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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
動き出す歯車
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相変わらず

「すまないな、驚かせてしまった様だ」

「い、え。……大丈夫です。落ち着きました」



 呼吸を整えたところで、出されていた右手を掴み握手に応じる。その瞬間、国王様が出していた炎の龍は一瞬で姿を消し、国王様から出ていた圧迫感も消えた。



「さて、改めての自己紹介が終わったところで、私の本題へと入ろう。時間も掛かってしまっているからね」



 話しながら玉座へと戻り、再度深く椅子へ座り直す。



「私が空上都市へ向かう理由、娘の身を心配して……という事も大きくあるが、第一に緊急召集が掛かったからだ」

「緊急、召集……ですか?」

「そうだ、その場所が"空上都市ナス"。用件は言えぬが、上からの指示なもんでね、断るに断れないんだよ」



 上からの指示って……この人国王だろ? そんな人より上って一体……。



「国王というのはあくまで役職に過ぎん。今回の上というのは、所謂戦場での話だ。……と言ってもそいつの方がまだまだ若造なんだがね。君とは面識がある様だが覚えていないかい? ナックという男なのだが」



 覚えしかなかったし、こっちに来て最初にお世話になった人です。



「な、ナックさんですか!? でもあの人ギルドマスターじゃ……」

「ギルドマスター兼私たち帝のトップだよ。国王兼ミーナちゃんのパパ兼炎帝の私でも、アイツには勝てん」



 いや明らかに流れにふさわしくない称号が混ざってた気がするんですけど、気にしない方がいいですかね。



「お父様、そろそろ行きましょう。時間も限られていますので。キリュウ君、転移を用意してもらってもいいかしら?」

「オーケイ、わかった」

「……なんだかいつもと少し雰囲気が違うようだけど、どうかしたのかしら?」

「……ちょっと情報の整理に頭を使ってたけど、もう大丈夫だ。やっと落ち着いてきた」



 言いながら今度は魔法陣を展開して"転移"を唱える。人数は三人だし、そこまで広くなくても大丈夫だな。



「なんと……本当に転移を魔方陣で発動できるとは……キリュウ君、王宮の兵士に興味は――」

「――お父様?」



 俺を勧誘する国王様にミーナの怒気が蠢く。……どうしよう、自分で展開した魔法陣だけど直ぐにでも出たい。



「そっ、それじゃあ行きますよぉ!? "転移"ッ!」



 一刻も早く魔法陣から出たい一心で転移を唱える。王宮内でこんなに必死になって魔法を使う事になるとは。






 ◆  ◇  ◆






 "転移"を唱えて数秒。景色は戻り、また辺り一面砂に囲まれていた。左側に目線をやると、オアシスに仰向けで浮かぶ冬馬とリンちゃんの姿が。



「あぁ~。やぁっと帰ってきたか大護このやろぉ。待ちくたびれたぞこんちくしょぉ」

「……あつい」

「ごめんな二人とも。ちょっと王宮まで行っててな。気を引き締めて扉を探そうぜっ!」



 俺の王宮という発言を聞いて、ようやく国王様も来ていることに気が付いた様子の冬馬とリンちゃん。「お久しゅうございますぅ」と無礼極まりない格好で挨拶する冬馬に「相変わらずだね、トウマ君」と大人過ぎる対応を見せる国王様。



「よし、この光景の事は忘れて……早速だけどミーナ。この近くに扉はありそうか?」

「……ダメね。付近にそれらしいものは見当たらないわ。手当たり次第に探した方がよさそうね」



 ミーナの提案から二手に分かれる。俺とミーナ、冬馬とリンちゃんと国王様のグループに分かれての扉探しだ。

 国王様が一瞬駄々をこねそうになったけど、ミーナに「能力を持ってる私達が一緒に動いてどうする気ですか?」というド正論を突きつけられ、見事に撃沈。



 二手に分かれてから凡そ一時間。未だに扉は見つかっていない。能力を使うことで多少でも体力を消費するのか、顔に汗を滲ませるミーナの姿が目に入る。



「ミーナ、疲れとかは大丈夫か? 少しでも辛くなったら言ってくれよ?」

「ええ、ありがとう。まだ大丈夫だから心配しないで」



 そう言ってはいるものの、表情を見る限り辛そうにも見える。負担を減らすためにも早く見つけたいが、俺には魔力の痕跡は見えないし……そうだ。



「ミーナ、ちょっと止まってくれるか?」

「? 構わないけれど……」



 止まったミーナの肩に手を当て回復魔法を試す。精神的な疲労にも効果が出ないかと思ったからだ。



「……よし、どうだ? さっきと比べて」



 そう聞くもミーナからの反応は無い。あれぇ?



「……急に触られると、ちょっと大変ね……」

「えっ?」

「なっ、何でもないわ……それよりありがとう。ちょっと身体も楽になった気がするし、続けましょう」



 ちょっとまだ様子がおかしいような気もするけど……大丈夫か。



 そんなこんなでまた一時間程度が経過しようとしたタイミングで、遠くの方から「……みぃぃいつけたぞぉぉおおいっ」という冬馬の声が響いてきた。



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