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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
61/211

61ページ目 3人で訓練

ミューズ視点


早朝、全ての生き物が1日の命の力を満たす時間。

私はこの時間が大好き。

朝早くに起きて、外のこの新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。

それだけで新しい力が体中に満たされていく感じがして、今日も1日頑張れるから。


計算の宿題も昨日、クロが教えてくれたのでずいぶんと進みました。

私は日課の素振りをしようと庭へ向かうとそこには既に先客がいました。

リーズはこの時間に起きているはずが無いし、お父様も最近は武器を振るわれていないので違います。

従者の皆はこの時間には起きているだろうけれど、そんな時間は無いハズ・・・。

消去法と近づいて見えたメイド服でクロだと分かります。


クロ、数か月前にリーズが呼び出した使い魔(ファミリア)で謎だらけの人。

でも、リーズを確実に強くした人。

この前まで私の真似をして武器を振るっていたのに、今では別の武器に持ち替えてティファと少なからずやり合えるようにまでなっています。

コレはどう考えてもあの子が原因です。

私はもうすぐ妹に抜かれてしまうのではないかと戦々恐々しています。

そして、なぜ自分の元にあの子が来てくれなかったのかとも・・・。


クロの姿がはっきりと見えるくらいに近づいた時に私は立ち止まってしまいました。

まず、クロは私が見た事も無い剣を持っていました。

刃は片刃で緩やかな弧を描いており、遠目から見てもその刃がとても美しいものだと分ったからです。

そして、ただ剣を正面に構えているだけのその姿は凛としていてとても綺麗でした。

同性という事も忘れ、見惚れてしまいました。

それから、剣を振り(立ち回りでしょうか?)をしている姿はまるで静かなダンスを踊っているようでした。


やがてダンスが終わり、クロが剣を収めた瞬間です。

私は自分の首が飛んだ姿を幻視しました。

慌てて自分の首を確かめるとそこには当然、自分の首と頭があったのですが、私は確かに下から首なしの自分を見上げていました。

死に直面すると自分の死に際を見ると言いますが、今のもその類でしょうか?

「おはようございます。ミューズお嬢様」

私がアレコレ考えているうちにクロが私に気が付いてコチラに近寄ってきます。

「クロ、今のは・・・」

「ああ、ミューズお嬢様。見られてしまったのですね・・・」

普段の暖かな感じとは違う感じで話しかけられた為、うまく受け答えができません。

「見られてしまっては仕方がありません・・・」


う、凄い威圧。

私はクロの見てはいけない部分を見てしまったのでしょうか・・・。

逃げ出したいけれど、逃げ出せません。

「この事は・・・黙っておいて下さいね。いや~、いつも通りに目が覚めてしまったのですが、やることがなくてですね、こうして体を動かしていたのですがまさか見られてしまうとは・・・」

恥ずかしいですなどと続けるコロからは威圧も感じず、いつものクロでした。

「クロ、今のは・・・」

「ああ、演技の練習ですよ。私は弱いので不意打ちが出来るように」

私の聞いた話ではドコをドウすればクロが弱いのか疑問しか出てこないですが、本人がそう言っているのだからそうなのでしょう。

そうだ、せっかく2人きりなので以前から思っていたことを言ってみよう。

「クロ、私と・・・」

「あー!こんなとこにいたー!」

む、リーズ。いつもはこんなに朝早く起きないのに・・・。


「クロ!姉様と何していたのよ!」

「まだ何もしていませんよ、リーズお嬢様」

「まだ!?じゃあ、これから何をするつもりだったのよ!?」

クロが私の方を見てくるので

「クロに模擬戦をお願いしようと思ったのよ」

「そ、そう。良かった~」

少しそわそわしているリーズとクロに向かって

「それで、どうかしら?」

「分かりました。では・・・」


そう言って、まるでこうなることが分かっていたかのようにアイテムボックスから木製のナイフと大剣を出すクロ。

「ルールは、一先ず武器攻撃のみでよろしいでしょうか?」

「! ええ」

踏み込もうとした瞬間、さっきとの違和感を感じて止まる。

「さっきの武器じゃあないのね」

「アレはまだ練習中でして」

つまり、私の大剣(木製)やり合うにはあのナイフ(木製)で十分という事ですか・・・。

構えて踏み込もうとした瞬間、クロが武器をしまいだしました。

不審に思って警戒していると、さっき使っていた剣と同じ形をした木剣を取り出して構え直したのです。

武器は変わりましたが、剣を鞘に納めたまま・・・


「ふざけているのですか?」

「いえいえ、この剣にはこういう使い方もあるのですよ」

そう、軽く答えるクロに私は切りかかります。

まだ抜かない!?

