表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛ばされまして……  作者: コケセセセ
戻ってきた学園生活
143/148

行けばいいのさぁ!

 時間はあっという間に過ぎ去るモノで現在は放課後。いつものように訓練場へ行こうとしたが、今日は大分込み合ってたもんだから、諦めて帰宅することにした。部屋でも出来ることはあるからな。

 ちなみに冬馬は、遅刻した授業でばっちり睡眠を取っていたお陰で、今は職員室でリル先生とお話し中だ。そんな事でなんで……ともちょっと思ったが、どうやら今日で十回目らしい。そら呼ばれるわ。



 暑い日差しが降り注ぎ、俺の身体からもジワリと汗が出てくる中、地球の暑さよりも少しだけ楽かもしれないとも思い始める。

 何かこう、蒸し暑くなくてカラッとしてるんだよな。日差しがダイレクトアタックしてくる暑さだけ、みたいな。暑いけどね、間違いなく。



 とまあそんな時にはやっぱり不意に思う事もある訳で。



「……プール入りたい」

「いつかはそう言うと思ってたぜぃ!」

「わだっしょい!?」



 独り言のつもりで言ったから、まさかの返事が貰えてマジでビビった。ってそれより。



「冬馬お前……いつから後ろに居たんだよ。つーか職員室行きは?」

「たった今。軽く怒られてダッシュで帰ってる途中で大護の後ろ姿が見えたから、魔力操作の練習兼ねてストーキングしてきた」



 そう言われると気が付けなかった事が非常に悔しい。気を抜いてたからって事にしておく。



「甘いなあ大護。いつ何が起こるか分からねえんだぜ? いつでも最低限の気は張ってないとだなぁ」

「ド正論で返されてぐうの音も出ませんわ……んで、俺のプールの独り言に対しての返事は何だったんだ?」

「よッくぞ聞いてくれた親友よぉ!」



 肩を組むようにして俺を抱き寄せ、再び勢いよく返事をした冬馬。自分で言ってて何か複雑な気分になったけど、それが一番適してると思うんだこの状況。



「行きたいなら、行けばいいのさぁ!」

「……はい?」






 ◆  ◇  ◆






 青い空に白い雲。太陽によって温められた足場は、正直裸足で歩くのは少しばかり暑すぎやしないか? 太陽さんよ、もう少し休んでくれてもいいんだぜ? と言いたくなるほどアツアツ。

 視線を上から前に戻すと、キャッキャウフフと水を掛け合うアリアとレイアの姿が目に入る。それをミーナが母の様な目で見守っていたが、レイアから水を掛けられた事で、キャッキャウフフへの電撃参戦が決定した。



 そのまま更に視線を右に移すと、首だけを砂上に出した状態のノエルがひょっこり出てる首をブンブン振りながら熱い熱い……状況的に暑い方かな。最早わからんが、ともかくそう言いながらもがいていた。それを見ながら大爆笑を決め込む冬馬に、少し困り顔を見せながらも笑顔を見せているレドがいる。ほどほどにしてやれよお前ら。



 最後に視線をもっと右の方。というより真横に映すと、パラソルで作った日陰の下に簡易的な椅子を置いて、そこに座りながら読書を楽しむリュウの姿。場違い感半端じゃないけど、海の方を見なければ滅茶苦茶様になってんな。



 各々が楽しむ中、砂浜に敷いたシートの上に三角座りで鎮座する俺。周りに人が居たら間違いなく「アイツ、はぶられてる」とか「一人だけ荷物番おつ」とか言われそうな状況ではあるが、あくまで俺は好きでここに一人でいるという事を主張していきたいのです。



 ……って、そんな事より。現在の状況を整理しましょう。



「プールではなかったけど……スケールアップしちゃって海に来れるとは」



 そう。現在俺たちはメリト王国から離れた場所にある、小さな島へと遊びに来ている。冬馬に聞かれた独り言から、まさかこんな事になるとは思わなんだ。



 あの後俺たち……というより冬馬は、プールに行きたい発言をした俺に「楽しみに待っとけよ! 相棒!」とサムズアップしてどこかへ姿を消した。そしてその後直ぐ、国王様のところへ向かったようだ。

 理由としては「国のトップなら、島の一つや二つくらい持ってんじゃねえかと思って。学園でも持ってたわけだしよぉ」との事。



 そんなテキトーな理由があるかと思ったが、まさかまさかの冬馬の読み通り、島を保有しているとの事だったらしい。

 ただ、別荘とかそういう類のものではなく、国が危険に陥った時に、国民を一時的に避難させる為に保有している島なんだとか。いや国民の為に島保有するって、もうスケールが分かんねえよこれ。



 いつでも利用できるように手入れはされているようだが、遊びに行ったりすることも無いし、娯楽目的での島でも無いから、本来なら許可は出せないという事みたいだが、長期休暇中に頑張ったからという事でご褒美として開放してくれる手筈となったようだ。



 国王様が言うんだから良いって事なんだろうけどさ、ホントに良いんですか? と十回くらい聞き返したのは無理もないと思って欲しい。

 そしてこの島、なんと王宮から直接向かう事が出来るという親切設計。仕組みとしては、王宮の地下に島への転移用魔方陣を展開しており、王族の魔力を感知して起動する仕組みになってる……だったかな。



 大人数を一度に送る事を考えられての設計だから、結構魔力を消費するみたいだけど、国王様なら一日に数回は発動できるから問題ないらしい。



 俺が聞いている限りだとこんな感じ。そして冬馬のサムズアップを見てから三日後の現在、俺・冬馬・ノエル・レド・リュウ・ミーナ・レイア・アリアの八人でその島に遊びに来ている状態だ。遅め・短めの夏休みってところかな。



 とまあ、ここに来ることになった流れと、現在状況の整理としてはこんな感じ。

 ゼルとリンちゃんにも声を掛けようとしたけど、よく考えるとこっちからの連絡手段がなく、二人の所在地も分からない状況のため断念。今度会った時はその辺に関して相談しなきゃな。


 ゼルは分からないけど、リンちゃんはこういう集まりとか好きそうだから、今回は残念だったけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