肉付きの面
「じゃ、3・3に分かれるか」
厳蔵は先程の斧をあきらめ、今は般若とひょっとこを足して2で割ったみたいなお面を付けている。
「…それ肉付きの面だよ?」
パリラが薄く笑いながら厳蔵の顔を指す。
ちなみに肉付きの面とは一度付けると顔から剥がれなくなるお面のこと。
「マジかっつ?!」
厳蔵があわてて取ろうとするがモチロン取れない。
ふあーうおおぉーひぎゃー とか騒いでいる。
「じゃーグーパーしようぜグーパー!」
床をのた打ち回っている厳蔵をまるっきり無視して拓斗が手をワキワキ動かす。
「グーパーってじゃんけんのことだったかしら?」
なんか懐かしい響きだけどよく覚えてないわぁ とやす子。
「ええと、グーパーとはじゃんけんのチョキを抜かしたものです。二つのグループに分かれたい時「グーパーじゃんっ」とか「グーパージャス」とか「グーとパーでわかれましょ」とかの掛け声の後にグーかパーをだして同じ手を出した人間が同じグループになるんです」
ちなみ三グループの場合はじゃんけん同様グー・チョキ・パーを出す。
掛け声は地域によって様々らしい。
そんなつい今しがたWikipediaで調べたような知識を披露する安藤泉。
「厳蔵さん厳蔵さん、大丈夫ですか?グーパーやりますよ?」
叫びながらのたうちまわる厳蔵をオロオロと田所が呼ぶ。
「大丈夫なわけねえだろっ?!くっそマジで取れねえっ!!」
「あらあら、大変。厳蔵さんちょっと動かないでくださいね、剥がしてさしあげますよ」
近付く事すらできない田所に代わってやす子が寄っていく。
「でもそれって呪いだから力でどうにかなるようなもんじゃ…」
厳蔵の顔に手をかけるやす子にポレントがそう言いかけるが――――
びべりぃっっ
「ひいっぎゃああああああああああっ!!!!!」
断末魔 とはきっとこんなんだろうなーとかそんカンジの悲鳴。
厳蔵が顔を抑えて倒れこむ。
「あらあら、厳蔵さんたら大げさね。ほら取れたでしょ?…あらお面にちょっと血がついてる.でも男の子なんだからこれくらいで泣いちゃだめよ。ウフフ」
やす子が微笑みながらその辺にお面を置く。
「…厳蔵さん、大丈夫…です か?」
田所が恐る恐る動かなくなった厳蔵に近づく。
「「「きっと顔の肉削げ落ちてるよー」」」
三つ子がグロイことを言う。
それを聞いて田所は厳蔵に近づくのを躊躇する。
「…ちょっと、厳蔵どうなの?ほら見せな」
しかたなくアケミがつかつか近寄って顔を押さえている手をのける。
それを遠巻きに見つめる一同。
…数秒の沈黙
「ど どうですか?アケミさん」
ごくりと唾をのみつつ七瀬がたずねる。
「ぐちゃぐちゃ?スプラッター?」
拓斗が両手で顔を覆いながらも指の隙間からチラチラ見てる。
「別に…ちょっと頬に擦り傷があるだけよ」
アケミが溜息をつきながら「ほらメンバー決めるんだから」と厳蔵をどやす。
「…へ?ほ 本当か?お、おお!触っても大丈夫だ!!は は はは…な なんだよ!驚かせやがって!」
アケミに言われおっかなびっくり自分の頬を撫で回す厳蔵。
「すごーい!全然肉剥がれてないー!」
パチパチ拍手するピストニカ。
「やっぱ異世界の救世主は違うねー」
身体のつくりとか同じに見えるけど皮膚のつくりは違うのかなぁとかポレントが首を傾げる。
「…きっと面の皮が厚いんだね」
パリラが微笑みながら小声で呟いた。
――――――――…で。
「うわーうわーっちょっオマ マジかよっ!」
「あら、七瀬ちゃんと田所さん一緒ね、よろしくー」
「はぁ、よろしくお願いします…」
「なんだよ。ガキとヲタクかよ」
「あ あの、不束者ですが足を引っ張らないように頑張りますのでっ」
「あqwせdrftgyふじこlp;-@tっつ!!」




