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飛ばされまして……  作者: コケセセセ
超強化月間
112/148

最強の身体強化

「違う。そういう事ではない」

「じゃあどんな意味が?」



 俺の魔法は恐らく、あの鎧によって消滅させられたと考えるしかないだろう。仮に、以前俺が受けた雷属性付与を消し飛ばした魔法と同系統のものを使っていたとしたら、あの炸裂音は鳴らない筈だからな。



「これは、肉弾戦特化の魔法だ。簡単に言ってしまうと専用の身体強化……それの最上位版と思ってくれ」

「成程。それなら確かに、冬馬との戦いで使うと考えますね」



 身体強化……となると、国王様の防御力も桁外れに上がってるって事か。それか魔法での攻撃は、全てあの炎によってかき消されるとか――



「ただこの鎧を纏うと、代償が大きくてな」

「……代償?」

「ああ。この状態は"五分"しか持続できん。それ以上続けると魔力が枯渇し、一歩も動けなくなるだろうな」

「……それはどデカイ代償ですね。良かったんですか? 俺の次に冬馬が控えてる状態でそんな魔法を使って」

「何も問題ないさ」



 言いながら国王様が俺に急接近してくる。さっきより大分速いけど、このぐらいならまだまだ問題ない。



 雷属性を足に付与。そのまま一度距離を――



「逃げられるとでも?」



 ――空けられない。俺の動きに合わせてずっと追いかけてくる。



「く――ッそ! "サンダーランス"!」



 一度離れさせる為に放った魔法は国王様の顔面を捉え、轟音を響かせるが、全く意に介していない様子でこちらを見る。中級魔法程度では止まらないとでも言いたそうな視線で。



 だったら……もっとデカイのを撃つしかないだろう!



「"ライトニング・スフィア"ッ!」



 雷属性中級魔法サンダーランスの時とは比べ物にならない音が訓練場に響く。



「これで――」



 そう思い足を止めた俺が甘かった。目の前に現れたのは炎を纏った国王様。あろう事かあの魔法ですら、この状態の国王様を止めるには力不足、全く持って意味が無い攻撃となっていた。



 左手一本で上段に構えられるのは国王様愛用の大剣。蛇に睨まれた蛙とはまさにこの事かと思うように、足が言う事を聞いてくれない。そのくせ脳内はやけに鮮明になってやがる。



 やがて国王様の左腕が振り下ろされ、大剣が俺の目前へと迫る――






  ◆  ◇  ◆






「さてとキリュウ君、今回の模擬戦の感想は?」

「親父に叱られた時を思い出しました」

「成程……ミーナちゃんはやらんぞ」

「誰も貴方を親父とは言ってねえんですよ」



 俺に迫った大剣は、俺に当たる直前に刃ではなく面が向けられた状態で俺の頭へダイブしてきた。頭が割れる事はなくなったが、背が縮んだんじゃないかと錯覚するほどの威力だった。多分今は少し背が高くなってる、たんこぶの影響でな。



「ははっ、冗談さ。実際のところ、どうだった?」

「……悔しいですけど、今の俺ではあの状態の国王様に勝つどころか、傷一つつけられないです。どうにかしてやりますけどね」

「……その意気だよ」



 俺の言葉に対し、満足げに頷いた国王様は、そのまま冬馬の方へと歩いて行った。



 でも……実際問題、あんな魔法どう対抗すればいいってんだ? 一つ考えられるのは、最上級魔法と最上級魔法を組み合わせた混合魔法をぶつける事。俺が出来る手段としてはこれが一番最善だろう。



 あとは……"能力"を使う事か。



 ちょこちょこ練習して、遠足の時よりは使えるようにはなってるんだけど……扱いきれなくて、それ以降実践では使えていないのが現状だ。



 あの時はオーガ(仮)……ゼルが作ったとか言ってた魔物の亡骸に向けてだったから特に何も気にせずに使えた。その後何度か試し撃ちをしてみたところ、次元玉を撃ちこんだ場所から直径十メートル以内にある物は、問答無用で姿を消した。そんな効果を持つモノを、人相手になんて撃てる訳がない。



 勿論、効果範囲を狭めようとしたり、サイズを小さくして調整を試みたりもしたが、結局何も進まず仕舞いで今に至ると。



 敢えて進んだと言うなら、何度も能力を使ったおかげで、多少は代償が軽くなったみたいだとだけ言っておこう。



「そんな訳だったんだが、いつの間に俺の隣にいたんだ? 冬馬」

「ついさっきパパさんにぶん殴られてブッ飛ばされてきた」

「把握」



 いつの間にか俺の隣で横になっている冬馬がいた。自分で言ったように中々の威力でぶん殴られたみたいだ。腫れ上がってた。回復? なんとなくお預けだ。



「にしたって、随分早いご帰宅じゃんか。どんな内容だったんだ?」

「開始早々身体強化の"第四段階"で突っ込んでパパさんと乱打戦してたがぁ、途中でなんか鎧みたいな魔法使われてどーん。あの魔法ズルすぎねえかなぁ」



 投げやりに説明する冬馬の口からポロっと零れた"第四段階"の一言に、内心驚きを隠せないところではあるが、国王様がすぐにあの魔法を使ったとなると相当やばかったんだろうな。



「あの魔法……どう思った?」

「反則以外の何ものでもねえだろぉ。攻守は当然、速さまでも完璧に備わってやがるし、今のところ良い崩し方が思い浮かばん」

「……だよなぁ。俺の魔法も完全に弾かれたし」

「俺の打撃なんて右手一本で全部捌かれちまったよ」



 二人がかりでも行けるかどうかが危ぶまれてんな。まあ、期間はまだあるし、色々試してみるか。

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