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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
79/211

79ページ目 シャンタルの悩み

シャンタル視点


「ねえ、クロ。少しいいかしら?相談に乗って欲しい事があるのだけれど・・・」

夕食が済むとクロは大体自室に引っ込んでしまうから意外と会う機会が少ないのよね。

「私に相談事ですか?私、あまりお答えできることなんてありませんよ?」

「大丈夫よ、ダメでも何も言わないから」

「分かりました、ではお部屋でいいですか?」


そう言えばクロの部屋に入るのって初めてね。

少しドキドキするわ。って好きなコの部屋に入る少女でもあるまいし!

でも気になるわね、クロの私室。


コレは、草の絨毯?

少し硬いけれど落ち着く匂いがするわね、足の低い机とクッション。

布団が直に置いてあるわね、ベットは使わないのかしら?

まあ、工房もそうだったけど聞いてる範囲では作業部屋は別にいくつもあるって言っていたし、本当に自室として使っている部屋の様ね。

っと、イケナイ。今はクロの部屋の散策をしている場合ではないわ、クロにしか頼めない相談事があるのだから!

でも・・・

「どうしてリーズがいるのかしら?」

「自分の使い魔の部屋にいちゃいけないの?」

「私の個人的な話だから聞かれたくないの」

「クロ以外の誰にも?」

「ええ、恥ずかしいから」


少しの間無言で睨み合います。

リーズも普段は良い娘なのだけれど、クロ関係の時は頑固になるわね。

前に皆に聞いてみたけど、どうやら長い間使い魔(ファミリア)に恵まれなくてクロに対してのアプローチにはかなり敏感だって聞いてる。

気持ちは理解できなくはないけれど、この相談は別。

私も譲ることは出来ない。

「リ、リーズお嬢様、誰にでも他の方に聞かれたくないことの1つや2つはありますから・・・」

「・・・、・・・分かったわ」

クロの説得のおかげでようやく退出してくれた、申し訳ないけれどこれは知られるわけにはいかないのよ!

「それで、私が聞いてしまう分には問題無いのですか?」

「当然じゃない。そうでないと相談もできないでしょ?」

「では、相談というのは?」


自分から頼んで置いてなんだけれど、いざ話すとなると中々に恥ずかしいわね。

「あの、あのね。私、風魔法が上手くならないの!だからどうすればいいか教えて欲しいのよ!」

言えたー!何とか言えたー!王族としてこんな恥ずかしい事、誰にも言うことが出来ないわ!

コーラルにだって言ったことないもの!

「あの・・・」

「なに!?」

「私も風んも魔法、使えませんよ?」

「し、知っているわよ。私がお願いしたいのは、皆にしているようなアドバイスが欲しいってこと」

皆クロのアドバイスを受けて魔法の腕もグングンと上がっている、せっかくそういうことに長けた者がいるのに頼らないのは勿体ない。


「アドバイスですか・・・。でもシャル様は上手く魔法を使われている様に見えますが?」

「ダメなのよ、今のままじゃ。もっと上に行けないと」

「・・・理由をお聞きしても?」

やっぱり来た!こんな事、王族として恥ずかしくて言えない。

でも!言わなければ解決もしない。

「私、斬撃系の魔法が使えないの」

「斬撃系?」

「ええ。風魔法の斬撃系の魔法の威力がどうしても上がらないの、ううん、発動してるかどうか分からないレベルなの。それに風魔法自体の威力も頭打ちなの、どんなに魔力を込めてもせいぜい中級くらいの威力しか出ないの」

「えと、威力が出なくて悩んでおられるのは分かったのですが、それが何か問題があるのですか?」

「私の実家ね、分家が結構な数あるの。実家は実力主義だから実力があれば分家からでも本家に養子にもらわれて、実力があれば王位を継ぐことだってできるの」

「何というか、凄いご実家ですね」

「ええ。お父様も養子から王位を継いだそうよ」

「それで、他の養子の方に負けたくないと?」

「そうね、それもあるわね。・・・いいえ、それだけね。訓練の時は皆一緒にして実力を競うのだけれど、魔法の分野で私はずっと他の子に負け続けてきた!魔法無しの戦闘ではソコソコに戦えたけれど、魔法もありになった瞬間に勝てなくなるの」

