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戦闘


「へー!キミ達の世界にもいるんだあ!そっちではショッカーって呼んでいるの?」


「こっちでは〝ジョワンズ〟って呼んでるんだよ」


「どこの世界にもいるものなのね、じゃあ対処法もきっとご存知なんでしょうね」


安全な頭上で好き勝手に話しているが今7人にはそれにツッコむ余裕はない。

黙りこみじりじり後ずさる。ショッカーはまあお馴染みといえばお馴染みだが戦った経験はない。

むしろ街中で出くわしたりしたらとりあえず110番で「不審者です!」と通報だ。


ベチャベチャした泥ショッカーは目も耳もないのにどういうわけか7人の方によってくる。

なので自然と7人は肩を寄せ合う形になる。

足元から絶えることなく湧いてくるので数はどんどん増える一方、今では5・60人位の集団でベチャベチャと7人を追い詰める。


「も もしかしたらっ凄ぇ弱いんじゃねえか?なんせショッカーだしな!」


厳蔵が拳を握りしめ強がって笑うがその笑い声は震えている。


「でもさーテレビとかで見るショッカーはゴキンジャーが相手だから弱そうに見えるだけじゃねぇ?あんまし普通の人間はショッカーと戦わねーよ」


生意気でも子供なので6人が一番奥に追いやった拓斗がぼそぼそと呟く。

ちなみにゴキンジャーとは最近放送されている戦隊モノ。


「わ わ私は食べても美味しくないと思いますよー!妻があまり栄養バランスを考えて食事を作ってくれていないのでインスタント食品とかばかりで!痩せて見えるかもしれませんがもう最近なんてコレステロール値高いし隠れ肥満とかだし血液ドロドロだし!!」


「あらまあ田所さん、奥さまお料理なさらないの?じゃあウチでおかず作りすぎた時はお裾分けに行きますね。ウチの子本当最近よく食べるからついつい作りすぎてしまうの」


「ミシェルー!僕はピンチだよー!!周りにはこんな頼りにならない人間ばかりだしもうきっとダメだと思うんだ。だから…今こそ君が『スーパープリンセス魔女っ娘(ネコ耳付き)ミシェルン』に変身する時だよ!ほら僕の萌え萌えパワーもマックスだから君のハートチョピ★ルンもいっぱいになっただろ?!」


ある意味マイペースなメンバーだ。


「アケミさん、これはもうダメじゃないですかね?」


「そうね…」


遠い目をして肩を落とす。

ショッカーはいよいよ七人を壁際に追い詰めてきて2メートルの距離だ。



「ああ…昨日は明け方近くまで情けない奴隷に鞭をくれてやったりろうそくで遊んでやったり疲れているのに。やっと眠れると思ったら今度はショッカーに壁際に追い詰められるなんて…そっちの趣味はないのよね」


「アケミさんも寝てないんですか?私も明け方近くに覚えた英単語がぐるぐる走馬灯のようにまわってます」


「あら七瀬ちゃん寝てないの?大丈夫?」


こんな時なのにやす子はきづかわしげに声をかける。


「はぁ…いえ寝ていないのは大丈夫です。試験期間中は常に追い詰められているんで。でも今はショッカーに追い詰められているのであまり大丈夫では…」


「あら、ウフフ七瀬ちゃんたら面白いこと言っちゃって」


「いや やす子さん、私決して面白い事言っている余裕はないので…」


こんな状況でころころ笑うやす子は大物か救いようのない馬鹿か悩む。



「こうなったらしかたねえ!やるだけやってみるしかねえだろ!おい田所!てめぇも男なら腹くくれ!」


「わ わたしは戦後生まれでしてあまり自己犠牲精神は…そのあの…」


「うるせえ!つべこべいうんじゃねえ!ついて来い!!」


厳蔵が田所のネクタイを握り引きずって行く。


「く 苦しい…死ぬ 死ぬぅ~」


「あら、今は男女雇用機会均等法だから私も行きますよ?ウフフ久しぶりだから大丈夫かしら」


「男女雇用機会均等法、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律である。法令番号昭和四十七年七月一日法律第百十三号。最新の大きな改正は 千九百九十九年四月一日。」


やはり七瀬は壊れかかっている。


「なんで?どうしてなんだミシェル!!ハートチョピ★ルンパワーは異世界では無効?」


「ほらヲタク、あんたも拳で語り合おうぜ!」


厳蔵が青春ドラマの見過ぎみたいなセリフを吐いて安藤泉を捕まえて引きずって行く。


「オレも戦うぞ!ばーちゃんからもらったお守りもあるし!」


「少年、それよりもパニくってる七瀬についていてあげなさいよ。」


アケミが拓斗と七瀬を背に庇う。


「それにそのお守り『安産』って書いてあるし」


「ばーちゃん最近ボケてきたんだ」










そんなわけでヤケクソになった7人はショッカーと相対した。


『キキィ――!』


予想していた通りの叫び声でショッカーもとうとう飛びかかってきた。

口が無いのに何故叫べるのかは不明。

今ではその数百余りの黒いドロドロした全身タイツ。


それはもう


かなりキモイ。



「う うおおおおっ!さぶイボさぶイボ!!こいつらなんかカエルっぽくね?なんかあの足の形とかどうして微妙にガニマタなんだよ!ちくしょうカエルさんはケロケロ――!!」


厳蔵が目の端に涙を溜めながら拳を振り上げる。


「そうかしらー?カエルというより焼死体を数日ほっておいた時の朽ち果て加減に似ていますよね?あれはむごかったわー」


やす子はかなり堂に入った構えをとり、恐ろしいことを言う。


「さ サラリーマン万歳!僕らはみんな生きていた!」


田所は特攻体制、「生きていた」ってすでに過去形。


「そうか!わかったぞ!!これはミシェルの悪戯で夢なんだね?そうと分かれば夢のなかで眠ればいいんだ!ショッカーが一匹ショッカーが二匹ショッカーが…」







「おかしいねー、なんか地道に一匹づつ相手にするみたいだねー」


「それじゃあ戦士団となにも変わらないじゃんねー」


「一気に封印できなくてもせめて強力魔法でやっつけてほしいよねー」


「ねぇ、もしかして救世主じゃないのかしら…。だってあのエプロン付けたおばさま以外はもうかなり消耗しているみたい…。」


「つうかあのオバサン強っ!今の見た?見た?なんつう技だかわかんないけどジョワンズが5・6メートル吹っ飛んだよ?!」


「うっわー!動きにくそうな長いスカートとエプロンでよくあんな俊敏に!てかあの武器にしている小汚い袋には鉄でも詰まっているの?」


「わ!!オバサン大回転!!一気に6匹沈めた!」


眼下の様子を観察しながら三つ子と西洋人形少女が話し合う。


「うーん、でも他の連中の動きは大したことないね」


「あーあ、じゃあやっぱ召還魔方陣は失敗だったってカンジ?」


「だから言ったじゃん、ミジェルバの葉っぱの代わりに雑草使うなんて無理だって」


「だってミジェルバって大魔法士のセスしか生えてる場所知らないんだから手に入らないじゃん!」


「ミジェルバの代わりに使った雑草にふさわしい人間が現われたってことか…」


「もー!とにかく助けてあげてよ!見殺しにして枕元に立たれたら嫌よ!」




「「「お姫様がそう言うなら」」」





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