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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
学園の日常
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長期休暇と襲来、

 祭から約二週間程度経過した夏真っ盛りの現在、俺は終業式的な行事へと出ていた……が、たった今終わった。どうやら明日から長期休学……所謂夏休み的なものに入るらしい。大体一月くらいはこの休みとなるみたいで、その間に寮から実家へ戻る生徒も何人かいるようだ。



 戻らない生徒も勿論いるため、学園自体はいつでも入る事が出来るみたいで、訓練場に入り浸る生徒も何人かいるみたいだ。戻る実家がこっちにはない俺と冬馬にはうってつけの期間である。



 式を終えて教室で待機している状態ではあるが、明日からの休暇に備えて、今からうずうずしているクラスメイトの様子がうかがえる。



 みんなのうずうずを感じていると、リル先生が教室へと入ってきた。



「これで本日の工程は全て終了だ。休暇中は羽目を外しすぎない様にする事。以上だ」



 そう言ったリル先生がそそくさと教室から出た瞬間に湧くクラスメイト諸君。先生が出てからの騒ぎだけど、これ絶対にリル先生に聞こえてるよなぁ。



 とか思ってたら再度教室の扉が開いて、リル先生が顔を覗かせる。



「それと、アカホシとカリエンテ……休暇中に妙な事仕出かしたら……分かっているな?」



 そう一言だけ言い放ち、再度扉を閉めた。騒いでいたクラスメイトがそーっとノエルと冬馬の様子を見ると、ノエルはこの暑い中で震え上がり、冬馬は涎を垂らしながら眠り呆けていた。



 あぁ、アカホシの奴……終わったな。みたいな空気が漂う教室。そっちの方が楽しそうと思った俺は特に何も伝えず冬馬を起こす事に。



「おい冬馬。終わったぞー起きろー」



 しかし俺の声ではやっぱり目覚めない。そんな悪い子には天誅が必要だと判断し、指先を身体強化。おまけで雷属性を付与させてバチコーン。



「いでぇぇぇええあおぅぅぅううっ!!」



 うん、いい感じに魔力操作できる様になってきたな。次はもう少し強めに行けるようにしておこう。



「友人の事をあんな起こし方しておいて、その後の動きに目もくれないってどぉなんだよ大護」

「おはよう」

「えっ、あ、うん。おはよう」

「元気よく目覚められたみたいで何よりだ。さて、一旦部屋に帰って訓練に行こうぜっ」

「ぜっ、じゃなくてよ。俺のクレームは聞いちゃくれんのか?」

「何言ってんだ、聞かねえよ」

「びっくりするぐらい塩対応だなぁおい」



 たんこぶが出来た額を擦りながら部屋へ戻る準備を始める冬馬。その間に俺は、冬馬の額の治療にあたる。指先に集めた魔力を冬馬へ流し込むようなイメージ。みるみる腫れが引き、いつも通りの冬馬の額へと戻る。最近冬馬を起こす時はここまでが一連の流れだ。



 前に、どうせ回復できるしもう一発……とか思って欲張ったら、顔面にだけ身体強化を施した冬馬の額に俺の指が弾かれこっちが痛い目を見た。欲は見せちゃいけないと学んだ日だった。



「二人ともこれから訓練場? ボクとノエルも行く約束してたから一緒に行こうよ」

「おっ、レドか。俺は良いんだけどさ……」



 ちらっとノエルに目を向ける。未だに腕を抱きながら震えるノエルの姿が。一体何を思い出したらああなっちまうんだよ。



「聞かない方が……身の為だぜ。大護よ」

「ニヒルに言ってれば通用すると思うなよ」

「手厳しいことっ!」



 レド曰く連れて行けばいつの間にか元に戻るらしいから、ノエルは冬馬に担がせて持って行くことに。他のメンバーにも声を掛けたけど、リュウは用事があり、ミーナ、アリア、レイアは街へ買い物に行くみたいで、結局四人で訓練場に行く事になった。



 ……気のせいかもしれないけど、最近女の子たちの仲がいい気がする。元が悪かったとかじゃなくて……微妙にあった薄い壁が壊された、みたいな?



「まーた変なところだけ敏感になってやがるわ大護のやつ。どうにかしてほしいものねえ、レドさん」

「ごめんねトウマ。ボクはレイアとかノエルみたいなノリはできないんだ……」

「なん……だと……?」



 後ろから聞こえたそんな囁きの後に響く「起きろノエル! 初めてお前が必要な状況だ!」という冬馬の容赦のない言葉。何故精神的ダメージでKOされてる男へ追い打ちを掛けに行くのか。



 結局そんな状況でも起きなかったノエルを再度担ぎつつ寮へ到着した俺たち。準備が出来次第、俺の部屋に集合する事になり各自部屋へ戻る。



 早速俺も準備を……と思いつつ部屋を開けようとしたところで、自室に人の気配がある事に気が付く。ただ……何となく知っている気配だったからちょっとだけ警戒しつつ扉を開ける。いやいる筈ない子だと思うんだけど――



「……おかえり」

「……何でいるのかな、リンちゃん?」



 俺の部屋でクッキーを頬張るリンちゃんの姿がそこにはあった。



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