「ソレが魔法が弱い所為だと?」

「ええ、ウインドブロウとかウインドウォールとか打撃・防御系は中級クラスまで扱えたけれどウインドソードとか斬撃系の魔法は初級ですら使えないの、しかも使える魔法も上級が使えないから火力で押し負ける。」


簡単なアドバイスをしてもらうだけのはずだったのに、こぼした愚痴は私の意思に反してどんどん出てきてしまった。こんな事、他人に言うべきことではないのに・・・。

「私、これ以上負けたくないの!お父様をガッカリさせたくない!見限られたくない!褒めて欲しい!誇りに思って欲しい!だからもっと・・・うぅ・・・」

やってしまった。

きっとクロもいきなりこんな身の上話を聞かされてうんざりしているだろう。

言っていることは結局、父親に自分を見て欲しいと駄々をこねているだけなのだから。


「なるほど、大まかには分かりました。」

「クロ・・・」

「確かにシャル様は魔法関係の本をたくさん読んでいらっしゃいましたし、納得の理由です」

「でも、言っていることはただの我が儘だわ」

「いいじゃないですか、我が儘。好きな相手に自分を見て欲しいと思うのは普通だと思いますよ?」

「クロ・・・」

あれ?涙が・・・・、どうして?

「では、サクッと解決しましょう」

へ?私が今まで悩んできたことをそんなに簡単に解決できるの?

クロの顔を見るとその顔は自信に溢れていて、期待してしまう。


「シルフ様、どうしてなのです?」

え?シルフ様?

どうしてシルフ様がココに?

解決方法ってまさかシルフ様に確認するの!?

シルフ様答えくれるの!?

『んー?。だって。その子は敵性の属性が【風】じゃあないからねー。高位の魔法を使えなくて当然だよー?。』

「ま、待ってくださいシルフ様。私の適正属性が風ではないと!?」

『そうだよー。魔法が苦手・上手くいかない子のほとんどが適性の属性を選べていないだけ。適性に合う魔法なら直ぐに上達するよー。ま。君の場合は難しいかもしれないけど。アハハハハー。』

「わ、私はお城で適正属性の鑑定を受けて、その結果の通りに属性を選んだのよ? ! 選んだんですよ?」

『人間の使う道具なんかでは。完全には分からないんじゃない?。下位精霊のいたずらなんてこともたまにあるしー。そこの判別なんて出来ないでしょー?。』

「そ、それでは私の適正属性とは何なのですか!?」

『それはー。ヒ。ミ。ツ。でも。私に近しい能力だよ。わかるかなー?。それに。あの子も厄介だよ~?。』

やはり大精霊様は気まぐれで私を助けてはもらえませんか。

いいえ、自分の適性の属性が風でないと教えてもらって適正属性なら高位の魔法まで使えると教えていただけたのだから、後は自分で何とかしないと!


「なるほど、ルナ様ですか・・・確かに厄介そうですね」

「クロ!貴女、今ので分かったの?」

『クロちゃんせいか~い。つまらないよー?。』

「すいません。でも、習得が難しいという事はあまり知られていない属性なのではないかと思いまして」

『なるほどー。それなら絞れるねー。じゃ、そういう事で、バイバーイ。』

シルフ様はそういうと飛び去ってしまわれました。

「それでは、探しましょうか?」

「見つかるの?っていうかこの寮にいらっしゃるの?」

「それは分かりませんが、そうですねーココにルナ様の好物のお菓子があります。これを食堂の机の上に置いて、私たちは隠れていれば・・・」

隠れて待つこと数分、食道の入り口から誰か入ってきたわ。

まさか!?本当に!?

