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クロが長々と説明する回です
ストーリーの進行はありません。
たぶん。
躾の終わったアリフ様は同僚の方に頼んで医務室へ運んでいただきました。
これでお城での定番イベントの貴様は認めない!はクリアでしょうか?
まだ彼らの親御さんが残っていますが、私自身あまり関わるつもりが無いので無視で大丈夫でしょう。
私はお嬢様たちの方へ向き直り近づいていきますと、近くにいらっしゃる候補者の方々がその分後退されます。
まあ、理由は何となく察することが出来るので特にいう事もありません。
「それではリーズお嬢様、本日の訓練をしましょうか?」
「え!?」
明らかに「マジで!?」みたいな顔をされます。
「移動中は殆ど出来ませんでしたし、さっきの親善試合でいい感じに体もほぐれたと思います」
「その~、移動のせいか疲れちゃって・・・」
「その為に体力・魔力回復用のアイテムをお渡ししましたが?」
「すいません、遊びたいです」
正直でよろしい。
「では、私と遊びましょうか?割と本気で」
「いやーー!死んじゃう!カグヤ、お姉様。助けて!!!」
助けを求められたお2人は手を顔の前で合わせて拝まれました。
「裏切者ーーーー」
残念ながらリーズお嬢様は蜥蜴の尻尾の様に切られてしまったようです。
切られたことについてですか?
怒ってなんていませんよ?リーズお嬢様の実力が他のお嬢様と比べて劣っていることは確実なので。
他の皆さんは観光にでもどうぞ。
私がリーズお嬢様と実践的な遊びを始めようとしていると、声がかかりました。
「あ、あの。く、ククククロ様・・・」
振り返って見てみるとイローナ姫と試合をされたモニカ・ジェイド様でした。
「はい、何でしょうか?」
「あ、あああのですね、おお、お願いがあるのですが」
ふむ、お願いですか?どんなお願いでしょう、私にできることだと良いのですが・・・。
ふいと顔を上げてみると他の方がやめろやめろと思っているのが丸わかりでした。
そんなに怖がられなくても・・・。
魂を要求する悪魔との契約か何かの一歩手前みたいな雰囲気ですよ?
「何でしょうか?」
「あ、あの!私に魔力付与を教えていただきたいのです!」
思い切って私にぶつけられたお願いは何とも純粋なものでした。
ニヤリ。
私はこの時ひらめきました。
「そうですか、一生懸命なのは良い事ですよ、この分ですと直ぐにリーズお嬢様くらいは抜いてしまうかもしれませんねね?」
「ム!?ソレはどういう意味よ?」
「どうもこうも、訓練をサボろうとするリーズお嬢様と自主訓練を頑張ろうとするモニカ様。サボる方と頑張る方どちらの実力が上になるかなんて・・・」
「良いわよ!やるわ!この後の訓練くらい全然余裕よ!」
フィーーーシュ!!。
やはりまだチョロいですね、精神面の方も何とか訓練しないとですね。
「それで、魔力付与の何が聞きたいのですか?」
「あの、私はまだ魔力を上手に操作できなくて」
操作が出来ない、と。
「属性魔法は使えるのですか?」
「はい、水属性です」
「初級のアクアボールやアクアバレットはどうです?」
するとモニカ様は少しムッとした感じで
「それくらい使えます!」
この世界の基準で行くと初級属性魔法は使えない方がどうかしているくらいですから愚問でいたね、失敗失敗。
「分かりました、それではお教えいたしましょう」
「ちょっとクロ!私の訓練は!?」
「いえ、お疲れなのは本当だと思うので今日のお嬢様達の訓練は魔力の総量増強訓練にしようと思っていました」
ホッと他のお嬢様たちから安堵の息がもれました。
アレ?いつもそんなにキツイ訓練はしていないはずですよ?
ハリセンと水球で遊んでいるだけですよ?
