想像より難しいモノなのです
あのあと俺たちは本を使って、魔法の知識を一通りだけど頭に入れた。
現在魔法は、初級魔法から始まって、中級、上級、最上級とあるらしい何ともステキな厨二。さらに初級、中級魔法は、努力と魔力があれば誰にでも使えるらしいが、上級はそこに魔力質、最上級には才能が加わるらしい。
けれど、魔力質によっては初級魔法が中級魔法を打ち破るなども可能みたいだ。これは相当な力量が必要らしいけどな。
そして魔法の種類が、地水火風の“基本属性”に、光、闇、氷などの“特殊属性”があるらしいな。あとは発動者の数がかなり少ないと言われている“固有属性”。一言で魔法って言っても色々とあるんだな。
まぁ俺たちみたいに“能力”なんて代物を持ってる奴はいないんだけどさ。
「さってと! ある程度の知識は得たところだしよ、お次は実践と行ってみようぜ!」
冬馬のその一言に了承して、向かった先はギルドの訓練場。結構遅い時間だけど、ナックさんに許可は貰ってるし平気だろう。
部屋を出て五分ほどで訓練場に着いた俺たちは、とりあえず初級魔法を一通り打ってみようということになった。ちなみになんだけど、今俺、もんのすごくテンション上がってます!
「よし、着いたな。そんじゃぁ大護、先にやってみろよ」
「言われなくてもそのつもりだよ」
「ったく。夢中になり過ぎて訓練場壊すんじゃねぇぞ?」
「流石にそんなことはないだろ」
そう思っていた時も俺にはありましたよ。
「……」
「あー……いやぁ、ははっ。まさか……ねぇ」
俺が出した火の初級魔法"ファイアボール"普通なら、バスケットボール並の大きさの火球が出るはずなんだけど……
「なんで俺の"ファイアボール"はバカでかいんだよ」
「いや、俺に聞くなよ。自分で出したんだから」
ですよねー。でもホントになんだ今のサイズは。通常の"ファイアボール"の十倍位あったんじゃないか? そのせいで訓練場の床にクレーターができちまったぞ。これも魔力質によるものなのかな? うん、そうしよう。
とりあえず訓練場には自動修復が付いていたらしいから、傷が直ってからまた再開することになった。
再開して色々やってみたけど、やはり俺は冬馬に比べると身体能力は低いらしい。あと、冬馬は放出系の魔法よりも、“身体強化”などの肉体強化魔法の方が使いやすかったみたいだ。
まぁ俺が中~遠距離型で、冬馬が近~中距離型と思ってくれれば分かりやすいと思う。収穫があったところであとは明日に備えることにした。
「俺が近距離で大護が遠距離か。バランス良く力をくれたもんだなぁ女神さんは」
「まぁ二人で全く同じタイプよりは大分いいんじゃないか?」
「ははっ、確かにな」
俺たちはそんな会話をしながら部屋に戻って試験に向けて寝ることにした。
さてさて本日は試験当日です。気合いが入りますね。心踊りますね。楽しみですね。楽しみすぎて五時に起きちゃったよ。
ふぅ、一旦落ち着こう俺、オーケイ、クールダウンだ。
とゆうわけで編入試験当日、ミリアル魔法学校に来たんだけど、ホントにデカイ。大学の三~五倍位はあるんじゃないかと思わせる敷地になっている。
今度ゆっくり敷地内を散歩でもしてみたいと思いながら、今回の試験場所の訓練場に着いた。
「うへぇ~、ひっろいなぁ。規模が規模なだけあるな!」
「えっと、受付は……あれか、ほら行くぞ冬馬」
「へいよーぅ」
見たところ俺たち二人以外に編入試験を受ける人はいないみたいだ。ってそりゃそうか、まだ4月の第二週だしな。入学式やってすぐに編入生紹介するようなもんだもんな。とりあえず、あそこにいる女の人に話しかければ大丈夫か。
「すみません、編入試験を受けに来たんですけど……」
「ん? あぁ、お前らがそうか。二人とも実技試験なんだろ? さっさと用意して、リングの真ん中に行ってきな」
「う、うっす」
なんだかサバサバした人だなおいとか思いながら、そのままリングの中央に立つ。リングって言ってもボクシングとかみたいな小さいものではなくて、某武道会のようなリングだ。
「おーし、じゃあ今から試験開始すっからなー。ルールは簡単、自分の戦いかたをして力を十分に発揮すること。以上。じゃ始めー」
女性のその一言と共に、リング上には体長二メートル弱ほどの土人形が四体出現した。姿から察するに、ありゃゴーレムかな?
