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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
再開と洗礼
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現状確認

 "精霊の涙"から転移で学園に戻り、早速特訓をと思っていた俺だったが、その前に大事な話があるという事で、自室に待機している状態だ。



 俺だけじゃなく、冬馬・ゼル・リンちゃんの地球組はもちろんの事、いつものメンバーであるリュウ・ノエル・レド・アリア・レイアの姿もあった。……つーかこんな人数で入ってもまだ余裕のある寮って……今更ながら流石異世界。



「にしてもどんな経緯いきさつだ? 帰ってきたと思ったら国王様と一緒、おまけにオレたちにまで訓練をつけてくれる事になってるなんてよー」

「ねー。すっごく楽しみではあるけど、なんか裏があるんじゃないかと疑っちゃう自分もいるし……なんだかウチも複雑な気持ち」



 備え付けのソファーにだらしなく座ったノエルの呟きに対し、椅子に座りながらテーブルに突っ伏したレイアが反応する。



「私は訓練よりも、国王からの重要な話という方が興味がそそられますがねぇ。一体どんな話が聞けるのか……胸が高鳴ります」

「リュウってたまーにあれだよね、何だかダイゴとかトウマみたいな時あるよね。変なところで熱が上がるというか……」



 ノエルがだらけているソファーの前に座って心なしか目が輝いているように見えるリュウと、リュウの足元の床に座り込み武器の手入れをしているレドがそう話している……って"変"の一例に俺を出すな。



「うーん、特訓もお話も気になるけど、ダイゴくんもトウマくんもまだ何も聞いてないんだよね?」

「んあぁ、まだなんも知らねぇ状態だぁ。コソっと教えてもらおうとも思ったんだけどよ、ちょっとパパさんの気迫が許してくれなかったわぁ」



 レイアの正面に行儀よく座り、膝にリンちゃんを乗せたアリアからの質問に対し、逆立ちをした状態の冬馬が答える。逆立ちは、肩周りとか背筋とか体幹とかが鍛えられて良いんだとかなんとか。



「……おなか、すいた」

「こんな時ぐれェ我慢しろ」



 アリアの膝に座るリンちゃんに冷たく返すのは勿論ゼルだ。一人だけ床に座り、壁に背を預けている。



 ゼルが敵じゃないという事は以前皆に話しておいたから、警戒心を露にする人はいなかったけど、ゼルは何となく居心地が悪いのか、今の一言を話したっきり口を開かなくなった。



 そうこうしていると、部屋のドアが三回ノックされ、国王様とミーナが部屋に入ってきた。



「待たせてすまなかったね。早速になるが本題に入ろうと思う」



 そう切り出した国王様の口から先ず語られたのは、自身が帝の一人である事。聞いた当初、俺は度肝を抜かれた内容だったが、他のメンバーは割りと知っていたようだ。



 続けて空上都市での出来事と、その後の俺たちと帝たちの戦いの事。そして最後に、部屋にいるメンバーに訓練をする事になった事だった。



 濃い内容を簡潔且つ的確に話した国王様。一息入れた後に言葉を続ける。



「ここからは、何故君たちに訓練をする事になったのかという理由と現状を話そう」






 国王様からの話はこうだった。



 現在のミリアルには"アナヴィオス"という組織がある。その組織が掲げているのが、"邪神復活"だ。俺と冬馬が女神様から話を聞いた組織だろう。



 そもそも邪神の復活の為には、鍵となる五つの"女神の力を宿した道具"が必要らしい。その五つと言われているのが、首飾り・杖・水・剣――そして本。俺たちが読んだあの本だという。



 水は"女神の湖"という場所の湧水の事を示し、本は代々メリト王国にて守られているという事は分かっていたが、首飾り・杖・剣に関しては、所在すら分からない状態であったという。



 話を戻すと、アナヴィオスとの過去の戦いにより、一度は壊滅寸前まで追い詰めたが、当時アナヴィオスの幹部であり、現在はトップになっているファレーラという男には逃げられてしまった。



 その後数年間、居場所も生存も確認出来ない状態となってしまっていたが、突如ファレーラが姿を現した。そして、既に邪神復活の為の鍵となる道具の内、首飾りと杖を確保していることが判明した。



 ……というより、アナヴィオスの方から、"精霊の涙"のギルド員に言伝があったようだ。赤い髪で細目の、異常な強さを持った男から。



 そのギルド員に詳しい話を聞こうとしたらしいが、その後行方が分からなくなってしまい、見つけた時には既に……だそうだ。



 そして、水はすでに確保されていると考え、残りの剣と本を死守する為に動いていたのがつい先日まで。ゼルの力によって剣の所在地を凡そで特定し、ナックさんと三人の帝がファレーラを追っているのが現状、という事だ。



 そこまで話した国王様は、一度間を置いてさらに続けた。



「以上が、現在起きている事柄となる。そして、皆に訓練を積む事となった経緯なのだが……正直、現状では手が足りない状態と見ている」



 顔を歪め、少しだけ目を伏せながら、国王様はそう話す。



「我々帝とナックだけで敵陣営に乗り込む事は出来るだろうが、細かい内部事情が分からない状態では愚策としか言いようがない。それに、我々が国を離れた時に、国を直接攻め込まれでもしたら、それこそ取り返しのつかない事となる」



 失礼な言い方かもしれないが、最もな意見だろう。



 赤い髪の細目の男……十中八九レイトの事だと思うが、アイツの強さは身に染みて理解している。あの強さの敵が他にいて、ソイツが帝たちのいないメリト王国にでも攻撃を仕掛けようものなら――考えたくもない状態だな。



「現在ギルドに所属している者の強化も勿論実施したが、良い成果とは言えない状態だ。そんな状態が続いていた時に現れたのが……君たちだよ、キリュウ君、トウマ君」



 伏せていた目を上げ、俺と冬馬へと視線を向ける国王様。

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