「あの!」
声をかけられたようなので振りむくとそこには一人の男の子が。
「あの、俺にも魔力付与を教えてください!学校で習ったけど全然できないんです!俺も初級魔法は使えます!」
その男の子を皮切りに他の方も名乗りを上げられます。
「えと、よろしいのでしょうか?陛下」
「何がだ?」
「私が勝手に教えることがです」
「モニカに教えようとしていたではないか?」
「ですがこんなには」
「意欲があることは良い事だ」
「はい・・・」
どうやら教えることになりそうです。
後々追加になってもメンドウです。
「他に教わりたい方はおられますかー?」
すると手を上げられた方が1人。
「綺麗に魔力操作できないのですが、それも教えていただけますか?」
「あ、はい。」
「私は先ほどされていた魔力領域を教わりたいのだが、可能だろうか?」
それを聞いて他の方が俺も私もと手を上げられます。
「魔力付与も魔力領域も私の独学のやり方になってしまいますがよろしいですか?」
「できるんですか!?」
あ、問題無いみたいですね。
念の為に陛下の方を見て無言で確認を取りますが返事も無言。
OK、OKなんですね?
あれ?私、お客様ですよね?何故スキルをお教えすることになっているのでしょう?
ですがモニカ様のキレイな目は逃してくれそうにありません・・・。
「で、では今日は魔力付与を簡単にお教えして、明日は魔力領域を簡単にお教えしますね」
「そんなに簡単にできるものなの!? なんですか?」
「モニカ様、そんなにかしこまらなくてもいいですよ。もっと普通にお話しください。私の事は様付でなくても問題ありません。」
「で、ですが」
「普通に呼ばれるのであれば問題無いですよ。明らかに侮蔑を込めた場合は・・・怒るかもしれませんが、そんなことをモニカ様はされますか?」
そう聞きながら顔を上げて他の方も確認します。
皆さん凄い速さで首を横に振ってらっしゃいますが大丈夫ですか?
「と、言うわけですので私は気にしませんよ?」
「分かりました。お願いします。クロさん!」
「はい、皆さんもお願いします」
「「「はい!」」」
「ではお嬢様たちも復習がてら一緒にしましょうか?あと分からない方にアドバイスをお願いします」
人に教えるというのはそれだけでも勉強になるのです、より深く取得するためにもぜひやっておいていただきましょう!
「魔力領域を教えて欲しい方も出来れば今日も受けて行ってもらえるとありがたいですね。私の中では魔力付与を発展させて魔力領域に至ると言った感じなので。後は復習と分からないかたにアドバイスなどもしていただければ嬉しいですね」
では、独学で申し訳ないですが一から順に確認・実践しながらやっていきましょう。
教育実習に来た大学生の気分なのですがしっかりと教えられるかしら?
「それでは、嫌な気分にさせてしまうかもしれませんが、1から少しずつ確認していこうと思います。皆さんの中に初級魔法が出来ない方はおられますか?」
まあ、逆にいませんよね?
コスカートでも取れない方がおかしいみたいな感じでしたい。
「もし、おられるようでしたらこの後質問に来てくださいね」
まあ、この中でカミングアウトは恥ずかしいかもですし。
「では、まず最初のステップです。皆さん得意な属性のボールを手のひらの上に出してください。出すだけですよー、飛ばさないでくださいね?」
う、あからさまにイラっとされています。
ですが、コレが一番わかりやすいはず!
参加者を見渡すと皆さん余裕ですね、では調子よく次へ行きましょう。
「では、そのボールを動かしてください。でも、何処かへ飛ばさないでください。そうですね・・・飛ばしてもせいぜい自分の周りにしてください。動かすのはボールですからねー、他の魔法に変えないでくださいねー。後、そのボールは維持してくださいねー」
流石に魔力領域を教えて欲しいという方は余裕ですね。
カンの良い方もチラホラ見えますね。
まずはココをしっかり教えましょうか。
「できる人は出来ない人に教えてくださいね」
「先生」
先生?ああ、私のことですか。
確かに皆さんに教えていますし、先生と言えなくもない・・・。
「うまく動かないよ!」
尋ねてきたのはモニカ様と同じくらいの男の子です。
見ると同年代くらいの子がコチラをチラチラと・・・。
聞きに来るのはやっぱり恥ずかしいのでしょうか?
