62ページ目 川遊び
「皆、おはよー」
「おはようございます。ティファ様」
「おはよう・・・ティファ」
今日はティファ様待望?の川遊びの日です。
学校で川遊びが決まった時よりも更にテンションが高いです。
モチロン、保護者同伴です。
そう、保護者同伴なのです。
「カティ様、どうしてご一緒なのですか?」
「だって、私も休みたかったのよ。イローナもクロちゃんに会いたいって言ってるし丁度いいかなって」
そう、おっしゃるカティ様ですが、当然周りはドン引きです。
アポ無しで一国の女王と第二王女が当日参加で来ているのです。
皆さん、緊張してほとんど話されません。
「コリーン様、何とかならなかったのですか?」
「スマン、クロ。私には・・・無理だ・・・」
「心配しないで。イヴァンと違って仕事は片付けてきたから」
そういう事ではないのですが・・・。
ヘディさんが白目剥くてますよ?
明らかに貴女の所為ですよ???
そう、集合場所は何故か、エライン家のお屋敷の前に集合となりました。
「コリーンもいるし、護衛はバッチリよ!!」
「では、クロ。カティ様達を頼んだぞ!」
え?ヘディ様、私に丸投げですか?
誰かもう一人くらいサポート付けていただけませんか?
(スマン、クロ。我々は今夜の準備で皆忙しいのだ・・・)
ほぼ視線のみで会話を終え、私達は諦めて川遊びへ出かけました。
「かぁさま~、かわ、おっき~ぃ」
「そうね、イローナ。フフ」
これだけ大きな川を見るのは初めてなのでしょう、イローナ様は大はしゃぎです。
「では!早速入りましょう!!!」
「ちょ、ちょっと待ってください、ティファ様。ココでは遊べるところが少ないので、もう少し上流へ向かいましょう」
川遊びの場所も事前にチェックしました。
王女様に怪我でもしてもらってはヘディ様の首が飛んでしまいます。
ちょうど流れも緩く、浅瀬で、日当たりが良く、料理なんかもしやすい場所を見つけました。
今回、イローナ様も飛び入り参加なので道中にウンディーネ様にお願いして、イローナ様の周りだけ水の流れを止めてもらい、もし溺れてしまっても直ぐに助けていただけるようになりました。
コレで鉄砲水がこようが、水棲の大型魔物が水のブレスを吐こうがイローナ姫は安全です。
「では、女性陣はコチラでお着替え下さい」
即席の更衣室を作り、その前に陣取り、男性陣を見張ります。
まあ、覗くなんて自殺行為はしないと思いますが、念のためです。
後ろから聞こえる布の擦れる音や、会話が容赦なく私の精神力を削ぎ落していきます。
「皆着替え終わったわよ」
リーズお嬢様の声がしたので、既に着替え終わってワクテカ待機している男性陣に混ざって待つこと数秒、リーズお嬢様達が更衣室から出てこられました。
皆さん、水着選びに時間を掛けただけあってとても似合っています。
私達は全員、鼻血を出しながらサムズアップ。
普段、学園で人気の高い女性たちの水着姿をこんな近くで拝めたのです。
お色気CGゲットです。スクショは出来ませんが・・・。
私達がいい笑顔でいると
「この!変態!!!」
女性陣から魔法の洗礼をいただきました。
私以外が、ですが・・・。
「全く・・・」
お嬢様方が呆れている中、カティ様が前に出て
「私、キレイ?」
と、惜しげも無くその体を見せつけられます。
当然、男性陣は前かがみになってしまうわけですが、私にはスカートがあるのでバレませんし、何より今の発言で別の者のシーンを連想してしまったのと、その後ろで大精霊様達が水着アピールしているのでソッチのインパクトが強すぎてそれどころではありませんでした。
いつの間に作ったんですか、あの水着・・・。
「あら?クロちゃんには評判が悪いわね、もっとセクシーな方が良かったかしら?」
「い、いえ。十分にお綺麗です。今以上は人が私たち以外に居ないとはいえさすがに・・・」
私は何とかそう言って場を収めようとしたのですが
「では、後はクロだけですね」
ティファ様の言葉により、周囲の視線は私に・・・
「い、いえ。私はいいですよー。」
「ダメよ!せっかくメイサが用意してくれたんだから着替えてきなさい!」
うう、リーズお嬢様がキビシイ・・・。
仕方がないので更衣室へ入りメイサお嬢様から渡された水着を見てみます。
あの笑顔、不安しかありません。
・・・・。
スク水、だと・・・・。
しかも、旧スクです。
いえ、よく見るとスカートの部分が後ろにもあるので本当の初期に作られたスク水。
旧旧タイプとか言われているヤツです。
スカートの長さはミニスカくらいで本来の者よりも少し長いです。
色もメイド服に似せた組み合わせになっています。
あの人、本当は向こうの人なんじゃ・・・。
股間の部分にはサポーターが入っており、配慮していただいていることが窺えます。
「お、お待たせ、い、致しました・・・」
本邦初公開!ヤローの女装旧旧スク水!!メイド仕様!!!です。
メイド服を初めて着せられた時以上の精神ダメージです。
私を見た皆様(大精霊様含む、イローナ様以外)の笑顔とサムズアップが更に追加で大ダメージを叩きこみます。
オウチ、カエリタイ・・・。
「じゃあ、早速遊びましょ!」
そう言って川へ走りだされますがそうはいきません。
「ダメです!念の為に皆さん準備運動をちゃんとしてください!」
準備運動をしないで水に入って何かあったら大変です。
魔法で直ぐに回復できるとはいえ、油断は出来ません!
