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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
80/211

80ページ目 月属性魔法を覚えよう

シャンタル視点


「それでは、始めましょうか」

「ええ。お願いするわ」

「・・・・」

「リーズ、貴女は他の娘とクエストにでも行ってなさいな」

「皆出かけてもういないわよ!私も何かの役に立つかもしれないから聞いておくくらいいいでしょう?」

「分かったわ」

お昼過ぎ、昼食を取って私はクロから【月属性】の魔法について教えてもらうことになった。

リーズもいるけれど、まあ問題無いわね。

教えてもらう理由も昨日の話の中で私の適正属性が【風属性】じゃないと分ったからと言ってあるし。


「それで、シャル様はどのくらい【月属性】の事をご存知ですか?」

「全く知らないといっていいわ。そもそもが殆ど謎な属性だしね、使う人もほとんどいないし・・・」

「そうですね、私も他の属性の事を調べる時に見てみましたが、ほとんど何も書かれていませんね。こういう名前の属性があるよ。くらいです」

「じゃあ、どうやって勉強するのよ?」

「リーズお嬢さま、慌て過ぎです。まあ、教科書や分厚い本には物を引き寄せる・引き離す、物を重くする・軽くする。くらいにしか書いてありませんね。これだと【風属性】でも出来そうですから何故【月属性】という属性が定義されたのか謎ですね」

そう言って考え込むそぶりを見せるクロ。


「そんなのはどうでもいいから、どうやって訓練するのよ?」

リーズ、落ちつきなさい。貴女は訓練しないでしょう!

「はいはい。では質問です。お2人は重力と言う概念を知っていますか?」

フルフル

「非常に大雑把に言えば物体が地面に近寄っていく現象や、それを引き起こす力のことです」

「「物が下に落ちるのって魔法の所為なの!?」」

「違います。ん~、どう説明すればいいでしょうか、私も詳しくは知らないので・・・そうですね~・・・神様がこの世界に課したルールみたいなものと思ってください。本当は全然違いますが・・・」

「違っていいの!?」

それ、結構重要なことじゃないの?


「引き寄せる力が引力、物が下へ落ちる時にかかる力が重力という呼ばれ方をしていると思っていただければ・・・。魔法って結構イメージで発動できますし」

「へ?何言ってんの?」

「それ、クロだけよ。きっと」

イメージで使えたら苦労しないわよ!

この娘、予想よりナナメ上に出鱈目ね、聞いてる感じだと魔法の無い異世界?から呼ばれたとか言っていたけど、なのにどうして私達より魔法に詳しかったりするのよ。

「まあ、イメージ出来た方が魔法を発動しやすいとは思いますよ?」



「それで、お店に行って月属性の魔法は無いか調べたのですが・・・」

「まあ、無いわね」

「それが普通ね。私もジラールでかなり調べたけど、当たりは無しよ。胡散臭いのはいくつもあったけど・・・」

「なので、やはり自作するしかないかと・・・」

「無理よ!!そんなに簡単に月属性の魔法が出来るわけない!」

「まあ、まあ、ものは試しです、試すのは無料です」



「・・・おかしいですね、この方法ならできると思ったのですが・・・」

「何をどうしたらできるのよ!?」

「クロでも無理って、もう無理なんじゃないの?」

「そうですかぁ~・・・」

クイ、パシッ!

「!?ク、クロ!今の、どうやったの?」

「へ?」

「出来てた!今、遠くの物引き寄せてた!」

私とリーズは興奮が収まらない、今まさに無理だと諦めようと思っていたのに目の前で成功したのだから。

「?私は出来ますよ?イメージがしっかり出来ますから」

「えっと、つまり?」

「お2人の意識改革の為に色々していただけです。コッチの方が早かったですか?」

コイツ・・・


『やっ。ほー。』

「ルナ様、今日は早いですね」

『う。ん。皆に。教え。るって。約束。した。クロさん。上手。』

「ありがとうございます。それで、魔法を使う時の感覚を何とか伝えようと思っていたのですが」

『ん。わか。った。』

「「へ?」」

ルナ様が私たちの額の前へ手をかざした瞬間、

「「きゃ!?」」

『これで。大。丈夫。』

「何をされたんですか?」

『私の。魔法。を。使う。時の。感じを。伝。えた。』

そう、どうしてか分からないけれど、ハッキリと分かった。

こんな感じなんだって。

『大。サービス。だよ?。』

「チート乙」

可愛く首をコテンとされるルナ様と意味の分からない言葉をつぶやいたクロ、チートって何かしら?


とにかく、今は感覚を忘れる前に自分でもやらないと!

私達は的を出してもらってさっきの感覚の通りにやってみる。

すると、ゆっくりとではあるけれど、的が自分の方へ近寄ってきた!

リーズはまだ出来ていないようだし、適性の違いね!

ポコン。

「いた」

「無意識に風魔法で後ろから押さないでください」

え?私、無意識に別の魔法使ってた?

もう一回!

────

───

──


キタ!ココだ!!

