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踊り場

「とりあえず一時間後にやす子さんのお宅に集合、これでいいのね?」


短くなった煙草を名残惜しそうに携帯灰皿(以外とマナーがいい)に押し込みながらアケミが確認する。

ここは4階、階段の踊り場。

どうでもいいが階段の途中にあるスペースをなぜ踊り場というのだろう?

誰かが踊るのか?簡易舞台?

階段の途中にある舞台って危なくね?

足滑らしたら転がり落ちるじゃん。


「うちはもう主人も子供も出かけてるからいつでも大丈夫よ、でも七瀬ちゃんや拓斗くんは学校いいの?今から服を着替えて急いで行けば間に合うんじゃないかしら。」


やす子が頬に手をあてながら心配そうにたずねる。


「いやあ、さすがにあんな事あった直後に学校に行けるほど神経図太くないんで…」


七瀬がパタパタと手を振ると横から拓斗が


「またまた、七瀬姉ちゃんの神経はゴボウ位あるはずだぜ」とか言う。

七瀬は怒るべきなのかイマイチ判断がつかないのかパタパタと横に振っていた手を縦に変えてパタパタしている。


「私は会社に休むと連絡したんですが君達は親御さんに連絡してもらった方がいいんじゃないかな?」


田所が泥の付いた携帯電話を拭きながら首をかしげる。


「おう!何なら俺が親のふりして先公に電話してやるぞ?」


今どき先公ってどうなのよとか七瀬がぼそりと呟く。

そんな会話をぶった切るようにして安藤泉が口を開く。


「あああああ、あのっ!一時間後にやす子さんのお宅に伺いますのでぼ 僕はミシェ…ミシェルにあ会いたいので…そ、そのもう…あ、ああああ」


「わかったから、さっさと行け」


アケミが顎でしゃくるようにして許可する。

うわあああひぎゅああぁミシェルゥ~ とか叫びながら安藤泉は風になった。

そんな後ろ姿を汚い物を見るような目で眺めた後、七瀬はやす子に自分の携帯を渡しながら


「すみません、高校2年A組高槻七瀬は風邪の為休みますとゼーゼマン先生に電話していただけますか?ウチ両親共働きでもう出掛けてしまって…。あ、番号は押してありますので通話ボタンで繋がりますから」


「あ、あらあらもちろんいいですよ。あの、でもそのゼイゼイマンさんは日本語…」


「大丈夫です、英語の担当なのでゼーゼマンと名乗ってますが見た目はモロ日本人です。本名をどうしても教えてくれないのでみんなしかたなくゼーゼマンと呼んでいるだけです。」


「そ、そうなの。あじゃあ拓斗くんも電話しましょうか?」


「あーオレは大丈夫。親父は仕事でかーちゃんは朝早くにパート行ったけど水疱瘡で休んでる姉貴がいるからそいつに電話させる」


「え?志保、今頃水疱瘡?」


七瀬が怪訝な表情で問う。

拓斗の姉・志保は七瀬と同じ年で学校は違うが仲は良い、ただ性格はカナリ違う。


「そう、とにかく奴はトロイんだよ。きっと小学校の時もらってきたウィルスが今頃発病したんだぜ。高校生にもなって水疱瘡ってどうよ」


拓斗が溜息をつく。


「じゃあまあとにかく、いったん各自家帰ろうぜ。俺はさっさと風呂に入りてぇ!」


厳蔵のセリフを合図に6人はバラバラと帰途につく。


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