表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛ばされまして……  作者: コケセセセ
学園イベント 2
40/148

オニとの遭遇

 オニごっこ終了まで五分を切った。レドを抑えてから特にオニ側からの反撃はなく、警戒するだけの時間が続いている。このまま時間が過ぎるのが一番楽なんだけど……。そう上手くはいかないよなぁ。さっきからスゲェ見られてる感じがするし。



「なぁ大護、"この視線"……。誰だ?」

「さあな。レドじゃない事は確かだと思う。さっきの隠密行動の高さからして、ここまで判りやすい視線はぶつけてこないだろうし……。リュウも違うかな。アイツ最初の位置から場所変わってないし、第一これの正体がリュウだとしたら、ここまで追い詰められずにやり過ごせただろうし」

「いや、そうなんだけどそうじゃないというか……。というか大護。リュウがどこにいるとかって何で判断してんだ?」

「あぁ、目に魔力を集めて一時的に視力を上げて確認した。所謂目視」

「ほぉーん。魔力使えばそんな事も出来んのか。俺もやってみよう」



 言うや否や「んーっ」とか言いながら目を凝らし始める冬馬。そんなんで出来たら苦労しないわという台詞は胸にしまい、気になった事の追求に入る。



「それに関しては後から教えてやるから今は我慢しとけ。それよりも、お前のさっきの言葉の方が気になる」



 ……言ってから気付いたけど、こいつにやり方教えたら覗きに使うんじゃ……。あとでリル先生にも密告しておこう。



「ん? そっか、さんきゅーな! さっきの言葉って……どれだ?」

「ほら、さっき視線の話で……」



 思い出したようで「あぁー」と言って話を続ける。



「大護は"この視線"の相手がオニの誰かと判断したみたいだけど、多分これはクラスの奴らの視線じゃないぜ。そして裏山にいる先生たちの誰かでもない筈だ」



「っと、マジかよ。そうなると学園とは関係の無い第三者って事か?」



「そうかもしんねぇけど違うかもしれねぇ。今の段階で俺が判るのは"視線の相手が俺が知らない奴"って事までだ。例えば学園の関係者でも、俺が視線を合わせた事のない奴の可能性もあるってこった」



 そういう可能性もあるのか。このタイミングで授業とは関係ない先生たちが裏山に来る意味は……? あーダメだ。考えてみたけど思いつく事は何も無い。他のクラスの生徒が抜け出してきて、俺たちの授業を見学? それもないだろう。別のクラスの授業風景を見てるなら、自分の練習に時間を費やした方がいい。

 それよりも、冬馬にもっと大事な事を聞かないといけない。



「冬馬お前さ、それってどうやって判別してんの?」

「一回視線を合わせたら、その相手の視線って覚えねぇか? 地球にいた頃とか近隣のヤンキー共によく絡まれてて、めんどくせぇからばれねぇようにずらかるのに重宝してたんだけどよぉ」

「あ! なーんだ! お前地球にいた時から人間じゃなかったんだな! うん、俺視線を感じれるだけで万々歳って事で! 異世界やっほい!」

「なんだその納得の仕方は!?」



 っと騒いでる場合じゃないな。



「んで話を戻すとだ。この視線の持ち主は、俺たちに敵意を向けてるか……判るか?」

「正直なところ五分五分ってところだなぁ。敵意・悪意も確かにあるが、そればかりじゃないっぽいってところか……。はたまた本命は別にあるってところか」



 本命は別? 今の状況で俺たちを見ながら別の本命を狙うとなると――



「狙いはミーナか?」

「かもしれねぇけど、今の状況では迂闊に動けねぇだろうなぁ」



 今ここで俺たちがミーナの元へ向かってしまった場合、ミーナに危険が及ぶ可能性もあるからな。それに……。



「今ってそういえば……。オニごっこの最中だったっけな」



 いつの間にやら残り時間は三分を切っていたが、状況がちょこぉっとよろしくなさすぎた。 俺たちの周りにはリュウ、レイア、レド、アリア、ノエルとミーナ以外のオニパーティが集結していた。色々考えすぎて辺りの状況を全く確認してなかったや。やっちまったぜ!



「おやおや、オニに囲まれた状況で考え事とは、随分と余裕があるようで。私たちも見習いたいくらいですよお二人とも」

「止めといた方が良いと思うぜリュウ。敵の前での考え事なんて良いことが無い。だってほら、囲まれちゃってるし」

「囲まれちゃってる割に、随分と余裕な回答をするんだなーダイゴ」

「そうだよねーノエル。トーマもそんなに焦ってるように見えないしさー。ウチら的にはもっとわたわたしてほしかったんだけどなー」



 わー。静かに話しているように見えるけど、リュウ・ノエル・レイアの三人は結構怒ってるなぁ。だって目が笑ってないもん。アニメとかでありがちな、背景を暗くして口を三日月形にしてるやつだもん。



「さ、三人とも落ち着いて、ダイゴくんとトウマくんも悪気があった訳じゃないと思うし……」



 こんな状況でもアリアは天使だった。何あの天使、一家に一台置いておけるような優しい世界にできないモンかね?



「よーしトーマ! 次はあの声は受けないからなー! 絶対にとっ捕まえてやる!」



 レドに至ってはキャラが変わってるよ! アナタそんなに元気ボーイキャラでしたっけ!? 今にもフンスフンスとかしそうな勢いなんだけど!?



「ふむ、残り時間も二分に差し掛かるところですね……。皆さん、もう作戦とかは忘れていただいて結構です」



 手元の時計を見たリュウが、他のメンバーへそう促す。



「残りの時間は……。あの二人を捕まえるために全力で駆け回りましょう!」



 その一言をきっかけに、俺と冬馬目掛けて一斉に走りこんでくるオニパーティ諸君。囲まれている状態からの突進を受けた俺たちに逃げ道は一箇所しかない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