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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
学園の日常
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模擬戦 ノエル対りん

 自分も行くと宣言したリンちゃんを連れて、五人で訓練場へと向かった俺達。冬馬がリンちゃんを肩車しながら移動したもんだから、ちょっと周りの視線が気になったが、それ以外は問題なく、無事に訓練場へ到着。



「さてっと。俺と冬馬はいつも通り能力の確認しながら模擬戦をやろうとおもうけど、ノエルとレドはどうするんだ?」

「うーん、一先ず身体をほぐしつつ魔法の練習をしようかなぁ」

「オレは武器捌きの強化をするつもりだぜー」



 それならちょっと離れた場所でやった方がいいかな。



「あっ! やっぱり後半からダイゴとトウマと模擬戦をやりてーんだけどいいか? 格上と戦うことも必要だろうからな」

「俺ぁ構わねえけど、果たして戦いにもなるかどうかだなぁ」

「いつまでもあの時のオレと同じだと思うなよ? トウマ」



 激しい火花が出ているような雰囲気を出す二人。そこへリンちゃんが歩み寄り、二人を見比べる。そのままノエルに向き直り、



「……むり。君じゃとうまには、絶対勝てない」



 そう言い放つ。……ってリンちゃん? どうして火にガゾリンをぶちまけに行ったの?



「……ほぉう、なんだちびっ子。お前にそんな事が分かるのか?」



 ちなみにノエルとレドには、リンちゃんが同い年だという事と、同じ異世界人である事はさっき伝えた。だからこそのこの口調だ。小さい子が嫌いとかそういうんじゃないぞ。



「……むしろ、なんでわかんないの?」



 ノエルのこめかみに青筋が浮き出る。



「やってみないと分からない事も、この世にはあるんだよお譲ちゃん」

「……それは同意。でもきみじゃ、とうまには、勝てないよ? リンにも、負けるよ?」



 ノエルの青筋から血が拭き出る。なんだその漫画みたいな現象。



「……リンに勝てないんじゃ、今のとうまには、絶対勝てないよ?」



 ノエルが自分の武器を地面に打ちつける。その衝撃で訓練場全体に鈍い音が響き渡る。……流石に怒ったか。



「じゃあまずはお前とやってみるかちびっ子。泣きっ面にしてやるよ」



 それを聞いたリンちゃんは、少し口角を上げて構える。……この子わざとやったのか?



「……いいよ。やれるものなら、やってみて」



 その言葉を聞いてノエルがリンちゃんへ向かって飛び出す。確かに選抜試合の時よりレベルは上がってるみたいだ。――でも遅い。



「おらァッ!」



 突進の速度を活かしたまま、ノエルが棍を突き出す。リンちゃんはそれを避けようともせず、寧ろ突き出された棍に向かって前に出る。



 そしてそのまま小さな拳を伸ばして、ノエルの棍の先端へぶつける。



 物体が正面衝突したような音が辺りに鳴り響き、先に攻撃を仕掛けた筈のノエルの体勢が崩れる。



「な――にィッ!?」



 よろめくノエルへ向かって再度前に出るリンちゃん。そのままノエルの腹へ掌打を決める。



「が……っ!」



 体勢を崩された状態でまともに追撃をくらったノエルは、そのまま地面へと倒れこむ。



「……ね? 言ったでしょ?」

「ね? じゃねえ。やりすぎだリンちゃん。模擬戦なんだから寸止めでも良かっただろ」



 雰囲気よろしくな感じで決めたリンちゃんだったけど、いつの間にか後ろに来ていた冬馬に軽いチョップをもらい、その場に蹲る。



「……とうま、痛い」

「んな訳あるか。……それより大護」

「分かってる」



 冬馬に言われるより先にノエルの元へ移動し、最近コントロール出来てきた回復魔法を使う。見たところ外傷は無さそうだな。



 すぐに治療を終えて、ノエルの表情を確認する。目は空いてるから意識はありそうだな。



「大丈夫かノエル? トイレ行くか?」

「なんとか……大丈夫、ってところかな。気分も問題ない。ありがとなダイゴ」

「気にすんな。立てるか?」

「あぁ、大丈夫だ」



 大丈夫と言いつつふらつくノエルに肩を貸す。俺の肩に捕まりながら立ち上がったノエルは、冬馬にお説教を受けているリンちゃんの元へ向かう。



「ノ、ノエル。落ち着いて」

「大丈夫だよレド。ノエルのやつ怒ってる訳じゃないから」



 また争いになると思ったレドが心配そうにノエルを止めにいくが、そのレドを俺が止める。



「ちびっ子……いや、リン」



 名前を呼ばれた事に少し驚きを見せるリンちゃん。冬馬のお説教が効いているのか、ゆっくりと振り返る。



「本当にオレなんかまだまだだったな、また勝負してくれ! 勿論、次も遠慮しなくていいぜ!」



 そう言いながら再び構えるノエル。目をぱちくりさせたリンちゃんは視線を冬馬に戻す。どうやら本当にやってもいいのか確認しているようだ。



「本人がああ言うなら話は別だなぁ……大護もいることだし、懲らしめて上げなさい!」

「……うんっ」



 いや俺が回復できるからって調子に乗るな乗せるな、程々にしなさいという俺の思いは届かず、またリンちゃんとノエルがぶつかる。



「あー始まっちまったか、またノエルの回復が必要になるかなぁ……」



 俺の心配も束の間、早々にノエルが吹き飛ばされて地面に倒れる。しかし、先ほどのようにやられてるわけではないようで、すぐに立ち上がり、再度リンちゃんへ向かう。



 再度ノエルの棍とリンちゃんの拳がぶつかるが、今回はノエルが弾かれる事はなく、その場に留まった。



 そこから棍のみだれ突きが始まるが、それを小さな拳で全て打ち落とすリンちゃん。それだけでは収まらず、徐々に距離を詰める。



 距離が詰められては不利と判断したノエルは、攻撃の手を止めて後ろへ下がろうと試みようとするが、攻撃が止んだその一瞬で、リンちゃんがノエルとの距離を無くす。



「速――ッ!?」



 再度腹に掌打を受けるノエル。決まったように見えたが、ノエルが崩れ落ちる事はなく、リンちゃんの手を掴んだ。



「――捕まえたぜッ!」



 そのまま右手で身体を引き寄せながら、残った左手でリンちゃんの顔面を捉える。女の子に顔になんて事をと思った俺だったが、攻撃を仕掛けたはずのノエルが左拳を庇いながら膝をつく。



「くっそ……なんて分厚い身体強化してんだよ」



 ノエルの左拳からは血が出ていた。対するリンちゃんには怪我の類は一切見られず、いつもと同じ可愛らしい顔をしている。



「……一時的に、額に魔力を集めたの。君の攻撃じゃ、傷一つつけられない」



 そう言ったリンちゃんは拳をノエルに突き出し、いつでも止めをさせるという事を見せる。



「……まだ、やる?」

「……参った、降参だ。マジで全然適わなかったわーちきしょうめーっ!」


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