「四体ねぇ、ほんじゃ、一人二体ってことで……お先にィ!」
そう言った冬馬は全身に魔力を纏わせて身体強化を使い、一気にゴーレムに近づく。そしてそのままゴーレムの頭を、アイアンクローの要領で握りつぶした。頭のなくなったゴーレムは、土に還るように消えてゆく。
「ヘッ! レベルを上げて物理で殴れってな!」
「いや、お前殴ってすらいないからな」
つーかホントに速すぎだろアイツの動き。常人なら確実に見えてなかったぞあのスピードは。現に受付の女の人固まっちゃってるしさ。はしたないよ、お口閉じて。
「ほーらぁ、大護もさっさと決めろよぉ」
わぁってるよと返しながら、どうやって倒そうか考える。でもまぁ、使ってみたいやつ使ってみるか。
「えぇっと、こんな感じ……かな? おぉ! できたできた!」
俺が作ったのは雷の剣。無難に"ライトニングセイバー"とでも言っておくか、ライトセイバーではない、断じて違う。にしても属性に"雷"なんて無かったから、多分これも特殊属性とやらに入るのかな、とか思いながらゴーレムに向かって走る。
「そぉっ! りゃ!」
一体目のゴーレムを切り上げて倒し、もう一体の方もそのままの流れで切り伏せる。すると、冬馬の時と同様にゴーレムが消えた。
「なんでもありだな本当に」
「お疲れさん、すげぇなあの雷の剣。どうやって出したんだよ?」
「わからん。まぁ俺の特殊属性がたまたま雷だったんだろう。それよりも……」
やっぱり固まったままだな。そろそろお口を閉じなさいってホントに。
流石にこのままにしておくわけにもいかないし、このあとの流れも聞かないといけないから、現実に戻ってきてもらうか。
「あのー……。もしもーし。おーい!」
「……ハッ!? て、テメェら一体なんだぁ!? あ、あのゴーレムは、平均的で、ええっと、レベル的にもあれで」
「大分混乱してらっしゃるところであれなんですが、俺たちの結果ってどうなります?」
「ご、合格に決まってんだろ! しかも明らかにトップ成績での合格だ!」
合格か、よかったよかった。トップ成績って言っても、今受けてんの俺たちだけだけどね。
……にしても、本格的にズバ抜けてんだな、俺たちのレベルって。他の人の戦いとか見たことないし、唯一の戦いもギルドでのあれだけだし、まぁこれから観察していこうかな。
「とっ、とりあえず合格おめでとうな。これで試験も終わりだから、もう帰って大丈夫だ」
「了解でーす」
「じゃあ失礼します」
なんか思ってたよりも呆気なかったな。もう少し面白い展開とかあってもよかったと思うんだけど……。いやマズイ。変な事を考えるな俺。
「あ! やっぱちょっと待て! 明日から登校になっから、制服だけ渡しちまうからよ!」
「うぃーっす!」
よかったぁ。ちょっと戦っていけとか言われなくてホントに安心した。変な回収が入ったのかと思ってヒヤヒヤもんだよこっちは。
とか色々思いながら制服を受けとるために戻ったんだけど、やっぱり最終的に考えることは、お前の言葉遣いはどうにか出来ないのか冬馬。だった。
(ホントは一戦やってみてえけど、給料引かれちまうからなぁ。でもなぁ、コイツらなら怪我させるなんてことないだろうし……。あぁ)
そんなことを考えてることは二人は知らない。




