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オバQ愛好者集団

草原を横切り、少し歩くと土を平らに馴らした道があった。

7人と魔法使いの2人は城を目指し歩いている。



「なあなあ、なんで前みたいにビューンって魔法で行かねえの?」


拓斗が魔法使いのローブをひっぱる。

魔法使いはやす子が持ってきた重箱の風呂敷を左手にぶらぶらさげながら歩いている。


「えー、それはー移動魔法って結構高度な魔術なんだよね。それに君達7人もいるじゃん?僕等かなり魔力は高い方なんだけどー流石に7人をいっぺんに移動させるには3人一緒に魔法を使わないと無理っぽいんだよねー」


「ふーん…、魔法ってのも色々あんだな。ところでオマエは誰だっけ?」


「僕はピストニカだよ」


拓斗は重箱持ったピストニカと前の方をアケミと話しながら歩いているポレントを見比べる。

ホクロとか痣とか背の高さとどっか違いが無いか探すがまったく同じように思えた。

その様子に気が付いたのか、はたまたそういったことに慣れているのかピストニカが軽く笑う。


「無駄だよ拓斗、僕等は背の高さから体重、足の大きさ手の大きさまで全部一緒なんだよー」


「ふーん… じゃあさ、髪の長さとか変えねえの?てかなんで服も一緒なんだよ」


「アハハ、これは制服なんだよ。前にも言ったかもだけど僕等は王宮付きの魔法使いだから。それに同じである事には意味があるし。」


すると厳蔵や田所が興味をもったらしく寄ってくる。


「カンニングする時とか便利なのか?」


「マラソンの時に入れ替わるんですか?」


ピストニカは2人の言ったカンニングとマラソンの意味がよくわからなかったらしく首をかしげる。


「んっとねー、異世界からきた人に言ってわかるかどうかわかんないけどー、大きな魔法を誰かと一緒に使う事は結構よくあるわけでね、その時赤の他人とやるよりも親友とか恋人とか兄弟とかとやった方が成功率が高いんだよね。んー、ほら息が合うっていうの?」


「ああそれでしたら、同じ遺伝子の三つ子や双子は都合がいいでしょうね」


「うん、まあ見た目を一緒にしなくても他人とやるよりは全然いいんだけど。相似の力を加えた方がもっともっと確立があがるんだよ」


僕達魔法を職業にしているからやっぱコンディションはいいにこしたことないっしょ?とピストニカ。


「へー、よくわかんねーけど。へー」


拓斗がわかったんだかわからなかったんだかどうでもいいような納得をする。





「つまり私達の存在はあんたたち4人しかいまのところ知らないってわけね」


アケミがポレントにいくつか確認の質問をしながら先を歩いている。


「うん、国のお偉いさん達は対策本部とかで毎日話し合いをしているし被害のあった街や主要道には警備兵やなんやらを派遣してはいるけれどこれといって改善策を出す様子がないから。君達を呼び出したのは僕達の完全な独断」


二人の会話を七瀬は少し後ろから聞いている。

ちなみにその手にはなぜか人形。


「お願いですお願いしますお願いでござります…ミシェルを返してぇえぇ…」


背後からは不気味な懇願。


「うるさい」


その懇願を氷点下の声音で黙らせる。

ついさっきまで安藤泉が歩きながらずっとミシェルミシェルミシェルと人形に話しかけて不気味に笑ったりしていたのが七瀬の神経を逆撫でしたらしく人形を没収されたらしい。


「ふーん、この人形生意気にレース付きの下着はいてる」


「うわーうわーうわーっ!!ななな なっ!なんてことを!僕だって見た事ないのにスカートを覗くなんてなんてハレンチな女子だ!!」


「女子とか言うなよヲタク。てか自分の人形なんだから自分がはかせたんでしょうに」


七瀬が人形を逆さに持ってブンブン振る。


「や やめてくれぇー!!ああぁ なんて酷いっ!だから三次元の女人はっ」






十数分歩くと城の裏手に着く。


「ちょっとまってて、君達の服装とかだと門兵にあやしまれるから」


門の少し手前でポレントが7人を止める。


「たぶんここにいればパリラが気付くと思うんだけど…」



「おっきな城だー!シンデレラとか居そうだなー!」


拓斗が首をそらして城を見上げる。


「そうね。大きいわねー。お掃除大変そうねー」


やす子も家賃お幾ら位かしらとかいいながら眺める。


すると城上階の窓から何かがゆっくりと降ってきた。


「あ、気付いたみたい」


ピストニカがその物体に向かって指を向け何か呪文を呟く。

するとそれは風にのるようにすーっとこちらに近付いてくる。


「パリラやっぱお姫様を連れ出せなかったみたい。荷物だけ寄越したね」


ポレントが手を伸ばして近付いてきた一抱えほどの白い包みをとった。

そして包みを開き中から白い大きなシーツのようなローブを7枚取り出す。


「はい、みんなこれ頭から羽織って。急な客人ってことで門を通るから」


7人はローブを受け取り着込む。


「本当にこんな変装で通れるの?」


七瀬は他の6人を見ながら不安を口にする。

なんだかオバQのコスプレ愛好者の集いみたいになってるし。


「大丈夫!この時間裏門の番をしてるのは門兵の中でも一番アホなやつだから」


さあ早く行こうとピストニカが7人を急きたてる。


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