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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
面会の時
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ご対面と語られる真実


 俺と冬馬の復活まで凡そ十分。ミーナちゃ以下割愛が終了したのがさらにその十分後だった。全員が落ち着いたところで再び本を見てみる事になったのだが、早速新しい変化が訪れた。



「まさか異世界人《俺たち》しか触れなくなるとは。おまけに異世界人だけの空間じゃないと本を開く事すら出来ないなんて」

「仕方ねえさ。内容は読んだ後でみんなに伝えればいいわけだし、あんまり気にしなくても平気だろぉよ」

「そうかもしれないけど、一応この本、王宮の物だからな」

「かてーこと考えんなってぇ。パパさんも気にすんなって言ってくれたじゃねえかよぉ」

「それよりお前のパパさん呼びが気になりだしたぞ」

「そう呼んでいいってミーナママさんがな」



 絶対罠にはめられてる気がするけど知らないフリをしよう。



 冬馬の事はさておき、改めて本を確認する。魔力を流していた時の光は収まったけど、本の色が濃い青から金色に変わっている。見た目の変化としてはそのぐらいだ。



 あとは、さっき言った通り。俺たち以外の人を含めて本を開こうとしても全く開く事が出来なかったけど、今は通常の本と変わりなく開く事ができそうだ。



「時間を掛けても意味ないし、早速読んでみるか」

「あいよーぅ」



 本を開いて中を確認す――






 ◆  ◇  ◆






 ――どういう事だよ! 全部終わった筈だろ!?



 ――落ち着きなさい馬鹿。でも……本当にどういう事ですか?



 ――ごめんなさい。



 ――謝るだけじゃわっかんねェよ!



 ――本当にごめんなさい。



 ――っ! 待ってください! ねえ!



 ――せめて……どうかご無事で……。






 ◆  ◇  ◆






 ――ん? 意識が飛んでた……のか? それより今のは夢……なのか? なんだったんだ? そしてこの空間はもしかして……。



「大護さん、お目覚めですか?」

「わほぅ!!」



 急に話し掛けられたから変な声が出てしまった。でも今の声って……。



「女神様……ですか?」

「はい、お久しぶりですね。大護さん」

「あ、はい。お久しぶりですね。女神様」



 微笑む女神様の姿に若干困惑する俺。こんなにフランクな人だったっけ? 何かもう少し由緒正しきみたいな感じだった気がするんだけど……。って思っておけばどうせ伝わるんでしょ?



「ふふっ、あの時は初対面でしたからね。女神としてのイメージを崩さないようにそれっぽくしてみました!」



 腰に手を当てて少し仰け反る。えっへん、なんて効果音が抜群に似合いそうな格好でそう話す女神様……女神ちゃん。いや、流石にそう呼ぶのはやめておくか。バチが当たりそう。



 忘れてたけど冬馬も一緒にいる筈だよな? 近くには姿が見えないけど。



「あ、冬馬さんは大護さんより少し前に起きました。お話があるので移動してもらったので、大護さんもこちらへどうぞ」



 女神様がそう言うと、何もなかった空間から扉が出現する。わぉ。魔法にも大分慣れてきてたけど、いきなり出てくるのはびっくりするね。



 言われるがまま扉を開けて中に入る。中には、テーブルと椅子が置いてあるだけの、少し寂しげな部屋があった。



「おっ、大護も起きたか。おはよーさん」

「ああ、悪いな遅くなって」



 俺が冬馬の隣にある椅子に座ると、女神様は俺たちの前に来る位置に座る。



「お二人とも大分ミリアルに馴染んできたみたいですね。最初にお会いした時の反応から見ても大丈夫だと思ってましたけど、お二人なら大丈夫だと信じてました」



 そんな事をニコニコしながら話し始めるものだから、なんだか照れくさくなって何も返せなくなる男子高校生二人。おい、こんな時こそ普段みたいに気楽な返答をしてくれよ冬馬さんっ。



「こんなお喋りをもう少し続けたい気持ちもあるのですが、時間も限られているので……早速本題に入らせてください」



 本題と聞いて俺たちの姿勢も自然と直る。



「まず、この物語と本に関してですが……大護さんの推理通り、この物語は、過去に起きた事実を語り継ぐ為に書かれたものです。そんな物語が衰退した理由も、大護さんのお考え通り、異世界人をこの本に導き、今のこの状況を作る為に行いました」



 一先ず自分の推理が当たっていた事に、改めて安堵する。……だってあそこまでカッコつけて外れましたーじゃ笑い話にもならないしさ。



「名推理、ちゃんとカッコよかったですよ?」

「冬馬、俺を殺せ。今、ここで」

「アホか」



 俺の懇願は友人の一言で掻き消されてしまったが、心に残った恥ずかしさは掻き消えてくれなかった。



「さて続きです。この本に導いた理由、大きく分けて二つ有ります。一つ目は……過去の事実を、間違いなく伝えるために。です」

「間違いなく? それってつまり、さっき俺たちが読んでた物語は、事実に基づいたフィクションだった。って事ですか?」

「大まかにお伝えしてしまうとそうなってしまいますが、物語と事実が違うのは一箇所だけです」



 人差し指を立てて強調するように話す女神様。一箇所だけと聞くと、別に大事じゃないと思えるが……。



「そんで女神さん、その一箇所ってのはどんな事なんスか?」



 少し迷った様子で黙る女神様。覚悟を決めたように口を開く。



「それは……異界の英雄が、その地で幸せに暮らした。という部分になります」



 ……なんか予想の斜め上の部分が修正された気分だった。



「えーっと、その部分に相違が出てても大丈夫なのでは……?」



 真剣な表情で、首を横に振って否定する女神様。



「違うのです。実は幸せじゃなかったとか、そういう事では有りません。重要な事は"その地"という部分。そこが大きく異なる部分です」



 その地が重要? ……ダメだ、考えてもわからない。冬馬も同じようで、自分の頭を乱暴に掻いた後に、女神様に急かすように続きを促す。



「だぁーッ、わからん! 女神さん、結論をくれぃ! プリーズ!」

「す、すみません。私も心の準備が出来ていなく、遠回りをしてしまいました」



 一度深呼吸をして、心を落ち着かせた様子の女神様。意を決した表情で俺たちに目を合わせると。はっきりと結論を言い放った。



「……でははっきりとお伝えします。異界の英雄と呼ばれたお二人は、その後ミリアルからまた別の世界へ異世界転移をして、その地で命を落としました」



 ――俺たちの予想を遥かに凌駕していた結論を。


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