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イッコクドー

「なんでもないわリリー!今腹話術の練習をしているの、こ 今度の舞踏会で披露しようかと思って!!」


姫君が扉を内側から押さえつつ叫ぶ。


「お姫さん、その言い訳ぜってー苦しいって…。イッコクドーもびっくりだよ。」


拓斗が余計な口を挟むのでみんな必死でシーっとか言って人差し指を口にあててる。


「フェオリア様…、誰かいるんですね?また性悪分身三つ子ですね?!」


扉の外から聞こえてくる女性の声に凄みが増す。

部屋の中にいる7人+三つ子+姫君はごくりと唾をのみあとずさる。


「ち 違うわリリー…だ 誰もいないって言ってるじゃ…」

姫君のセリフが言い終わらぬうちに

バギャっ

姫君が押さえている扉から腕が生えた。


「ひいいっ!!!」


姫君とびのく。

細かい彫り物で飾られた堅い高級木材の扉から突き出た腕は無駄な脂肪など一切無く、強靭な筋肉と密度の高そうな太い骨で構成され、節くれだった力強い拳は岩石すらいとも容易く砕くであろう。



「ピンっ!ポンっ!」


パリラが小声で、しかし鋭く兄弟達に指示を出す。

2人は頷き素早く行動に出る。


ピストニカが近くに居た安藤泉と拓斗の腕を掴み

ポレントがやす子とアケミの手をとる。

そして七瀬・厳蔵・田所をパリラが寄せ集め低く呟く。



『空間と次元、不文律より水晶の眼差しを歪めよ』



姫君を除く10人の周囲に薄い霧がたちはじめる。

それは徐々に白く濃度を増す。


「見えなくなってるけど声は出さないでね」


すっげー とか拓斗が口をパクパクさせて興奮している。

厳蔵は周りにたちこめた白い霧を吸ってみている。



扉から突き出た手がワキワキ動き内側からかかっていた鍵を開ける。

腕が抜かれ「フェオリア様入りますよ?失礼いたします」と軽いノック。


扉を破壊する際に失礼しますと言うべきじゃないかなァと一同は思ったがもちろん口にはださない。


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