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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
飛ばされる前の話
3/148

大事の前触れはいつだって美人さんから


「まさか大護君と冬馬君、2人とも自殺なんて……」



 ――はっ? 俺が自殺? 一体何を? それよりも何だこれは?



「結構悲惨なことになってたみたいだね」

「うん。2人とも、顔の判別はつかなくて、生徒手帳で身元が判明したんだってさ」

「でも昨日まであんなに普通だったのに……何で……」



 ――待ってくれよ!? 俺はここにいるじゃないか! ホントにどういう──



「おい! ってぇ……」



 頭がガンガンする。とゆうより、何だ今の夢? は。リアリティがありすぎるし、それに俺と冬馬が自殺って……

 それに何なんだこの場所。景色が全て白いし、座っているとゆうよりも、浮いているような感覚だ。



「っと!そんなことより……いた!」



 一旦考えるのをやめた俺は、少し離れたところにいた冬馬を見つけて、起こしに行く。



「おい! 冬馬! しっかりしろ!」

「うぅん……あと5分だけ……」

「こんなときにそんなお決まりいるか! 早く起きろ!」



 そう言った俺は冬馬の腹に強めの一撃を浴びせる。



「ぐぼふぅっ!? こ、こんなに愛の無い起こされ方は初めてだ」

「そうか、貴重な経験になってよかったな」



 それよりも一体ここは……と続けようとしたところで、遠くの方に、光輝く、とでも言うのかな? 兎に角光の塊のようなものがある。



「大護、あれ見えるか?」

「あぁ、ちょうど今見つけたところだよ」

「どうするよ? 行ってみるか?」

「……まぁどのみち、何も出来ないし、行くしかないだろ」



 俺がそう言って歩を進めると、冬馬は小走りで俺に追い付き、横に並ぶと歩き始める。

 ……しかしホントに何なんだ? この場所は。見渡す限りが白い景色の場所なんて聞いたこと無いぞ。あの光がなければ、自分達が歩いているかどうかさえもわからないような、そんな場所だ。



 いや待て、その前にもうひとつ疑問があるだろう。



 俺たちは何でこんな場所に来たんだ?屋上の柵がなくなって、地面に吸い込まれたところまではハッキリと覚えている。寧ろあんな経験をしたんだ、忘れられる筈がない。

 吸い込まれたあとはすぐに気絶して……ダメだな、解決しないどころか謎が深まるだけだ。

今は光を目指すことだけ考えておこう。



 時間で言うと、多分三十分くらいしたところで、ようやく光の元に到着した。

 到着はしたんだけど……



「一体なんだぁ? こいつは」

「俺が聞きたいくらいだよ」



 光っていたものそれは……女性。



 赤ん坊のような形で丸くなり、目を閉じていて、ピクリとも動かずにいる。こうしてみていると生きているのかどうかさえも謎だ。



「キレイな人だなオイ……今なら触っても……」

「今位そんな欲望押さえやがれバカ野郎」



 そんなやり取りの中に不意に、



「ふふっ、触れようと思っても出来ませんよ。実体はないんですから」



 透き通るようなキレイな声。俺たちは声の聞こえた方、急いで後ろを振り返る。



「“それ”は貴方たちに、こちらに来ていただく為に用意したのですから」



 そこにいたのは、白いワンピースに金色のウェーブ掛かった髪を持つ、見た感じ同い年程度に見える女の子だった。



「あの……それって一体……。それに君は?」



 そう俺が訪ねると女の子はフワリと笑顔を浮かべて、それもそうでしたと、一言言うと、



「私は貴方たちの感覚で言うならば"女神"と言ったところでしょうか。そんな存在です」



 おひとつドでかい爆弾を投下なさった。



「えっ? えっ!? 女神って……えぇっ!?」



 冬馬がかなり動揺している。そういう俺もかなりの動揺をしているのだが、今の状況を見るに、冗談などではなさそうだ。



「すみません、こんなことを唐突に申し上げても、混乱させてしまうことは承知しているのですが……」



 女神様?はそう言うと少し塞ぎこむように俯く。



「まぁいいさ。それで、俺たちに何のようなんだ?」



 ……この質問をする前に、実は薄々気付いていた。俺たちはこのあとどうなるのか、そして、“どんな所に飛ばされるのか”だってそれは、



「単刀直入に言います。貴方たちにはこれから、魔法の世界"ミリアル"に行っていただきたいのです」



 俺が望んでいたものそのものだったのだから。



 俺は顔を俯かせる。今の俺の表情は横にいる冬馬にも、女神様とやらには見えていないはずだ。



「そう……ですよね。急にこんなことを申し上げても、信じられる筈がありませんよね……」

「だ、大護!? 大丈夫か!? 気をしっかり……あぁ、違うな」



 やっぱり冬馬にはバレたな。まぁ俺の目標……とゆうか夢か。それを知ってるコイツにはわかって当然か。










「異世界召喚キタァアアアッ!」










 俺のこの台詞まで全部。



「えっ? いや、あの、大丈夫ですか? 私がこんなことを言って、混乱するのはわかりますが……」

「あぁ女神さん女神さん。心配なんていらないッスよ。大護の奴は、こういう日が来るのを夢見てたほどのアホッスから」

「でも……えぇ……」



 俺の態度の急変に女神様も困惑してらっしゃるようだが、今はそんなことはどうでもいい! 後で冬馬は殴るけど!


 そのあと俺は十五分はこのままだった。

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