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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
86/211

86ページ目 模擬戦1

ここからしばらくバート視点

バートランド視点


従妹のモニカがコスカートの第2王女であるイローナ姫に手合わせを申し込んでしまった。

陛下が何とか穏便に済まそうとしている間に他の者も集まってきてどうしようもないような状態だ。

それでも何とか簡単な紹介で終わらせようとした矢先に今度は第1王女であるティファニール様が手合わせを申し出てしまった。

確かに彼女たちの目的は我が国の同年代の者と手合わせをして己の実力を再確認し、次へ繋げることなので間違ってはいない。

しかし、何も今日この場で行わなくてもいいはずだ。

陛下もすがるような感じでクロさんの方を見ていたがクロさんも肯定派の様だった。


それなら、下手に各自でやってもらうよりも、試合形式にして少しでもコチラの意見を聞いてもらえ方がいいだろう。

「では、一対一の試合形式で行う!参加は一人1回まで!武器は練習用武器を使用!勝ち負けは審判の判断で行う!では、準備を始めるように!」

陛下もお前まで何故という顔をされているので説明をするとすんなりと了承していただけた。

これで数か所で勝手に試合をされることはない。


「では、まず誰から・・・」

「私がいきます!」

「わたしもたたかうー」

まず候補されたのはイローナ姫とモニカだった。

モニカは同年代では負けなしで、今は幼年部だが学園の初等部でも十分に通用する実力を持っている。

これも普段からの努力の賜物だ。

洋服やお人形などにほとんど興味を持たず、ただひたすらに武芸に励んでいる。

実力云々になると少しケンカ早くなるが、それはもう王族の分家に生まれた性分だろう。

かたやイローナ姫も自信満々というか戦いたくて仕方がないといった感じで参加されている。

それなりに鍛錬しているという事だろう。

「武器は此方をお使いください」

「ちょっと、何よこの武器!?木の上に刃の部分に布がグルグルに巻いてあるじゃない!」

「モニカ、我慢しなさい。君が試合にも鍛錬にも真剣だというのは知っている。しかし、この試合は他国の姫君との試合だ。万が一ケガでもあれば即戦争という事もあり得る。お互いの為にコレは必要な措置だ。他の試合も同じようにさせていただきます。異論はありませんね?」

ココだけは譲れないと意思を込めて確認するも

「は~い、わかりましたー」

軽い調子でクロさんに流されてしまう。


私達は下がり、イローナ姫とモニカが向かい合う。

お互い武器は剣、お互いの実力も分かりやすい。

「では、始め!」

構えて相手の出方を見るイローナ姫に対してモニカが攻勢に出る。

袈裟切りから入りモニカが連続攻撃しているが、イローナ姫はその攻撃を的確にいなし防いでいる。

モニカからの攻撃が緩んだ瞬間に下から斬り上げる。

防御を弾き上げた所に追撃を掛けるがモニカは後退してコレを躱す。

お互い幼年部の年齢とは思えない動きだ。

特にイローナ姫、モニカの事はずっと見ていたので知っている。

しかしモニカの他にこの年でこれ程動ける者がいるとは思っていなかった。


「ふ、ふ、ふー・・・。あなた、強いわね」

モニカの目が本気になった。

対するイローナ姫はニコニとしているだけでその心中は分からない。

「ギアを上げるわ!」

モニカから感じるプレッシャーが大きくなる。

モニカは素の状態で初等部なら最終学年と対等以上に戦うことができる。

つまり、イローナ姫の実力はそれ以上という事なのだろう。

「あの、すみません。【ギア】と言うのは?」

「あ、そのですね・・・」

「モニカのユニークスキルの事だ」

「陛下!?」

「隠してもどうせバレる。特に、クロ相手だとな」

確かに、普通のスキルには【ギア】というスキルは無い為に少し調べればバレてしう事だが、率先してばらさなくともいいでしょう。


「なるほど、身体強化系のスキルですね、どれほど向上しているかは分かりませんが感じるプレッシャーが大きくなりましたね」

正確にモニカのスキルの内容を把握しようとしているクロさん。

彼女に皆の戦いを見せて手の内をさらしてしまっていいのだろうか。

強化した体で再びイローナ姫に攻撃を仕掛けるモニカ。

イローナ姫は防御に徹するも徐々に押され始めている。

ついに防御を崩し、追撃の一撃を加えたモニカに帰ってきたのは手痛いカウンターの一撃。

防御が崩れたように見えたのはフェイントだった。

確実に攻撃を防いだモニカだったが、堪えきれずに吹き飛ばされてしまう。


「あなた、魔力付与を・・・」

「うん。めいどおねえちゃんにおしえてもらった」

あの年で魔力付与を使えるのか!?

