異世界へ!ふたたび
「ぐえ」「きゃぁ」「ヒェっ」「ぎにゃあ(>Д<)」「うお」「どあああああ」「ぐっ」
クウィンディの城下街から少し離れた草原に、鉄でできた四角い大きな箱が一瞬にして出現した。
その箱の一面には中央から開く引き戸が付いていてなにやら内側からこじ開ける音や声が聞こえる。
「つうかよお、あのやたら眩しいピンクの光なんとかならねぇのかよ。」
派手なシャツを着た中年男がぶつぶつ文句をたれる。
「ちょっと拓斗!リュックから出た剣が顔にぶつかって痛い!!」
セーラー服を着た女子高生が小学生位の少年の頭をハタく。
「っイテ!いいじゃんかー別に傷ができたからって騒ぐような顔じゃ…」
女子高生は無言で小学生に踵落としをキレイにきめた。
扉が開くとギャイギャイ騒ぎながら荷物を持った人間が出てくる。
いかにも遠足チックなリュックからおもちゃの剣を覗かせている小学生。
旅行カバンを持ったセーラー服の女子高生。
3段重ねの重箱が入ってそうな風呂敷とエコバッグを肩からさげた主婦。
A4サイズの書類が入りそうな鞄をさげているサラリーマン。
萌えと電機の街によく似合う大きなリュックを背負った大学生(手には人形)。
古臭い革張りのトランクとコンビニ袋を持ったマトモな商売してなさそうなオヤジ。
財布と煙草くらいしか入らなそうなハンドバッグ一つのけだるい雰囲気の女。
「約束どおり、来たわよ。」
アケミが眠そうに目を細めながら草原に立つ。
「「ようこそ!救世主、待ってたよ」」
まったく同じ顔の二人が声をそろえる。
黒い髪に黒いローブ、少しキツめの瞳。
7人を異世界に引きずりこんだ魔法使い。
「あれ?おまえら双子だっけか?」
厳蔵が魔法使いをじろじろ見る。
「その日の気分で二人に分かれたり三人に分かれたりするのかしら?」
「やす子さん、それは無いと思いますよ…。プラナリアじゃないんだから」
「プラナリアは分裂しますが戻ることはしません…ねぇ、ミシェル」
七瀬のツッコミにツッコミをいれる安藤泉、しかし睨まれたらしく最後の方は人形に話しかける。
「「ちがうよ、三つ子だよ」」
「そうだよなぁ、なんだっけ?名前が…三人まとめて…ええと」
眉根を押さえて厳蔵が唸る。
「チャイムっぽいカンジだったと思いますよ」
田所があれあれ出てこないなあとかいって首をかしげる。
「あ、キンコンカンさんですよね?」
やす子がぽんと手をうつ。
「いやいや違ぇよおばちゃん、えーと…チントンシャン?」
「そんな芸妓さんっぽくなかったと思う…」
「トンチンカンはよしこちゃんだろー?」
「アイマイミイっていうネコのキャラクターが昔あったの知ってる?」
「結構三つ子キャラってあるんですねぇ」
「そんなのどうでもいいから。で、私達はとりあえずどうすればいいわけ?」
アケミが溜息をつきながら問う。
「「アハハ、すっごい先行き不安―」」
魔法使い達は顔を見合わせ苦笑する。
「じゃ、とりあえず城に案内するよ」
「ちなみに名前はピンポンパンね。僕はピストニカ、こっちポレント。」
「パリラとお姫様も来るはずなんだけど、たぶん樋熊に手こずってるのかも」
「…ヒグマ?」
七瀬が聞き返す。
「そう、メイドの樋熊」
ポレントがにっこり笑いながら答える。