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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
早すぎた再開
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楽しみは人それぞれ違うもので

「おっはよーございまーす。清々しい朝を迎えられた今の気持ちを一言!」

「消えてください」

「手厳しいっ!」



 対抗戦が終わって早二週間。俺たちがメリト学園に通うようになって約一ヶ月が過ぎようとしていた五月半ばの今日この頃。冬馬の喧しさはいつも通りに進行して、朝からこんなテンションをぶつけられている。



 嫌かどうかと言われればそんなことは全くないのだが、何となく冷たい態度であしらいたくなるお年頃なのだ。



「っと、こんなことしに来たんじゃなかったんだわ。大護お前、今日のビックイベントのこと分かるかぁ?」



 俺、覚醒。



「あったり前よ! 対抗戦が終わった後はこればっかりを楽しみにしてたんだしよ!」

「お、そうか! やっぱりそうだよな! いやあお前も話のわかるやつでホントに安心したぜぇ」



 何を隠そう、今日は授業でギルドに訪問、うまくいけば登録できるとゆう日なのである。



 うまくいけばとゆうのは、訪問したギルドで実践をやらせてもらえる時があるらしく、そこで実績を残すことができると、勧誘が来る時もある。とのことだ。



 正直俺としては登録云々はどちらでもいいところで、実際の目的はナックさんへの改めてのお礼をしに行くことだ。まあナックさんの戦いも見たいところでもある。



「しっかしお前が覚えてるとはな。どこか行きたい所でもあったのか?」



 俺が冬馬にそう聞くと、拳を突き出しながら意気揚々と答える。



「あたぼうよ! この俺を誰だと思ってるんだぁ。すでにベストポジションをリサーチ済だぜえ!」



 ……何かおかしい。"ベストポジション"?



「な、なぁ冬馬さん。お前の言う"ビックイベント"を教えてもらってもいいか?」



 いや、まさか――な。確かにそろそろ"夏"が始まるとはいえ、ここまで来てそんなことは……。



「あん? 今日の昼休みに二年女子の水着の試着があるからよ、それに決まってんだろ?」

「えっと一先ずリル先生に報告するとして、後は警察にでも通報すれば――」

「おいおい早まるんじゃあないよマイブラザー。いや、マジでやめてください」



 とりあえずマイブラザーが狼狽え始めたから机の上に正座させて話を聞くことに。



「いやさ大護よ、よく考えてみろよぉ。夏と言えば水着だろ? それが決められているこの世の中なので、その試着が行われると知りゃあ、そりゃあ顕然たる男子となれば目の保養に行くのは当然のことだろうよ。――あ、ダメだってミーナちゃんに言おうとしたら。今ガールズトークで忙しそうだし、第一親父さんに報告されたら、俺殺されるじゃんか」



 会ったこともないのにそんな不吉なことを言うなよ。無期懲役くらいにしてもらえるかもしれないじゃんか。



「――はぁ。ま、別に俺が関わらなければ問題ないことだし、精々一人で逝ってこい」

「微妙に響きが違うのは聞き間違えか?」

「大丈夫。お前の耳は正常だよ」

「お、おう。そうか……。仕方ない、ノエルでも誘って行くとするか」



 そう言って道連れのターゲットを移した冬馬はノエルの方に向かっていった。無事に帰ってこないことを祈るばかりだ。


「随分と楽しそうな話をしてたみたいね。是非とも参加してみたかったわ」



 隣に視線をやると、ガールズトークを終えたミーナが席に着いていた。聞かれてないのは本当に奇跡だったと思う。



「くだらないボーイズトークだよ。それよりもミーナは今日のギルド訪問はどうするんだ?」

「特に決めていないけど。もしかしてお誘いでもしてくれるのかしら?」

「お嬢様が良いと言うのであれば、な」

「ふふっ。それじゃあ私もお仲間に入れてもらおうかしら」

「有り難き幸せです。っと、リル先生も来たことだし、話はまた後でな」



 ギルド訪問の授業は今日の午後の授業を使って行われるから、それまでにあと何人か誘っておくか。



 そう思って前を向くと、ガッチリと握手している男子生徒二人を発見したけど、俺は何も知らないし見ていないことにした。




  ◆  ◇  ◆




 授業も滞りなく進んで今は昼休みに入ったところ。女子たちは皆、手早く昼食を済ませて教室から出ていった。



「時は満ちた。今こそ決戦の時だ……。行くぞ、我同胞よ!」

「イエッサー!」



 そして後を追うようにして出ていくダブルバカ。普通は先にスタンバイするもんだろ。……あれ? この意見ちょっと違うな。



 ……一先ず俺はギルド訪問の準備、とゆうかもう少し誰かを誘いたいってのもあるからな。



 今のところ声を掛けてあるのは、ミーナ、冬馬の二人だけだが、冬馬についてくるような形でレイアも一緒に来ることになっている。



 そして、そのレイアが引っ張り入れるようにアリアも一緒に来ることになった。そこで、ここまで揃ったなら、いつもの皆を集めてしまえと考えたわけだ。



「――とゆうことでさ、二人も俺たちと一緒にギルド訪問に行かないか?」

「ほう。そういうことなら、是非ともご一緒させてもらうことにします」

「サンキュー! 助かるよ、リュウ」

「そういうことも何も、ボク達何も説明されていないような……」



 レドにツッコまれてしまったので、二人を改めてお誘いすることに。



「へぇ、ギルド訪問か……。うん、それならボクも皆と一緒に行きたいな」

「本当か? じゃあレドも決まりだな。ギルドの場所は俺と冬馬が案内するからさ」



 断られなくて良かった。これであとノエルを誘えば、まあいつものメンバーって感じになるんだけど……。まあ冬馬が誘ってくれていると信じて、俺は残りの昼休みを堪能するとしよう。



 そう思って自分の席に着いて一眠りと思った矢先に、昼休み終了を告げるチャイムが鳴り響い──



 ───ぎゃぁあああああああああっ!!



 ……チャイムと同時にとっても聞き覚えのある声が二つほど聞こえた気がするけど、俺には何のことかわからないし、検討もつかない。



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