分かりやすいように私もアクアボールを手のひらに出します。
「出したボールをこう、移動できますか?」
私は開いた手をゆっくり握り人差し指だけを立ててソコにボールを移動させます。
「ボールが人差し指の先に移動するイメージです」
ひょい。
おお、見ていた子たちも皆簡単にこなしますね。
「ではこの人差し指を移動させます。ボールは指から少し離れて付いてくるイメージです」
私はやや大げさに手を動かしてボールを追従させます。
ツー。
これも1発で出来ますね。
「次は人差し指を離れて自由に飛ぶイメージです」
適当に顔の周りを回らせたり無駄に上下移動させたりします。
ヒュン、ヒュン。
これも大丈夫。
「では、始めに戻って手を開いた状態でやってみてください」
ヒュンヒュン。
おかしいですね?説明した後にやってもらうと皆さん1発で出来ますよ?サボってます?
「皆さんできる様なので次に移ろうと思います。次はボールの大きさを変えて下さい。大きさは・・・飴玉くらいから顔くらいの大きさまででいいですよ」
そう言って実演しておきます。
さっきの子たちは実演したらすぐに出来てしまったので、もしかすればイメージが出来ないだけなのかもしれません。
土属性とか小さくするの難しいですかね?
私は使えないので分かりませんが・・・。
っとその考えは杞憂だったようですね、膨れたり縮んだりコレも余裕。
おや、どちらかというと年少組の方が出来ている感がありますね。
素直にイメージできるからでしょうか?
「次に行きますね。次は大きさを色々変えながら体の周りを動かしてください」
これも実演。
ココの年少組優秀すぎでしょう、見せたら1発で出来るとか・・・。
発端のモニカ様は・・・いらぬ心配でしたね。
何、この優秀な生徒。
ここまでスラスラ出来て魔力付与出来ないってどういうことですか???
リーズお嬢様、もっと時間かかりましたよ?あれ?
まあ、優秀なのは良い事です。
決してリーズお嬢様がダメなわけでは無いのです。
あ、リーズお嬢様涙目ですね。頑張ってください。
「では、一旦休憩にします」
「えー?まだやれるよー」
年少組からは非難轟々です。
「休憩です。元気の余っている方はもう一度初めからやってみてください。コレが基本になります」
おー、おー年少組は元気ですね、いえ純粋に出来るようになったのが嬉しいのでしょうか?
「あのう、すみません。うまくいかないのですが・・・」
年少組とは少し上の女の子が質問してきます。
苦手、分からないというのは当たり前。なにせ、感覚でやれと言っているのですから。
「どこが上手くいきませんか?」
「スピードが出ないんです・・・」
ふむふむ、大きさの変化は普通くらいのスピードで出来る。移動にスピードが出ないと。
「私が教えているやり方はイメージが大事ですからね。ボールを一旦消して手を出していただけますか?」
不思議な顔をされながらも指示に従ってくれます。
で、渡すのは普通のボールです。更に意味が分からないという顔をされてしまいます。
「このボールを少し早い目に左右ので手で投げ合ってください」
ポンポンポンポン
少しの間やってもらいます。
「では、同じことを属性魔法のボールでやってみてください」
ポンポンポンポンポン
「手を動かさないでやってみてください」
ツーツーツーツーツー
「自由に動かしてみてください」
スーススー
「あ、出来た・・・」
「出来ましたね」
では後半戦です!
一旦ボールは解除してもらいます。
「解除してもらって直ぐで申し訳ないですが、またボールを作ってもらいます」
年少組からは文句が矢の様に飛んできますが流します。
「このくらいの大きさのボールをゆっくりと作ってください。でも、完成一歩前で止めて下さい」
「「「???」」」
分かりませんか、私も感覚で言ってる部分もあるので難しいですよね。
ですがコレが出来れば完成したも同じ!
何とか分かっていただかなくては!