入ってきた人物が周りを確認してお菓子に手を伸ばした瞬間、

「フィーッシュ!!!!」

クロが叫びながら手を大きく振ると動きに習ってお菓子が飛んで移動した。

ついでにお菓子を食べようとした人物も飛んできた。

当然、、ボスンと捕獲用のマットの上に飛ばされる。


捕まっていたのはメイサだった。

「クロ、何しとるねん?」

「ルナ様を捕まえようかと」

「それでお菓子、か。あの人メッチャ菓子好きやしなぁ」

結局その後は誰もかかることはなく、私たちは仲良く次の朝を迎えたのだった。

『あら。お2人。共。眠そうね?。』

そう声をかけてきたのは、かけてこられたのはルナ様でした。

「ど、どうしてココに?」

『貴女達を。ムダな事。してるな~。とか。思いながら。見て。いたんだけれど。もう。眠くなっちゃった。から。ご飯を。食べ。ようと。思って。』

「知っていたなら出てきてくださいよ!」

大精霊様は気まぐれだ、今だって運が良かっただけ・・・。

「気にしなくても大丈夫ですよシャル様。ルナ様は恥ずかしがり屋なだけですから。シャル様に会うのが恥ずかしかったのですよ、きっと」

は?

『クロ。さん。ヒドイ。です。私。が。気に。している。ことを!。』

顔を真っ赤にしながらポコポコとクロを叩いているルナ様はとても可愛いかった、


ボゴン


変な音がしてクロがうつ伏せに床にめり込んでいた・・・。

「クロ?生きてる?」

「・・・・」

返事が無い、コレは、危険なのではないだろうか・・・。

「ル、ルナ様。ウンディーネ様かシャイナ様を呼んでください!」

『え?。あ。うん。シャイナー!』


『どうしたのよ?。ルナ。』

『クロ。さんが。クロさんが~。』

『どうせまたいつもの悪ふざけでしょ?。』

そう言ってルナ様がクロをひっくり返してもクロはピクリとも動かない。

私は看破(リーディングサーチ)を使ってみると、


名前:クロ

状態:気絶

残りHP:39


「ってクロ本当に死にかけてる!?」

『へ?。キ。キュア。キュア。キュア。』

「大分回復したわね」

『ルナ。あなた・・・。』

『ごめん。なさい。途中。で。スキル。発動。しちゃった。かも・・・。』

『あなた。クロさんを殺す気?。一見死ななさそうなクロさんも私たちが攻撃すればさすがに死んじゃうわよ。』

『気を。付けます。』

何だろう、ほんわかしている感じのやり取りなのに内容が物凄く物騒なのは・・・。


『貴女も気を付けてね。このコ。力の制御が十分じゃないから。』

え?大精霊様の力の制御が十分でない?

どうしてそんな危険な存在が寮の中を自由に歩き回っているのよ!?

って大精霊様だもの、誰も制限できないわね。

『前も間違えて国一つ潰しちゃってたから。本当に気を付けてね。』

え?私達もしかしなくても断頭台の上に立ってる?

よく庭とかで爆発とか意味不明な物体が出来たりとかしてるけど、一歩間違えばこの寮無くなってる?

クロ、もしかしてかなり苦労してる???


「う、う~ん・・・」

「クロ、大丈夫?」

「は、はい。何とか」

『クロさん。すい。ま。せん。』

「流石にヤバかったです。・・・それで、ルナ様。シャル様に教えていただけますか?」

『う!?。でも。私。感覚。で。使って。いるから。説明。できない・・・。』

「「・・・・」」

『とりあえず。ルナも魔法の練習の時には顔を出す様にして。思ったことを言ってあげるっていうのはどうかしら?。感覚で使っているにしても良し悪しは分かるだろうから。』

『分かった。わ。それ。でもいい。かしら?。』

「お願いします!」

凄い!まさか本当に大精霊様に魔法を教えてもらえるなんて・・・。

「それで、魔法の説明は私なんですね・・・。」

『クロさん。お願い。します。後。練習は。出来れば。夜に。お願いします。』

昼間はルナ様はずっと何処かで眠っているそうで見ないもんもね。

私は教えてもらえるだけも十分だし、

「問題無いわ。よろしくお願いします」

『それ。じゃあ。ご飯。を・・・。』


クロと一緒に厨房へ入っていくルナ様を見送って私は部屋に帰ってそのまま眠ってしまった。

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