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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
いざ行かん対抗戦へ
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優勝候補との激突



『――試合終了! 学年混合対抗戦二日目、第一試合は3-Eに軍配が上がりました! 続いて第二試合を行いますので2-Aと3-Aの代表選手は、控え室にお急ぎください。繰り返しお伝えします。第二試合の───』



 今放送があった通り、次はいよいよ俺たちの試合だ。控え室には十分程前から全員揃っていたし、準備万端って感じかな。



 繰り返しのお伝えも終わったとき、リュウが椅子から立ち上がり、俺たちの方に向き直る。その顔には普段通りの微笑みが。



「さて、放送でもありました通り、私たちの試合が始まりますが……みなさん作戦の方は大丈夫でしょうか?」



 その問いかけに全員頷く。それなら安心ですと、微笑み率を倍増させてリュウはステージに繋がる扉の前に。



『それでは第二試合を開始します! 両選手ステージへ!』



 なんとまぁ素晴らしいタイミングだよ。



 あまりのタイミングのよさに全員で目を合わせて軽く笑う。……それじゃまぁ。優勝候補の力を見せてもらいに行こうか!



 扉を開け放つと聞こえてくる大歓声。しかしよく聞いてみると、女子生徒の声が多く、誰かの名前を叫んでいるように聞こえる。



「オイオイオイ。女の子の声援が聞こえてハッピーだと思ってたのによぉ。殆どの娘が"カゲツ"とか叫んでるし……ハァ、誰だよソイツー」

「生徒会長よ。本名はカゲツ=ルルフィル。確かファンクラブとかもあったはず」

「そりゃあれだなぁ。万死に値するぜ」

「んなアホな」



 まあ確かに羨ましいけどな。


 そんな会話は放置して、改めて、3-Aの人たちの方に向き直る。全員頭まですっぽりと隠れるようなローブを着ているから、顔の認識は出来ないが、多分真ん中にいる人が生徒会長だろう。




 ――戦い慣れてない俺にだってわかるほど、凄まじい圧力があるから。




「いやあ良かったよ。噂の編入生君たちが無事に勝ち上がってきてくれて。今回の対抗戦はこれだけを楽しみにしてきたも同然だったしさ」



 そう一言発してローブを脱ぎ捨てる。整った顔立ちに、縁なし眼鏡を掛けている。髪の毛はこっちに来てお初お目にかける銀色。どういう遺伝子でそんな髪になるんですか。



「編入生ってぇと、俺と大護のことか……なぁ大護、俺たち生徒会長に目をつけられるようなことしたっけ?」

「俺は何もした覚えはないな。"俺"は」

「なんだか見捨てられてる感が半端じゃなくあるぞ」

「安心しろ。見捨ててる」

「全くもって安心できないんですけど!?」



 ……って、こんな会話をしている場合じゃない。



 バカみたいな会話を終えて3-Aの方に再度向き直ると、生徒会長が腹を抱えて笑っていた。何か良いことあったんですかな?



「いやぁ。ホントに面白い。……ここまで殺気をぶつけてるのに、そんな会話が出来るなんて。結構全力でやってるんだけどね」



 目元の涙を指で拭いながらそう言われ、ふとみんなの方に視線を戻す。全員武器は構えているものの、かなり冷や汗を流しているのが分かる。



 こんな状況だってのに、何やってんだよ俺たちは!



「――まあいいか。それじゃあ……始めるとしよう!」



『───試合開始ッ!』



 生徒会長の合図と共に、実況から試合開始の一声。絶対グルだこの人たち。訴えてやる。



 生徒会長以外の四人が一斉に飛び出してくる。さすが三年生と言うところか、全員の動きがかなり速い。俺たちも応戦するために、作戦通り前に出たが、先輩たちは俺と冬馬を無視して、後ろの三人の方に向かう。



「――なっ!? クソッ!」

「こちらは三人で抑えます! 貴方達は生徒会長を!」



 引き返そうとした冬馬をリュウが制止する。一瞬躊躇った冬馬だったが、後ろを見るのをやめて、視線を前に戻す。あの三人なら大丈夫と腹を括ったようだ。



「大丈夫か冬馬」

「あぁ、問題ねぇ。さっさと生徒会長を倒して、皆の方に加勢すりゃあ良いしよ」

「よし……。行くぞっ!」



 俺の掛け声で一斉に駆け出す。生徒会長はその場から動く様子を見せていない。ーーなら先手を取らせて貰うしかない。



「"フレイムレイン"!」



 前方を走る冬馬と生徒会長の間に炎の雨を降らせる。ダメージはあまり期待していない。視界を潰すことを最優先にした魔法だ。



 俺の意図が伝わったのか、目の前に魔法が降り注いだ瞬間に冬馬が一気に加速する。どうやら身体強化を足に集中させたようだ。



「ぶっ飛べオラァ!」



 そんな掛け声が聞こえ、背後を取ることに成功したと思った瞬間、何かを掌で受け止めたような乾いた音が聞こえ、魔法の衝撃で巻き上がっていた砂埃が一気に消え去り、視界が良好になる。



「うん、いいチームワークだし、スゴくいい動きだ。でも作戦が簡単すぎて容易く読めてしまうな」



 俺の目に写ったのは、そうダメ出しをしながら、冬馬の拳を両手で止めている生徒会長の姿だった。




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