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アケミと手下1

「…あんた暇なの?」



ブリーチしすぎでカナリ痛んでいる長い髪を背中に流し、この国では見慣れぬ服装をした女が煙草の煙をゆっくり吐き出しチラリと横目でその男を見遣る。


「は ははいっ!」


二十代前半位で短い赤茶の髪に灰色の瞳。

今は兵士の服を着ていないがクウィンディアの国旗が描かれた腕章をつけている。

手には『クウィンディアへようこそ!』と書いてある小さめの旗を握っている。


「じ 自分はクウィンディア第七兵士団補助兼務係所属のレイルと申します!主な仕事は北門の警備補助や武器防具の整理、補充備品の調達に庭園整備・城内・城下の観光案内などであります!!」


アケミを紹介される際三つ子に「お忍びで遊びに来た他国の要人」だと言われている為ガチガチに緊張しているアホな男。

ちなみに今アケミは白いローブを脱いでいるので先刻門を通った集団妊婦の一人だとは気付かれていない様子。



「ふーん、つまり雑用係ってことね」


アケミにきっぱりと言われレイルは肩を落す。


「え、ええと。どれではどちらからご案内しましょうか…」


「とりあえずこの国の有名な観光名所を案内してほしいの。それと歴史や現時点で最先端の技術がわかる場所も覗いておきたい。

あと衣食住を知りたいからどこか適当な一般家庭にお邪魔してみたいわ。

だからこの条件に合う場所で現時点から一番近いところに連れて行って。」


いっきにそう告げるとレイルは「ふひょ」とか変な声をあげて持参した城下の地図をあわあわと広げる。


「え…えええとぉ、観光名所はココとココが有名だけどでもこっちの方がいいかなぁ…あでもココは城から遠いし…歴史資料館をご案内するならこっちのルートの方が…ああ あでもこの道は怖い犬がいたから通りたくないなぁ…」


ぶつぶつ呟きながら地図を睨む。

アケミ、煙草をふかしながら静観。


「ああぁ でも自分結構方向音痴だからちゃんとご案内できるかなぁ…

あ、ココのパン屋さんは美味しいって有名だから名所だよなぁ、でも観光名所ではないのかな

いやいや行列ができるパン屋っていうんで城下でも話題だからやっぱり観光名所かもしれないなぁ」


うーんうーんと唸りながら地図を睨む。

アケミ、煙草を携帯灰皿でもみ消しながら沈黙。


「そういえば三つ子に『クウィンディア国ガイドブック』を持たされたんだっけ…

まったく、こんなガイド本が無くても自分はクウィンディアの事ならなんだって…

いや まあ大体は知っているからいらないって言ったのに。

あの三重奏で「「「レイルはアホだから!」」」ってホントなんて失敬な三つ子なんだっ!!」


ぎゃーぎゃー思い出し怒りをはじめながら地図を睨む。

アケミ、腕組みをしてその様子を観察。


「あ、でもこのガイドブックにおすすめルートが載ってる!えーっとこのスタート地点は城の正門からだからこの地図でみると…

あれ?反対かな??あれあれ?今どこに立ってるんだっけ…」


むむむむとか呟きなが地図を睨む。

アケミ、腕組みを解き静かにレイルに近付く。


至近距離にアケミの気配を感じたのかレイルがふと顔をあげた。

そして


「ぐほぉっ!」


アケミにおでこチョップされた。



「な なな なんですかぁ?!」


アケミは右手の指に数個の指輪をはめているので攻撃力は結構高い。

レイルは涙目だ。

しかしそんなこと気にもとめずに低い声でアケミが命じる。


「地図とガイドブックを寄こしなさい。そして指差した文字を読みなさい。」


有無を言わせぬ命令系。

逆らう事は赦さないというオーラが全身から放たれている。

指先をぴしりとそろえ敬礼でもしそうな雰囲気でレイルはこくこく首を上下に動かす。


ガイドブックを地図があればあとはガイドブックに書かれている文字を読んでさえもらえばいい。

言葉が通じても流石に文字は読めないのだ。

(そんなこといったら言葉が通じるのは絶対奇怪しいとか思ってはいけない)



「あ あのでも…この街のことは自分がよく知ってますし…自分に聞いてくだされば」


「お黙り」


低く鋭い声。

レイルは思わず「ひっ」とか言って仰け反り、おずおず上目遣いにアケミの表情を窺う。


鋭く光る眼光。

威圧的な立ち姿。

妖しく、けれど同時にとてつもなく魅力的な微笑。


「あ ああの…あのあの」


「私が言ったこと、理解できる?」


アケミが唇の端をすっと持ち上げる。


「は はいっっ」


条件反射のようにこくこくと首を上下に動かす。


「そう、いい子ね」


腕組みをしてククっと小さく哂う。

レイルはなぜかヘナヘナと地面に座り込む(内太股を合わせて下腿を開くペタんとした女の子座り)

アケミを見上げる視線はウルウルしててちょっといっちゃってるカンジだ。


「仰せのままに、女王様…」


アケミは手下その1を手に入れた。


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