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ギフト  作者: 穂積 蓮
第一章  会いたい
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忘れたいと思った事ほど、忘れないもの。

ヨシロー。知っているのは名前だけ。どんな字を書くの・・・?

な~んてね。くだらない事ばかり考えてる私。


帰り道。海廻り、お魚コースを連続奪取出来たのも10日が限度だったし、その後は海廻りお魚コース担当を待ちわび、運よく彼がガゼボにいる事を願う日々。彼にもう一度逢いたい。そんな望みが叶うことなく一年が過ぎた、ある日の事。


保育園の勤務に疲れ切った私は、晩ごはんをコンビニ弁当で済まそうと歩く道すがら・・・。


「おばちゃん!そっちは違うよ!」

おばちゃん?・・・私の事じゃないから無視ね。


「おばちゃん!違うって!そっちじゃない。あっち!」

私、おばちゃんじゃ無いからって~。スカート、掴んで言ってんのかい!しかも私の・・・。お願い、誰か違うと言って、私。おばちゃんじゃ無いって言って!


「あっちだよ!」

あっちってさ。どっちよ!私、おばちゃんじゃ無いから~。怒りを隠さず、振り返る私の表情に驚き、男の子が後ずさる。ヤバ。小学生にマジ切れしちゃった。


「あっ。私、おばちゃんじゃぁ~無くってよ。・・・ざます。」


「知ってる。さっきから言ってるのに気付いて、くれないからつい。」

あれ、この話し方誰かに似ている。誰だったかしら?


「とにかく!こっちだって!あの先を左!」

何を言っているの、この子は?


「こっちじゃ解らないの。それより貴方、私と会った事あるの?

 卒園生なの?」

指差しされた方向を見ながら問い掛け、振り返ると・・・いない。??アレ?なんで?

・・・まあ。いいわ。鳥肌立って、ビ・びったけど・・・あの、あれよ。バチ当るより言う事聞いた方が良い事もある。・・・きっと。必ず。へっ、へへ~!指差された方向に顔を引き攣らせギクシャクしながら、向かう私。コ。コン。コンビニなんか何処でも同じよ。そ、それにアッチの方が明るいし。



歩く事、数分。いつもは行かないコンビニに到着。何事も無かった事に感謝しながら、冷房の効いた店内に入ると・・・左側、視界の隅に何か・・・思わず二度見。人違いでないかと疑う。ヨシロー。彼なの?

今までの恐怖なんか吹き飛び、ヨシロー?ヨシローなの!どうしよう。私、え~と、シャワー浴びてからもう一度・・・ダメよ!そんな事している間に彼が居なくなるじゃない。でも、別人だったらどうしよう。そんな恥ずかしさから声を掛ける事も、直視することも出来ない私は、雑誌を捜す振りをしながら決して見失わないように、ガラスに映る彼を必死で追い続ける。数分間の観察。目が血走っていたのかしら?


混雑しているコンビニなのに、私の廻りだけ空間がある。それが、なによ!負けずに彼を目で追いかけ続ける。確認できた!間違いない。ヨシローよ。声を掛けよう。・・・なんて言えばいいの?


今日は天気がいいですね。・・・夜なのにですか・・・これはダメね。お買い物ですか?・・・馴れ馴れしい。それに次に続くのはきっとコンビニ弁当ですか?寂しいですね~。絶対これになる。ダメ!ここは思い切って!貴方は神を信じますか~? こ・こ・これ!は・・・最悪でしょ。


思い悩む私に誰かが、話しかけた。


「ねえ。どんぐり虫好き?

 ・・・俺は嫌いだけどさ。」


ハッとして振り返ると・・・彼が微笑みながら立っていた。

こ・こ・ここで~ぇ、甘い顔したら負けよ!安い女に見られる!


私「何を言ってるんですか?」

ヤッテしまった~!違うの!そういちゃったけど、よく見て!しっぽ振ってるでしょ!ホントは嬉しくて・・あの・・・私。ねえ。解ってよ・・・でも、見えないよね。・・・しっぽ。私も見えないもん。そんな心とは裏腹に思い切り嫌な顔をした私に、ヨシローはそれ以上のそう、嫌悪の顔を隠す事も無くこう言った。


「人違いだったよ。謝る。でも、安心してくれ

 顔は覚えたから、二度と近づかない。悪かったな。」


ヨシローが出て行く。停めなくちゃ!でも、どうやって?ごめんなさいって言えばいいのよ。でも、それだけじゃ・・・何かこう・私の好意を伝える何かを・・・!そうよ!それだわ!。急いで、缶コーヒー買う。これをごめんなさいって渡す。それが出来れば彼は、微笑むかも、いえ、きっとそうよ~。ヨシローは外!2人の距離がどんどん遠ざかる。でも今なら間に合う。これ以上離れたら、もう逢えない。そう思ったら、いてもたってもいられず。あっ。あ・あっ。行っちゃう~。パニックが襲ってくる。どうする?どうするのよ~私!あっ。これ以上離れないで。だ。だ。ダメー!ヨシローと缶コーヒー。あっ缶コーヒーあげるんだった。


「こ・これ・あげる~!」

ちから一杯カンコーヒー投げる。ヨシローの後頭部にヒット!ヤッタ~!ヨシローが止まった~。あれ?てか・・・うずくまった。此れなら追いつける!って・・・はッ?・・違う。そうじゃないの!私・・・。

・・・ねえ。誰か・・違うって言って。お願い。と、願う心に神の声が~。


「お客さん!何やってんの!逃げちゃダメだって~!」

私の腕をしっかりと捕まえコンビニ店員が・・・え、神の声じゃないの?天の助けは?


「投げてもいいけど、会計してからにして下さいよ!」

あ~・。記憶と照合~事実関係・・・確認~審議~。イヤ。待って、違う。そんなんじゃ。審議。・・・確定。・・・ふん!人生って複雑ね。事実関係はこうよ!


ヨシローが行ってしまう!とめなくちゃ!そんな思いから、パニくった私は会計を省略し、一番近くの缶コーヒー掴み取り店外に逃走。勢いそのままに『これ、あげる~!』と叫びながらヨシロー目掛け投げつける。ICBM張りの放物線を描きながら缶コーヒーはヨシローの後頭部にヒット。・・・しかも角が当たっわ。あれ・・・痛いわ。


どうしよう(´;ω;`)。お願い。誰か助けて。私。今日、ごはん食べないから、せめてヨシローから缶コヒーの記憶消して。

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