ面になりかけたが、今一度脳みそをフル回転させ考えた。なぜこの国の第二皇女がこんなところに?なぜ逃げる?そうかクーデターか、そうかそうか。とひとりでに納得しようとしたところサレーネに頭をチョップされ現実に戻ってきた。

「それで逃がしてくれるんですか?」

「いやちょっと待ってくれ。聞きたいことが山ほどあるから。」

「そんな時間は今はないのです。」

質問もダメときた。これはいかがなものか。頭がこんがらがりそうだったのでとりあえず助けることを深紅は決めた。

「じゃあ、とりあえずここにいるのは危険だな。移動しながら話を聞くことにして、道案内できるか?皇女様なら国の出方ぐらい知ってるはずだろ?ほら裏道みたいな。」

冷静になった深紅はとりあえず歩きながらサレーネの話を聞くことにした。よく見るとサレーネの格好はひどいものだった。お姫様のような白にピンクがかった色のドレスはあちこち破けてボロボロで靴すら履いていなかった。

「よくそんな恰好で逃げてきたな。辛かったろうに。大丈夫かおんぶしてやろうか?こう見えても俺は元軍人なんだ。」

「今は違うのですか?元軍人という割にはかなり体はがっちりしていますが。」

きょとんとした顔でそう聞かれる。「まぁな」と適当に流してサレーネをおんぶする。とても軽かった。まるで空気を背負っているかのような。

「そんなことはまぁいいんだ。それよりどうして逃げたいんだ?」

話の本題に入った途端、サレーネはとても厳しい表情をした。それは何かを憎んでいるような、自分もしたことのある顔だった。

「この国の第一王子であり私の兄、トーム・サーレイスが先ほど軍隊を率いて内乱を起こしたんです。第一皇女、私の姉、ルイン・サーレイスはこの国を亡ぼす魔族だと。」

あまりに無茶苦茶な話に頭が追い付いていなかったが、話は続く。

「ルインは聖霊無しで魔法が使えたんです。この世界は聖霊の加護がなければ魔法は使えないんです。でもルインにはそれができてしまった。その才能があった。お姉さまはその強大な力ゆえに眠っているところを暗殺されて...私のお父様とお母様も...」

そうか。この子は逃がされたのか。この子の父と母の最期の希望として。だったら守り抜かなければ、命を燃やさねば。無意味な命が散ろうとしているのならそれはいけないことだから。

「目の前で...悪魔を生んだ化け物だからって...殺されて...私も...」

深紅は立ち止まってこぶしを強く握った。

「わかった。あんたは俺が必ず逃がしてやる。だから道案内をしてくれ。絶対に守り切ってみせるさ。絶対にな」

「信じてくれるんですか?本当に?」

「あぁ。本当だ。」

「ありがとう。」

サレーネは涙を流しながらも精一杯の笑顔でお礼をした。

「ところでどうして俺を選んだんだ?ほかにもこの国には住民がいたはずだろ?」

そう聞くとサレーネは涙を拭いて笑顔で答えた。

「私の勘があなたを信じろっていいましたので。」

少しだけこの場のぴりつく雰囲気が和らいだような気がした。二人はなんだか可笑しくなって笑ってしまった。

「そりゃないぜ。お嬢さん。」

深紅はそういうとサレーネの言う通りの方向目指して、歩くスピードを上げるのだった。






書きたいことが見つかるまでずいぶん時間がかかってしまいましたが、なんとか投稿できました。

今後ともよろしくお願いします。

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