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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
87/211

87ページ目 模擬戦2

バート視点


イローナ姫とミニカの試合は双方ともに予想以上の実力で私は驚いていた。

コスカート国の力を侮っていたようだ。

「それでは、第2試合を始める。誰が出るか?」

「俺が行くぜ!」

「私が行く」


ジラールからはテッド・デュペロン。

槍の扱いを得意としており、最近は頭角を現しだしている。

コスカートからは黒髪の少女。

武器は弓を使う様だ、一対一のこの勝負に弓。

一体どのような戦術を取るのか・・・、それとも仕方なく試合をするのか。

どちらにしろ、サポートか遠距離からの攻撃が主体である弓には厳しい戦いだろう。

今は訓練場の隅でクロさんに矢を作ってもらっているようだ。

あと何か話しているようだが、流石に聞こえない。




「それでは、試合を始める。双方位置につけ・・・始め!」

宣言と同時に相手に向かい動き出す2人。

何!?あの少女も前進だと?普通弓は距離を取って戦うモノだろう。

テッドも私同様一瞬の戸惑いを見せるも直ぐに切り替えて突きを放つ。

黒髪の少女、カグヤさんはその一撃を綺麗に回避した後、一射。

テッドもこの攻撃を何とか躱し、槍を使って一気に距離を取る。

むろん、後退を素直にさせてもらえるはずもなく連続で矢を射られている。


2人の距離が開く、テッドは奇襲で少し面食らっていたようだが直ぐに余裕を取り戻す。

この勝負、テッドが有利は揺るがない。

何故ならば、弓には矢の本数という制限があるのだから。

再び矢で牽制をしながら距離を詰めるカグヤさん。

テッドは必要以上に動かない、勝ちの決まっている勝負に余分な事をする意味はない。

カグヤさんはテッドの周りを円を描きながら攻撃しているが、テッドの槍の壁を未だ突破していない。

しばらくして、私は違和感を感じた。

矢が尽きないのだ、カグヤさんは延々と移動しながら打ち続けているがその矢が無くならない・・・。

テッドもその事に気が付き焦り始めている。

カグヤさんの動きをよく見ていると、カグヤさんは円の動きをしながら弾かれた矢を弓で器用に回収しながら移動している。

戦場では敵の矢を、自分の射た矢を回収して使う事がある。

今の状況は正にソレだ、弾かれた矢を移動しながら回収し射続けている。

もはや2人の根気の勝負になりそうか?