「順番に行きましょう。皆さんがボールを作る時無意識にされている事ですよ?」
順番に少しずつ行きましょう。
「まずは何処に作るかです。今回は手のひらの上になります」
年少組は手のひらを見ていますね。
「ソコに形を想像します」
実際、ボールの形でも人によって形は様々です。
火の玉だと分かりやすいでしょうか?本当の球形か球状に燃えた火の球かそういった差が出てきます。
「そして魔力を注いで完成になるわけですね?」
改めてやってみてその通りだったのか年少組は頷きます。
「今回はボールを想像する所を透明なボールを、分かりにくければガラスのボールを想像します」
出来る方は直ぐにでき、出来ない方でもガラスボール(仮)を作ってもらってボールをだんだん透明にすることでクリアできました。
「この透明なボール作りは少し難しいようですので、少しの間各自練習してください」
これには覚えの良かった年少組も苦戦しているようですね、逆に大人組は大体こなせている感じです。
20分ほどたったでしょうか?練習を切り上げてもらい続きをします。
「次はこの透明なボールに魔力を注ぎます。分かりにくいと思いますので薄氷で作ったボールに色のついた水を入れます。」
タプタプタプ
「分かりにくければコップに水を入れる感じでもいいかもしれませんね」
要は自分の作ったボールを魔力で満たすイメージなのですが、分かるでしょうか?
「できた!」
彼方此方から報告があります。
確認すると出来たといった方は全員出来ています。
出来ていなかった方も慎重に魔力を注いでいただけで問題無く出来ました。
寮のお嬢様方は3日くらいかかったのですよ?
気を取り直して。
「後はボールを手にはめるだけです」
「はめる?」
「はい、ボールを手に重ねるように移動させてください」
ニュル
「うわ!変な感じした!」
「はい、コレで一応魔力付与は完成です」
「え?これで?」
聞いてくる年少組。訳が分からないという大人組。
「とりあえず、これを攻撃してみてください」
そう言って各々の前に氷柱を出現させる。
「うまく付与できていないかもしれないですから、思い切り殴らないでくださいねー」
バゴン、ズゴン、ドゴン。
そこかしこから聞こえる破砕音。
どうやら成功の様ですね!
「嘘だろ・・・。今日までの努力は何だったんだ?」
「学校の先生のいう事は分からなかったけど、先生のいう事はよく分かったよ」
「俺、下級生の指導員止めるわ・・・。」
皆さん何度も氷柱に攻撃して確かめていますが、そんなにすると・・・・。
バタバタバタ・・・。
昏倒者続出です。
無事に持っているポーションで健康な状態まで復帰させることが出来ました。
随分と粗削りに教えましたが、コレで良かったですかね?
皆さんが元気になったところで
「後は大きさ変更の要領で自分の体に合った形にすれば余分な魔力の消費を減らせますよ。攻撃の威力や防御力も注ぎ込む魔力の量で変えることが出来ますよ」
最後に魔力の消費量の抑え方や自分の体にフィットした形に調整するように言って魔力付与の訓練を終了しました。
陛下?どうして白目を向きながら立っておられるのです?
魔力付与はハンターハンターの流をイメージしてもらえれば分かりやすいハズ?
念のオーラが手の周りだけ異様に膨らんでるヤツ。
違いとしては流は比率を変えているのに対して魔力をを足して攻撃力なり防御力なりを上げてます。
というか、調べていたら随分と被ってる。
魔力領域とかもろに円。
まあ、使い勝手良い鉄板スキルだし他にも探せば似たような技なりなんなりあるアニメやらラノベやらたくさん出てくるよね。
問題、無いよね?
念同様イメージなどに非常に左右される魔法ですが、流石にゴンさん(体の急激な成長)は出来ない模様。
現状できそうなのは肉体強化スキル持ちのモニカちゃんだけど女の子だし。
やっちゃうとビスケの逆バージョンになっちゃうのかな?
なんだ、通常の強化か・・・。
でもまだ幼女だしやっぱりご遠慮します。