魔力を意識的に流して攻撃力や防御力、スピードや耐性を上げる魔力付与。

上級者になればできて当然のことだが、イローナ姫の年では異常という他に無い。

現にモニカはまだ魔力付与を使えないし、中等部より下の部で使える者がいるとは聞いていない。

しかも違和感を覚えさせない使用。

彼女はもう魔力付与をマスターしていると言っていい状態だ。


「・・・負けない・・・あなたには、絶対に負けない!」

魔力付与という自分には出来ないスキルを見せつけられて誇り(プライド)が傷ついたのか、モニカが吠えた。

「【ギア】を、もっと【ギア】を!」

モニカから放たれるプレッシャーが跳ね上がるが、モニカの制御の限界を超えている。

これではモニカも傷ついてしまう!

対するイローナ姫も静かに全身い魔力付与を行い、更に別に剣に魔力付与を行っている。

これではどちらともタダでは済まない。

「モニカ、やめろ!危険だ!!」

「負けない負けない負けない・・・・」

もうモニカには何も聞こえていないようだった。

陛下に止めていただこうと見ると、陛下は獰猛に笑いながら2人をみておられた。

お互いにギリギリに張り詰めた状態で、お互いに必殺の機会をうかがっているまさにその時だった。


「はーい、そこまでです。イローナ様、モニカ様。この勝負は引き分けでーす」

そう軽い感じで2人の間に割って入ったのはクロさんだった。

イローナ姫はクロさんの乱入であっさりと戦闘状態を解除されたが、モニカはまだギアを維持したままだ。

「お終いですよー、このままでは怪我をしてしまいますからね」

「むー」

まあ、納得はされていないようだが、とりあえず指示には従ってくれているようだ、後は

「退いてください!」

「退けませんね、私もイヴァン陛下から皆さんに怪我をさせないようにと仰せつかっていますので。明らかに怪我をしそうなことを見逃すわけにはいきません。それに、貴女も限界でしょう?とてもつらそうですよ」

「私は!負けられないの!!」

そう言ってモニカは駈け出した。

いくら幼等部と言ってもその強化値はかなりのもの、何の準備をしていないクロさんでは!?

「イローナ様!」

何とか強引にイローナ姫を横に追いやったクロさんにモニカの全力の一撃が入った。


まるで放たれた魔法のように壁に向かってクロさんが飛んで行って激突した。

壁は大きくひび割れ、クロさんはグッタリとしている。

「クロさん!?モニカ!何故クロさんを攻撃した。試合を止めただけだぞ!」

「だって、私は・・・負けられないから・・・」

「それでも、彼女たちは陛下のお客人だぞ!この責任、どうするつもりだ!?」

モニカも無理をして体がボロボロだがそれよりもクロさんの事だ。

双方が怪我をしないように止めに入ってもらったのに無防備な相手を攻撃するなど・・・。

いくら魔王といえども、アレを喰らっては・・・

「いやぁ~、凄いですねー。かなりの破壊力です」

そう言ってポンポンとメイド服のスカートをはたきながら戻って来るクロさん。

何事も無かったのようにモニカの前まで歩いて来て、手を上げます。

モニカもぎゅっと目を閉じますが、上げられた手は優しくモニカの頭の上に乗せられました。

「まだ少し体の動きがズレていますからしっかり意識しないと勿体ないですよー?」

「え?」

「悔しいのは分かるのですが、自分の体にダメージが来るような技はホイホイ使ってはいけませんよ?貴方はまだまだこれからなのですから。ね?」

「う、うわぁぁぁぁぁん」

「はいはい。お疲れ様です。フム、色々とボロボロですね。【ヒール】」

モニカを宥めながら回復魔法をかけてくれているが、


「陛下、クロさんはどうしてアレ喰らって平然としているんですか?」

「俺が知るか。まあ、モニカに関しては良い収穫だ。あの娘があそこまで強くなっていたとはな!」

陛下はクロのダメージうんぬんよりモニカの実力が見れて実に嬉しそうだった。

「お2人ともお疲れ様です、これを食べて休憩しながら試合を見ていて下さいね?見るのも勉強ですよ?」

イローナ姫とモニカは素直にクロさんから何か受け取り一緒に並んで観戦するようだった。

2人とも認め合った様な顔で見合い、笑っているので問題は無いだろう。

結果は引き分け、同年代に負けることのなかったモニカにはいい経験になっただろう。

あくまでも幼等部としてです。

学年が上がっていくとソコソコ、普通となります。


モニカちゃんの攻撃は頑丈なメイド服(ゴート)が防いでくれました。

激突も有能なメイド服がショックを吸収してくれています。

ただ、反動で頭は打った模様。

グッタリしていたのはその所為です。

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