それでも善人とかヒーローとかの振りしていたい
水増しではなく。表現です。ごめんなさい。
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商業ビルが漏れ出たガスで爆発した。
なるほどあの通りは使えない、か。
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あっやべ隕石降って来ちゃった。イージーミスだよ畜生。
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規模が小さ過ぎだ。高梨が生きてる。次はもうちょい離れる、と。
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っしゃあ! 新記録!
木崎と高梨入れず死傷者八人。死者だけなら二人!
忘れないうちに手順の確認を。
まず………。
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数万か数億か。要した回数など知らんが。
遂に死傷者四人まで到達した。勿論木崎と高梨を含めずだ。
初めて高梨を殺したループ以来、女の子は涅槃像と化した。もう俺の前で転ぶこともわざとらしい泣き真似を晒すこともない。
互いに無駄のない動きで手を繋ぐ。
「お兄ちゃんは優しい」
「どうせ知ってんだろうけど、やっとあと四人だ」
毎回、成り立ってない会話をしている。
俺の努力を言葉に、形にしたいんだ。
結局それは死ぬはずのなかった高梨を殺すための努力なのだけど。
巻き込む人数を減らしたところで、俺の悪行は覆せないのだけど。
分かってる。
でも。
繰り返されるあの言葉は呪いだ。
人を救っている気にならないと狂いそうなんだ。
さて。
いくか。
あと腐れのないように。
あいつを殺しに。
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あと四人。
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あと三人。
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あと三人。
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あと二人。
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あと二人。
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あと二人。
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あと二人。
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あと一人!
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あと一人。
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あと一人。
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あと一人。
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あと一人。
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あと一人。
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あと一人。
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あと一人。
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ああ、ついに。
細かいところに拘り出して、引き下がれなくなる事ってあるよね。