「ええい!鬱陶しい」

テッドが風の魔法をやりに纏わせて矢を完全に破壊する、これでは再利用は無理だろう。

途端、カグヤさんはテッドに向かって走り出した。

今までよりも速いがテッドは槍を薙ぐ、風を纏った状態でこれをされれば壁が出来たのも同然であり行動も制限される。

カグヤさんも槍を避けたが、それもまた予想外のよけ方だった。

いや、避けたとも言えなかった。

全身に魔力付与を行い、防御力をあげた上で穂先を矢を構えた状態でバックステップでギリギリ躱し瞬間に反撃。

槍から発せられる風をものともせずに飛ぶ矢もまた魔力付与が行われていた。

テッドはかろうじで躱すも、その躱した矢は地面に突き刺さっている。

矢の先を何重にも布で巻き殺傷力などを大幅に削られているにも関わらずだ。

普通の状態であんなものを喰らったらただでは済まない。

見方によれば一番制限を賭けられているのはカグヤさんだ。

そのカグヤさんが条件的に有利なテッドを圧倒していた。


「クロさん、あれが彼女のスタイルなのですか?」

「私も初めて見ました。以前は普通に後衛からの攻撃だったんですけどね。あのスタイルは魔力付与を覚えてからではないでしょうか?」

新しい力を得たことにより出来上がった戦術か・・・。

「普通ビックリさいますよね?弓持って突撃とか」

「初めて戦ったのならあの初撃を躱せる自信はないですね」

「そうですね、カグヤお嬢様。素晴らしい戦い方ですね」

「だが、それもここまでだろう。テッドのヤツ、ついに風魔法で遠距離攻撃までしだしたぜ。もう、そう簡単に攻撃させてもらえんだろう」

テッドの戦い方は既に本気で戦う時のスタイルとなっていた。

魔法の遠距離攻撃で動きを制限し、動きが止まったところを槍の一撃で仕留める。

テッドの必勝パターンであるが、カグヤさんは止まらない。

器用に魔法を避けながら射返している。

しかし、避けながらの所為で狙いが甘いアレでは当たらない。


「勝負付きましたかね?」

ああ、このままテッドの勝ちだな。

少し狙いを外れていた矢が徐々ににテッドの方へ曲がっていく。

「おいおい、マジかよ・・・」

陛下も引きつった笑顔をしている。

その進路にそれほど大きな変化があった訳では無いが、矢は進路を変え確実にテッドへと迫る。

矢とは真っ直ぐに飛ぶものだ、飛ぶコースを変化させるなど普通は出来ない。

弓だから仕方なく試合に出た?私は実力を見誤っていた。あの少女、トンデモない実力者だ。

テッドが回避の為に魔法を止め、更に回避で体勢が崩れたところでカグヤさんはまた円を描きながら攻撃しだした、今度は複数の矢を同時に放ちながら。

どうやら彼女は勝負に出たようだ、その証拠に彼女にはもう矢が無い。

これを防がれればテッドの勝ち、防げなければカグヤさんの勝ちだ。


テッドは防ぎ切った、所どころ傷ついていることを見ると掠るくらいはしたのだろう。

まともに当たればその部分が吹き飛びかねない。

その攻撃をテッドは耐えきっていた。

見れば槍も折れた状態だった、それでもテッドは立っていた!

「私の負けです、降参します」

彼女はそう宣言し、クロさんたちの方へスタスタと歩いて行った。

テッドは満身創痍で立っているのがやっとの状態、片やカグヤさんは矢さえあればまだまだ戦える状態。

「おい、俺らの兵であんなマネできるやついるか?」

「いえ、我が軍では弓兵の立場は薄いですからね。しかしあんなものを見せられると・・・」

「本人たちの実力不足という事が嫌でも分かるな」

「才能の差と逃げ出したくなりますね、陛下」

ハッキリと言おう、アレは弓の戦い方ではない!と。


「お疲れ様です!カグヤお嬢様」

「うん、でも負けちゃった」

「何言ってるのよカグヤ、本来ならアイテムボックスから予備の矢を一杯出せるんだから全然負けてないわよ!」

「リーズ、ありがとう」

そう、カグヤさんは本来ならまだまだ戦える。

今回は最初に用意した分だけのルールだったのでカグヤさんが負けたが、本来ならまだまだ矢があるのは当然の事だった。

「テッド様、コチラまで来られますか?」

「あ?ああ」

折れた槍を杖代わりにヨロヨロとクロさんの所まで歩いて行くデッド。

「はい、コレ。モニカ様にお渡しした物と同じヤツです。体力も回復できますのでどうぞ食べて下さい」

「ああ、もらおう。モグモグ。うお、ほんとに回復した・・・しかも下手な回復薬よりも効果良いぞ?」

「ありがとうございます。カグヤお嬢様もどうぞ。」

「ありがとう、でもどうして私より先に彼なの?」

「テッド様の方がダメージ大きそうだったので」

「私が帰ってきたときにくれても良かったじゃない・・・」

「その、すみません」


「テッド、彼女の実力はどうだった?」

「陛下、正直予想外過ぎた。でも次やる時は完璧に勝ってやる」

「私も、次に貴方達と戦うときはもう少し制限を解除する」

「制限?」

「魔法、お城を壊しちゃいけないから」

「少しってことは魔法以外にもあるのか?」

「あります、でも秘密です」

「ハッハッハ。テッド、完全に勝つにはまだまだ時間が必要そうだな!」

陛下が実に楽しそうに笑っていらっしゃる。

まだまだ伸びしろが見つかったのだ、強者を好む陛下にとっては嬉しい事だろう。

待機しているメンバーの方を見る。

ソコには試合前には舐めてかかっている空気であったが今は完全に対等以上の相手と認識しているようだ。

これは、彼ら(候補者)には思った以上の刺激になりそうだな。


「で、次はだれが戦るんだ?」

ワクワクと言った感じで陛下の催促が飛ぶ。

「あ、私戦いたい!」

名乗りを上げたのはティファニール姫、まるで遊びに行くかのような感覚だ。

「なら、私に譲ってもらっていい?聞いたことがあるのよ、コスカートのお姫様は氷魔法使いだって。同じ氷魔法を使う物として是非手合わせ願いたいわ!」

「ほいよ」

「やりすぎて怪我させんなよ?」

「どうでしょうねえ?今までの試合を見て、噂に尾ひれが付いただっけてことはなさそうだから何とも言えないわね」

ほう、相手は氷魔法使い手マリー・マロウンか。

カ「やっと活躍できた、最近私存在感なかったから嬉しい」

ク「大丈夫ですよ、カグヤお嬢様。私達はカグヤお嬢様が素晴らしい実力を思位置していることは知っています」

カ「うん、ありがとう。でも普通の魔族(デモン)じゃ私が何かする前に倒されちゃうからやっぱロ私は活躍できない」

リ「何言ってるのよカグヤ。相手が攻撃できないように牽制したり、危険だったら弓で妨害してくれているの私たちはちゃんと知ってるからね!これからもお願いね!」

カ「リーズ・・・。うん!」


カグヤさんは前衛で戦える弓兵でした。

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