シュッ。ぽす。

やった、やっと出来た!私、月属性の魔法、使えた。

「やっ」

「それじゃあ、反復ですね。的はまだまだありますからドンドンいきましょう」

「え・・・?」

私の少し前にはゴロゴロと複数の的が転がっている。

「さあ、頑張りましょう!」

クロはドSだ・・・。



「眠い・・・」

結局昨夜はかなり遅い時間まで練習をしたおかげで、今とても眠い。

リーズも何とか初級と言われるレベルの魔法は習得出来たみたい。

重力(グラビティ)】。

(ルナ)】というよりも重力と言う方が恰好がいいとかどうでもいい理由でクロはそう呼んでいるらしい。

この力で私はもっと上を目指すんだ!

これからどんどん練習して、

「あ、シャル様。おはようございます。本日の訓練は引力、引く力の反対の斥力の練習をします。まあ、目標を押し離す力ですね。水の入ったボールを投げて、それを押し返す訓練になりますので濡れても問題のない服を着てきてくださいね?あ、でも濡れても区切りが付けばすぐに乾かしますのでそこまで気にされなくても大丈夫ですよ」

・・・


それからクロ式の魔法の訓練が始まった。

被害者は私とリーズ。

他の皆も月属性の魔法に興味を持ったけれど一部の地獄のような内容に迷わず辞退した。

リーズは断ろうとしてクロによって逃げ道を潰されてしまったし、私は逃げることなどできるはずがない。

その内容とは、おやつの前に1発勝負で魔法のテストを行い、失敗すればおやつ無しという本当に恐ろしい訓練だ。

食事は成長期?とか言うのと健康がどうのこうのなので訓練はしても抜きにはならなかった。

この寮で出されるお菓子はクロの手作り、最近はコーラルに教えるついでに作っている。

クロの手作りのお菓子、それはつまりイヴァン陛下の誕生祭にも出された超・高級菓子!

皆が美味しそうに食べているのに自分だけ食べられないのは辛い、なので自然と2人共力が入る。

犬にしつけを仕込む時に似ているとは思ったけれど、お菓子には代えられない。

お菓子は私たちの最大の娯楽の1つ!手など抜けるはずもなかった。


悔しい思いを何度もして、私たちはようやくクロから問題無いと評価をもらったの。

これで、

「では、基礎を覚えていきましょうか?」

え?基礎を、覚える?今までのが基礎じゃないの???

信じられない言葉を聞いてクロを見る私達。

「魔法を使う感覚を覚えられたようですので、ようやく基礎に進めますね」

「えっと、今までやってた事って分かりやすく言うと、どんな感じ?」

恐る恐るクロに聞いてみる。

それなりに難しいはずよね?だって、あの感覚とても掴み辛いもの。

「人で言うと、赤ちゃんが立てるようになった!みたいな?」

ゴーン・・・。

それ、全然じゃない

「ですが、立てるようになりましたので歩いたり走ったりは直ぐに出来るようになりますよ」

そんなフォローはいらない・・・。

クロがこの魔法でどんな事をイメージして教えるつもりでいるのか分からないけれど、重要なことはいつも1つ!

これからも私たちのお菓子は時々抜きになると言うこの1点のみだった。



「まず、【月属性】の利点ですが、感知されにくいというのがあると思います。他の方は知らない概念を使うわけですから、感知のしようがない、おかしいのは分かるけれどソレが魔法とは連想できないという事です。つ・ま・り!だまし討ちがし易い!」

うわぁ~、外道だぁ。

なんでそんなに堂々と外道なことするかなぁ・・・。

「次に極めれば恐らく物理攻撃は当たらないというのもあります。後、不意打ちに使えます」

2番目の方が重要じゃない!?あとだまし討ちと不意打ちそんなにかわんないから!

「斥力を今まではボールを飛ばすという事にだけ使ってきましたが、それを物理攻撃への防御へ回すという事です。攻撃の当たりそうな部分の周辺を、咄嗟なら体全体を斥力の膜で包んで防御するわけです。魔法には・・・多分効果が無いと思います」

なるほど、強い力ではじき続けるから当たらないという事ね。

コレは拳闘の私にとってはありがたいわね。

動きを阻害しないためにどうしても軽装にせざるを得ないから鎧の様に使えるのは嬉しいわ。

「次に移動です。自身を斥力で飛ばす、ポイントを指定して引力で引き寄せるなどで普通の移動より早く移動出来たり変則的な動きが出来ます。ただ、慣れるまで大変ですね。慣れてくれば空も飛べるはずです」

・・・移動ね。

「【月属性】の魔法を付与すると対象を重くしたり軽くしたりすることが出来ます。これによって重い一撃を放ったり、前に言った移動もこの効果の応用です。これを自由に操れるようになりますと大きな岩を軽々持ち上げたり、1発で砕いたりできるようになるわけです。そして、この重い一撃がシャル様の戦闘スタイルへと繋がるわけです」

・・・、・・・付与で重い一撃?

その他にも引力を強く強く発生させると危険だとか、壁の代わりにできるとか色々聞いたけれど、多すぎて処理しきれない。ダメだ、クロが何を言っているか全くわからなくなってきた。

リーズも隣で頭をかしげている。


「大丈夫です、訓練で1つずつじっくりと練習していきますから」

悪魔の微笑みが顔を出す。

強くなるためだったら私はどんな訓練でも耐え・・・られるかしら?

正直、内容をクロが考えるというだけで逃げ出したくなるわ。

犬のしつけをするときは根気よく行っていくしかないのです。

勉強も運動も根気よく反復するしかないのです。

つまりは慣れなのです。

慣れとは人を変える魔法なのです。

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