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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
動き出す歯車
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入口探し

「都市に繋がる入り口があるのですが、"今の入り口"が何処にあるのかは、私にはわかりません」

「"今の入り口"?」

「はい。空上都市は日々場所を変えています。それに伴って都市に繋がる扉が、都市の真下の位置に姿を表すのですが……如何せん都市そのものの姿が見えないため、現在地を特定できないのです」



 俺が漏らした疑問にそう答えるリュウ。なるほど、だから"今の入り口"って事なんだな。



「おいおいマジかよ。そんな扉どうやって見つけろってんだぁ?」



 嘆くようにそう言うのは冬馬。しかしその通りだ。まさか残り三日で世界中を回れなんてこと不可能だし。



「探す方法としては一つ。都市と扉を繋ぐ魔力の痕跡を見つけ出す。という方法になります」

「ま、魔力の……痕跡?」

「そうです。時にレド君、ノエル君。授業等で先生方が魔力を使用した際に、発動した魔法と先生の身体の間を繋ぐ"モヤ"のようなものを見た事はありませんか?」



 ここで不意に聞きに徹していたレドとノエルに話を振るリュウ。ずっと会話に参加していないリンちゃんは、いつの間にか椅子の上で眠っていた。あの子どこでも寝るなぁ。



「あー、うん。見た事あるよ。意識しないと見えないくらいだけど」

「オレもそんな感じだな」

「やはりそうですか……話を戻しますと、それが魔力の痕跡です。空中都市と今ダイゴ君とトウマ君に聞かなかった理由として、これが異世界人にも通じるものであるのかが分からなかったので、先にミリアル生まれの彼等に聞いてみました。お二人とも、その様なものを見る事はありますか?」



 目を合わせる俺と冬馬。そのまま二人で首を横に振る。そんなものは見た事が無い。



「そうでしたか……そうすると魔力の痕跡は、異世界人には見えないのかもしれません。となると必然的に、貴方たち三人では扉を見つけることが出来ないかもしれません」



 となると、俺達三人で向かうのは難しそうだな。かと言って、他のみんなと行っても、意識しないと見えないものをどうやって探せば……。



「辿り着く結論は一つです」



 一つを強調するように、人差し指を立てるリュウ。



「魔力が明確に見れる人を頼ればいい、それだけの事です。幸い我がクラスに一人該当の人物もいる事ですし、貴方の頼みとならば、快く力を貸してくれるでしょう」



 魔力が見れる人物……あぁ、そう言えばそんな話を本人から聞いてたな。王族の能力でそんな力があるって。



「ミーナだな」

「お見事です」



 パチパチと小さく手を叩くリュウ。何がお見事だよ、殆ど答えに導いてくれていたくせに。

 何にせよ今後の動きは決まった……となると善は急げってヤツだな。まずミーナにも事情を説明しないと。






 ◆  ◇  ◆






「――事情は分かったわ。私に出来る事なら協力しましょう」

「ありがとう、助かるよ」



 リュウに導いて貰ってからすぐ、俺はミーナの部屋へ移動した。しかしそこには何故かアリアとレイアもいて、結局全員集合状態となった。

 そのままミーナの部屋で話すのも忍びないと感じたため、俺の部屋に呼び、先程の話をミーナ、アリア、レイアにも話したところだ。



 話した後は、アリアとレイアはリンちゃんの様子が気になったのか、再度俺のベッドで眠るリンちゃんの元へ向かった。その時にミーナに協力を申し出て今に至っている。



「後は明日からどう探して行くかって事になるけど……冷静に考えれば、いくらミーナが魔力の痕跡を見れるからと言っても、結局探し回っていくしかなくなるのか?」

「それなんだけど、お父様の力なら大体の場所を特定できると思うわ。明確な場所までは恐らく割り出せないと思うけどね」



 ミーナ曰く、力の強い国王様なら、地図上で範囲を割り出せる可能性があるようだ。その範囲は、恐らく直径で約十キロほど。三日で世界を練り歩く事に比べれば、かなり楽に探せる範囲だ。

 早速お願いする事になり、ミーナはそのまま国王様と連絡を取りに行った……と思ったら十分もしないうちに帰ってきて、明日の昼までには割り出してもらえる事になった。流石重度の親バカ。



 時間も日を跨ぎ始めようとしたところで、各自自室へ戻っていく。リンちゃんもアリアが自室へ連れて行った。そして最後まで残っていた冬馬と、明日の話をしている。



「そういや大護ぉ、ミーナちゃんも一緒に行くのは分かったけどよ、移動はどうすんだぁ? 俺とリンちゃんと大護だけなら場所によっては走って行くのが最速だったろうけど、ミーナちゃんも一緒となるとそれも難そうだぜ?」

「移動かぁ……まあ、実際に遠い場所になるかどうかはまだ分からないし、取り合えず国王様が範囲を特定できるまでは待って、そこから考えよう」

「そりゃあそうかもしんねえんだけどよぉ、何となく遠くになりそうな気がしてよ……ま、いらねえ心配だと思いたいところだなぁ」

「大丈夫だろ」



 そのまま夜は更けていく。冬馬の予感が見事に的中する事など露知らず――



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