1話:木下七郎の生い立ち
主人公、木下七郎は、旧華族で徳川家の近い由緒正しき名家の出身。1959年、家族が米国旅行を計画した時、運悪くインフルエンザにかかり、七郎一人日本に残った。ところが、一家が帰国の飛行機の墜落という悲劇に見舞われて、一瞬にして、七郎がひとりぼっちになってしまった。
その後、横浜のインターナショナルスクールに入り、学校の友人の家に呼ばれるようになり、その友人の父、リチャードと運命的な出会いによって、七郎の人生の運が開けていく。
結婚、別れ、投資、いろんな人生経験を経て、使い切れないお金を得て順風満帆の人生に見えたが、その後、東日本大震災を経験して、特に、被災孤児の教育のために募金活動を通じて、社会福祉活動に目覚めていく、ストーリー
主な登場人物:木下康夫「祖父」1885年生、貴族院議員、1945年、自宅で自決。
木下貞夫「父」1924年生、木下早苗「母」1928年生、木下悦夫「兄」1949年生、
木下小百合「姉」1951年生、木下七郎「主人公」1953年生
友人・ティム・RCH1952年生、友人ティムの父リチャード・RCH家のスタッフ:1927年生まれ
木下家は徳川家の関連の旧華族「侯爵」で由緒正しき名家で東京に大きな屋敷を持ち日本の戦後でも不自由のない生活を送っており、大正時代には、所有する土地は、池袋から渋谷まで続いたという広大なものだった。そして政界、財界、軍上層部との強いパイプを持っていた。
第一次大戦後1915~1920年の空前の好景気「大正バブル」の時に持っていた広大な土地を新興財閥の富裕層に全て売り払った。その資金で秘密裏に友人の大手商社の役員、山下真一に依頼して多額の金地金144Kgを買ってスイスの銀行に保管した。
関東大震災で東京が焼け野原になったにもかかわらず武蔵野の自宅は、ほとんど影響を受けなかった。1945年に入り終戦が近いと感じた時、長年、交流のあった佐藤和彦弁護士に依頼し、遺言信託の手続きをとり、その数ヶ月後、1945年9月、木下康男は、玉音放送に納得できず、自らの命を絶った。
木下家の人々は終戦後、質素な生活してなんと生きながらえ、その後、木下貞夫が以前、父、木下康男と交流のあった三井物産の会社役員、山下真一の口ききで三井物産に就職させてもらったが、木下貞夫、一人で。豪邸の維持費と家族の生活費用を賄うのは難しいと考えた。
そのため、富豪に売りわたし家族は武蔵野の中古の家に移り住んだ。しかし木下家の家訓で子供には教育熱心で専属の家庭教師をつけて、しっかり教育し、子供達が英才教育を施され、語学、数学、文学、音楽を小さい時から、みっちり教え込まれた。
七郎も例外ではなく2歳になり言葉を話せる様になってから書生さんが絵本を読み聞かせるようになった。どの本が好みか、一通り、毎晩見せて気に入った本を選び出しマザーグース、イソップ、ピータラビットの本を毎晩、読んで聞かせた。
3歳になり話をするようになった頃から国旗や地図、九九算をみせた所、覚えが早いのに驚いた。そこで、ジグソーパズルを買い与えると、瞬く間に、覚えた。そのため多くの知育玩具をを買い与え4歳になりアルファベットや簡単な英会話の絵本をみせると英語に興味をもった。
すぐに英語を音で覚えたので英語を話した後に、必ず、日本語で同じ事をくり返し覚えさせた。その時、耳が良い事がわかり、ドレミの音階を教えると、すぐにマスターした。その後、乗り物の写真と名前、国旗の写真あてゲームや日本の地図と、世界の国も首都と地図も覚えた。
父は気に入って、高価な大きな地球儀を買い与えると七郎は、喜んだ。5歳になると、それらをほとんど全て覚えた。 九九を覚えていたので、応用に掛け算を暗算で練習してみると面白い様に遊んでくれ1ケ月で1桁を習得、3問正解するとビスケット1つをご褒美に与えた。
暗算も得意になり、次に2桁の簡単な掛け算「インド数学」も少しずつ教えた。その中でも外国語と音程と暗算が特に得意であり、簡単に日本語と同じ、英語とフランス語、ドイツ語、スペイン語の文を書いたものを家の家庭教師の書生さんに書いてもらった。
その次に外国語で書いた文書を話してもらい、覚えさせる様にしていった。すると6歳になる頃には簡単な日常会話文を英語とフランス語、ドイツ語、スペイン語で言える様になったのには、父の木下貞夫も驚いた。
今度、家族全員で海外旅行に行く時には、七郎も連れて行こうと思っていた。小さい頃から、食力も旺盛で、なんでも食べ、大きくなっていき、特に肉類は好きで、身体が大きい割に、足も速く6歳の頃は、兄弟で競走しても一番早かった。
散歩して、近くの公園に行くと、広い公園を走り回って、元気いっぱいの男の子に育っていった。七郎が6歳になった1959年の秋、子供達の見聞を広めるために米国へ海外旅行を計画し、最初にニューヨークに到着した。次に、ワシントン、シカゴと回った。
木下七郎は、旧華族で徳川家の近い由緒正しき名家の出身で、6歳の時、一家が飛行機の墜落という悲劇に見舞われて、一瞬にして、七郎がひとりぼっちになってしまった。残された広大な東京の土地を知り合いの貿易商が、その換えを金に替えてスイスのプライベートバンクに預けた。
戦後、横浜のインターナショナルスクールで知り合った、RCH家のリチャードに可愛がられ、RCH家の経理の仕事をもらう。戦後、木下家の金の存在を知り、金価格が高いときに金に換えて、投資で、巨万の富を得た。
その直に東日本大震災を経験し、戦災孤児の教育のために、募金活動を開始、社会福祉活動に目覚めて、彼の富で、貢献していくストーリー。東日本大震災後の募金、社会福祉活動をテーマにした小説