77ページ目 アイテム収集と素材作り
「で?クロ、コレはどういう訳?」
リーズお嬢様がギロリと私を睨みつけておられます。
他のお嬢様方も半目で説明を要求されています。
─少し前─
「それでは、皆さん。私は必要なアイテムを取ってきますので皆様は南門前に居て下さい」
私は必要なアイテムを揃えて南門前へ。
「それでは皆さん、コチラです」
進むのは門の外ではなく、門の内側。
壁に沿って移動していきます。
始めは街の風景でしたが少し歩けば家はまばらになり、道も舗装されていない道になります。
更に進み川にぶつかると河原に降りれそうなところ所を探して浅瀬に移動します。
「では!皆さんコレでアイテム収集をしていただきます」
皆さんは何が何だか訳が分からないという感じですね。
─今─
「川底の砂鉄を集める作業になります。このかごの様な物で底の砂や小石を拾って濯いで砂鉄のみを集めます」
調べるといくつか方法が出てきましたけど、そんなことをすれば他の方にマネされてしまいますしね。
そして問題なのは採取率の悪さ、多分1日中やってもそんなに集まらないでしょう。
ずっと屈んでいるので腰が痛くなる、ずっと川の中なので体が冷えてくる、そして砂鉄は集まらない。
とりあえず、ウンディーネ様にお願いして水の流れを緩くして水温を上げてもらいましょう。
ノーム様にもお願いして密かに砂鉄の量を増やしてもらいましょうか?ダメですかね?
あれ?この川、意外と砂鉄が多いですね。異世界だからでしょうか?
さて、他の皆さんはどうでしょう?
「おーい、リーズ。お前、そんな所で何やってるんだよ?落とし物探しの依頼かー?」
「うっさいわねー!そんな感じよ!!!」
「シャンタル様ー、俺らとクエスト行きませんかー?」
「ごめんなさい!私も自分でこの依頼受けたから無理ね」
「お前ら、ティファニール様に怪我させんじゃねぇぞー!」
「大丈夫だよー、この辺り浅いし、魔物もいないからー。」
「貴方達はどんな依頼なの?」
「ああ、俺たちは鉄鉱石の運搬の護衛だよ!今依頼料も高騰しててかなり美味いんだ」
たまたま通りかかった他の生徒さんと会話をしながら集めていて下さるようですね。
「結構集まったわね」
そうですね、私も予想外でしたヨ。
これだけの量があれば十分でしょう。
「それでは寮に帰って作業しましょう」
「寮?家ではダメ何ですか?」
「私もあまり人に見られたくないと言いますか・・・」
失敗したら目も当てられないだけです。
「分かりました、やり方は教えていただけるんですよね?」
「はい、他の材料も既にそろっています」
「わぁ~、ココがクロさんの工房なんですねー」
リリー様は少し興奮した様子で工房の中を色々見て回っています。
大丈夫、昨日見られたらイケナイ物は全て片付けました。
もう、何も無いはずです!
「あのぅ、クロさん。クロさんの作られた武具は何処にあるんですか?」
「あ、ソレは全部ギルドの方に出してしまいまして・・・」
危ない危ない。私の作った趣味武器が見られてしまう所でした。
普通そうなのは出しましたが、趣味全快の者はアイテムボックスの中です。
「それでは、作っていきましょう!お嬢様方は見られていても暇になると思うので、解散していただいて結構ですよ?」
ホント、暇だと思うので。横でおしゃべりされるとリリー様の邪魔になると思うので。
「せっかく集めるのを手伝ったんだから、最後まで居させてもらうわ」
「皆さん・・・」
シャル様の言葉に頷かれる皆さん。
その反応に嬉しそうにされるリリー様。
まあ、そう言われるのなら・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
誰も何も話しません。
もちろんソレは真剣に見つめているからではなく・・・
「熱いわね」
「ええ・・・」
「もう・・・無理・・・」
「でも、フィーが頑張っているんだもの、私だって・・・」
シュルリ。
シュルシュル。
皆さん!リリー様を応援しようと一緒に居られるのはいいのですが、熱いからと言って服を脱いでいかないでください///
ああ、いけません!皆さんこんなに必死なのに私だけ煩悩で悶々としていては!しかしこの状況では・・・
「ハァ、ハァ・・・」
周りの状況には一切目もくれず一心に作業されているリリー様。
やはり、普段から親方さんと一緒に作業されているからでしょうか?
集中力が全く途切れません。
おや?マクスウェル様、ノーム様?
え?何をなさるおつもりですか?
頑張っているご褒美?
ちょ!?ホントウに何を!
「! 出来た!クロさん、出来ました!」
「は、はい。そうですね、お疲れ様です」
出来上がったものは大精霊様の加護入りの素材となってしまいました・・・。
し~らない。何があっても私は悪くない。
「コレ、父さんに持って行ってきます!」
「その前に皆さんお風呂へ行かれてはどうですか?汗びっしょりですし」
「そうね!汗でびしょびしょだものね!」
皆さんをお風呂へ送り出してからこの場でニッコリとしている大精霊様にお聞きしました。
「どうして手を加えてあげたのですか?」
『ん。気まぐれ。』
『あんなに本気でやってるんだから。少しくらい手伝ってやってもいいかな。って思ったからだぜ。』
大精霊様の気まぐれを味方に付ける。これも真剣に取り組んだリリー様の実力、ということでしょうか。
「はい。父さん、コレ」
「これは・・・」
「私が作ったんだよ?受け取ってくれるよね?」
「ああ!任せろ!すんげぇ剣を鍛えてやるよ!手伝え!」
そう言って親娘で工房の中へ入っていかれました。
私達はどうすればいいのでしょうね?
少しして、慌ててリリー様が戻って来られて今日はお開きになりました。
「リリーたちが造る剣、どんな剣になるのかしら?」
「素材はいいんでしょう?なら業物になるんじゃないの?」
「父様好みの剣になると良いですね」
「クロ・・・どうしたの?」
「このお祭りは国王様に剣を奉納するお祭りなのですよね?」
「そうね」
「お誕生日のプレゼントも兼ねてこの国一番の剣を送るという・・・」
「そうだよ?」
「私、国王様に何もお送りしていません!私も何か国王様にプレゼントしませんと!」
「・・・クロは何もしなくていいと思うな」
「私も、創剣祭とは関係なく剣をプレゼントしようと思います!」
いくら普段から無理難題を言われているとは言え、一応、良くしていただいているのですからお返ししませんと!
皆さんの乾いた笑いの中、私は一人決心を固めました。
さて、気合を入れて作りますよ。
と、言ってもどうしましょう。
素材はとりあえずオリハルコンで良しとして加工方法なんて分かりませんよ?
向こうには存在しませんでしたし、コチラの世界でも加工方法の文献は見つかりませんでした。
やはり、錬金術で創っていきますか!
装飾とか、剣の刃以外の部分も拘ってみましょう。
エンチャントの類も詰め込んで、今の私にできる最高の1本を!
あ、そういえばまだリーズお嬢様たちにも武器を作って差し上げていませんね。
この機会に皆様の分も作ってみましょう。
そうなると、やはり国王様はついででいいですね。
むしろ、国王様の剣で実験して成功すれば皆さんの剣にエンチャントしましょう!
皆さん、喜んでくださるといいなぁ~・・・。