「「「は~い・・・」」」
残念そうに引き返して準備運動を始める皆さん。
しっかり準備運動をされる皆さん。
2人1組になってストレッチもしっかりされる皆さん。
そうするとですね・・・動くわけですよ・・・そしてソコに目が行ってしまうわけですよ・・・。
ドコに?ってソレはもう、女性の体にですよ・・・。
皆さん魅力的でより取り見取りで見放題な訳でして・・・。
男性陣はご褒美と拷問の中で準備運動をする訳ですよ。
当然、生理現象もバレてしまうので、川に突き飛ばされます。
キャッキャウフフのはずの川遊びは氷河期スタートです(男性陣視点)。
それでも時間が経つと一緒に泳いだり魚を見たりと仲良く遊ばれています。
カティ様もビーチチェア(私作)で休まれています。
私とコリーン様は交代で見張り・水遊びを行いある程度で見張りをコリーン様にお願いして、私は食事の準備に入ります。
食事と言っても難しいものではありません、レジャーの定番バーベキューです!
下準備は出来ていますので焼ければ直ぐに食べることが出来ます。
え?魚が捕れた?そうですか、では塩焼きにでもしましょう。
「みなさーん、食事の準備が出来ましたよー」
「「「はーい」」」
そう言って川から上がって来る皆さんですが、どうも様子がおかしいです・・・。
何というか、動きがぎこちないのです。
「リーズお嬢さま、どうかされたのですか?」
「うん・・・体中が・・・とても痛い・・・」
「怪我をされたのですか?」
「ううん、してない・・・でも痛い・・・」
「なるほど、筋肉痛ですか」
「筋肉痛?」
「はい。水の中では普段使わない筋肉も使いますので、その所為ですよ」
普通は翌日以降にくるはずなのですが・・・
カティ様は椅子で休んでいらっしゃいましたし、私とコリーン様は交代で見張りに立っていたのでそこまで疲れていません。
イローナ様はまだまだ大丈夫そうです。
その他の方は皆さん、同じような状態です。
今夜は念入りにマッサージして差し上げますか・・・。
「はい!焼けましたよー」
焼けた食材を順番に配っていきます。
イローナ様には多いかなと思ったのですが、1本ペロっと食べてしまわれました。
苦手な物も無かったようでドンドン無くなっていきます。
「クロちゃん、お酒は無いの?」
「カティ様・・・、お酒なんてありませんよ」
「こんなに美味しい食事があるのにどうしてお酒が無いのよー」
「子供だけの予定でしたからね」
「そう・・・」
ティファ様お付きの二人もすっかり打ち解けているようで、楽しく食事をされています。
やはりこういう場所でこういう食事はいいですね。
大精霊様の恨めしそうな顔が怖いですが・・・。
後でこっそり渡さないと・・・。
お腹も膨れられたようなので、デザートで〆ですね。
「皆さん、〆のデザートです。」
ピクッ。
デザートの一言にリーズお嬢様たち学園の女性陣が反応します。
ソワソワとして落ち着きがありません。
コレです。
「わぁ、黄色いゼリー?茶色いソースがかかっているわね!」
「コレはプリンという食べ物です」
「ゼリーとは・・・違うの?」
「はい、コレは卵で作る料理です」
プリンも好評で、皆さん美味しそうに食べて下さいます。
やはり甘味は受けがいいですねー。
「それで、ミューズちゃん。クロちゃんとの生活はどう?」
飲み物を飲んで落ち着いているとカティ様から話を振ってこられました。
「わ、私・・・ですか?」
「ええ。リーズちゃんは前から一緒にいるでしょう?あなたはどうかなって」
何故急にそんなことを、何かの探りですか!?
