19話:苦学生の寮を作ろう
数日後、三保さんが迎えに来てくれて、まず、菓子折と持参で、木元一郎さんの家をたずねた。木元さんは恐縮して、わざわざ悪いねと言い、七郎に、あんた、恵まれない人のために、大金はたいて偉いねと言ってくれた。入間に来て、また何かあったら相談に来てよ、できるだけ協力するからと言い握手をしてくれた。
その後、市役所へ行き、今後の計画などを話した。恵まれない人達に対しての事業は市としても誇らしいし広報やインターネットで宣伝する、つもりだよと、市としてもありがたいと言ってくれた。 最後に市長室へ案内されて市長と握手し報告した。
帰りに入間駅、武蔵藤沢駅、コストコまで車で回ってみたが、確かに近い。学生が自転車で駅まで行くのも早くて便利だと思われた。数日後、三保さんから正式な工事の図面、工期などについて、詳しく説明してもらった。
できるだけ早く、着工して、工期は建物だけで6ケ月、機材、搬入、エレベータ、駐車場などで1ケ月の7ヶ月かかる様だ。土地の支払い、役所への申請の方も含めて、全て、三保さんの会社でやってくれるそうで助かった。土地が323坪で建物5Fで延べ床面積1156坪で11億円。土地の値段2600万円、電気ガス水道引き込み、400万円、地盤改良、アスファルト、外構工事で6000万円。
その他予備費1000万円の合計1300万円を会わせると12億円と言う事で決まった。七郎は契約を交わして、その日のうちに三保さんのKG建設へ振り込んだ。寮の備品としてエアコン、机椅子、ベッド、布団48個分で、500万円、調理室の調理器具で500万円、送迎用の10人乗りの中古ワゴン2台で400万円、全ての総合計で12.14億円となった。
七郎は七郎商会に戻って、数日後から、インターネットを通じ、今年の秋、10月から入居可能な格安の学生寮の募集「1室、16m2、3万円/月」を開始し始めた。入居募集には、高校の成績表と合格した大学名、入居希望動機と、両親の年収を書くような書式にした。すると男24室、女24室(計48人)の募集に対して、1週間で200名「男女比、約半々」からの応募があった。
応募があまりに多いので1ケ月で応募打ち切る事にした。応募用紙から、両親の年収と成績表、合格した大学名、希望動機を見て、個性的で将来のビジョンを持った学生を中心に選択していった。1ヶ月で2000名「男女比、約半々」も応募が来た。そこで、優秀そうな学生を選んで、少数精鋭方式で選ぶ事にした。
七郎は、木元さんに電話して入間の地元で料理経験のある人を募集したいので探すのを手伝って欲しいと伝えた。わかりました、期間は、と言うので半年間というと、それだけあれば、探せるかも知れないと言った。6月を迎える頃には、入居の学生の選択も決まって通知した。中には、ご両親から感謝の手紙も多く含まれた。梅雨になり、それがあけると暑い夏、工事現場に冷たいものを持参で出かけた。
ビルの外観がほぼ完成して、実際に間近で見てみると大きな建物で驚いた。現場監督が順調に仕事が進んでいて今年は建設会社もそれ程、忙しくないので10月には完成する可能性が高いと話してくれた。もう少しでビルが完成し、全員でビルの外構と、一緒にアスファルトで駐車場をつくる。部屋や簡単な間仕切りなので簡単、水回り、電気関係、エレベータ会社の連中もビルができ次第、一斉に工事にかかれるようだと言っていた。
10月初旬に入間の木元さんの所へ行き、ビルの2,3、4階の男女の学生72人が決定したこと、1階の調理室で、できるだけ多くの食事を提供する事、その時に、この地のシングルマザーを中心とした貧乏な女性達に手伝ってもらうことを提案した。女性達が働いている間は、1階の遊戯室で、お母さんが働いている間、子供達の面倒を見てくれる女性を雇い、少しでも多くの給料を出したいと言った。
確かに、貧困のお母さん達がこの地域でも問題になっているので、それは、助かると言ってくれた。もう一つ、料理人の件を聞くと見つけたよと言い24歳で、今、修行中の料理屋の息子、鈴木良三さん、専門学校を出て栄養士と衛生管理者の資格を取得したそうだ。