「私は、まだまだだなって思いました。クロが練習に付き合ってくれても、何の、成果も出せていないから・・・」
悔しそうな顔をされるミューズお嬢様ですが、私にはその理由がイマイチ分かりませんでした。
「成果も何も、基礎訓練なのですから分からなくて当然なのでは???」
「へ?」
「私が今行っているの訓練は、体に染み込んで初めて効果が出るタイプの訓練ですし、相手はずっと私なのですから、分からなくて当然ですよ。難易度も上がっていますし」
「え!?クロ難易度上げてたの?」
「少し厳しいくらいの方がいいじゃないですか。私の訓練にもなりますし」
ミューズお嬢様は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をされていますね。
よほど自分に変化が無いのが心配だったのでしょうか。
「じゃあ、私も訓練に参加したい!」
と元気よく手をあげてティファ様が立候補します。
なら俺もとサブリ様も立候補されますが、
「サブリはっていうか男子はダメ!」
リーズお嬢様がダメ出しします。
「確かに・・・男子にあの姿は見られたくないですね・・・」
その言葉を聞いて、ゴクリと喉を鳴らす男子と魔法の準備を始める女子、ニコニコ笑うカティ様。
手のひらの上で転がされている感じです。
「それで、クロちゃん、ティファは参加してもいいかしら?」
何で私に振るんですかね?
「構いませんが、リーズお嬢様たちと同じ扱いになりますよ?苦情は受け付けませんよ?」
「ええ。それで構わないわ、みっちりしごいてあげて」
楽しそうに言うカティ様と、嬉しそうなティファ様。
「ところで、訓練ってどんなことするの?」
ティファ様の素朴な疑問に
「さて、結構休んだし、川で遊びましょ」
「そうね!」
「あ、2人共待ってくださーい」
逃げ出すお2人と苦笑いしかできない私でした。
「楽しかったねー!キャンディス」
「・・・うん・・・サブリ・・・どうしたの?」
「いや、何でもない・・・」
どうやらサブリ様はミューズお嬢様との仲を進展させることは出来なかったようですね。
お約束のポロリイベントやお嬢様たちと倒れこんで神移動でもみくちゃになる事はありませんでしたが、楽しい時間が過ごせました
皆さんでワイワイ話しながら歩いているとあっと言う間にエライン家の前に到着しました。
「お帰りなさいませ。お嬢様、ティファニール様」
ハムザさんを代表に従者の方が出迎えて下さいます。
今日の為に1週間かけて準備をしてきた従者の皆さんにスキはありません。
「今日はお願いします!」
「お任せ下さい」
「じゃ、俺たちも帰るわ。またなー」
そう言って学生組は帰っていきます。
「では、皆様も中へ・・・」
そう促されて屋敷の中へ入っていきます。
皆さんで客間へ移動してお茶を飲みながら今日の事を楽しそうに振り返っています。
時間が過ぎ、ヘディ様もお城から戻ってこられました。
「お帰り、ヘディ」
「カ、カティ様・・・。ただいま、もどりました。それで、どうされたのですか?城ではもう夕食の時間のはずですが」
「私も、今日、ここに泊めてもらうことにしたからよろしくね?」
「「「へ?」」」
一瞬で白く固まる客室。
固まったのはヘディ様・ミューズお嬢様・ハムザさん・カリナさんです。
他の従者の方はこの部屋にはいませんでした。
「あの、ソレはどういう・・・」
「言葉の通りよ。イローナも疲れちゃったみたいだからいいでしょう?」
「は、・・・はい。わかりました・・・」
呑み込んだ!今、断りたいのをグッと呑み込まれましたよ!!
「ふふふ、他所のお屋敷にお泊りだなんて、初てね。ウフフ」
そう、子供の様に笑っておられるカティ様。
フラグはきっちり回収されました。
メイサ「ウチは一つの心理に到達した!」
クロ「???」
メイサ「可愛ければいいじゃない!!!」
クロ「ダメですよ!!!」
他水練参加者「メイサ、グッジョブb」
夏休みのメインイベント!
ティファニールとの川遊びが無事終わりヘディの胃に平穏が戻る・・・ことは無かった。
カティの一言はエライン家の胃に特大なダメージを叩きこむ。
エライン家はこの緊急クエストを無事に乗り越えることが出来るのか!?