もうほとんど私の間合いに入っています。

まだ、抜かない・・・!

抜かないのなら!


カフ・・・


私の剣が当たる瞬間に剣の柄頭(つかがしら)で剣の側面を叩いて軌道をずらし、体勢を崩している私の首元にそのまま刃が当たりました。

クロも私が止まり切れないことを察して剣を引いてくれたので少し当たる程度で済みました。

「だ、大丈夫ですか!?」

クロは心配をしてくれるけれど、私は悔しくて仕方がありません。

「もう一度!お願いします!」


それから何度もクロと立ち会ったのですが、私の攻撃は全て受け流されて、隙だらけの所に1撃。

当然、全て寸止めです。

リーズから「知ってる?クロ、1歩も動いてなかったよ」と聞いた時にはもう何も言えませんでした。

私は汗をかいて肩で息をしているのにクロはとても涼しい顔です。

納得がいきません。


「次は私よ」

リーズがそう言ってクロに切りかかって行っても、私と同じように受け流されて一撃(寸止め)を受けています。

クロとリーズ、激しく場所を入れ替える2人ですがよく見るとクロは全くその場所から動いていません。

リーズの攻撃を受け流して位置を入れ替えているだけです。

なるほど、リーズが言っていたのはこういう事ですか。

「ハァ、ハァ・・・姉様、タッチ・・・」


汗びっしょりで肩で息をしながら帰ってくるリーズと入れ替えに再び私はクロに向かって走り出す、さっきの状態は理解しました!

「コレで、どうですか!!!」

私はクロの足を狙って剣を一閃。

もう、相手が怪我をするとか、そんなことは忘れて本気で振り抜きます。

これならいくらクロでも受け流すことは出来ないでしょう!


ヒョイ


へ?

クロは当然とジャンプして私の攻撃を躱します。

そして手に持った剣を思い切り振り下ろす動きのクロ・・・。

ダメ、コレ死んじゃう・・・。


パァン!


「いたーーー!!!」

木剣で思い切り叩かれたにも関わらず、私は何ともありませんでした。

いえ、頭は確かに痛かったのですが、傷は何処にもありません。

どうして?とクロの手を見るといつの間にか木剣からよく分からない棒?に変わっています。

柄は普通なのですが刃の部分が平たく、ヘビの様に波打っています。

「コレはハリセンというものです。柔らかい素材を加工して作ってありますので痛くても怪我はありませんよ」

怪我をしない武器、そんな優れたものがあるのですね。

私は感心しながらその【はりせん】を見ています。

「クロは凄い武器を持っているのね、リー・・・ズ?」

振り向くとリーズは屋敷に向かって走っていました。

私が知る中では全力で・・・

しかし、あっさりとクロに捕まってコッチまで引きずられてきます。

「クロ!離して!!」

「まだ、朝の訓練の途中ですよ?リーズお嬢様」

「もう、朝ごはんが出来たはずだから食べてくるわ!」

「大丈夫です、ご飯はまだ準備中です」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁん・・・・」


何をそんなに嫌がっているのかしら?

クロとの訓練で無駄になる事なんて一つも無いのに・・・

「姉様・・・今の考え・・・きっと後悔するわ・・・」

リーズの言葉を不思議に思いながらクロの話を聞きます。

「さっきまでは攻撃の練習だったので、次は防御の練習をしましょう」

なるほど!だから当たってもケガをしない武器を取り出したのですね。

「では、行きますね?」

軽く素振りをしてコチラに向かって来るクロ。

受けて立ちます!!!

─────

───



「お嬢ー、朝ごはん出来たぜー・・・って、2人とも尻を押さえながら地面に突っ伏してどうした?」

「はぁ、はぁ、もうダメです。動けません」

「クロ、容赦なさ過ぎ・・・」

クロは容赦なく連続で攻撃してきました。

しかも、あのフニャフニャの武器でも私たちの剣を受け流したりしているのです。

戦闘技術の差に愕然とします。

それに何よりも・・・・

「うう・・・お尻が、お尻が・・・」


訓練開始から私たちはひたすらお尻を叩かれ続けました。

初めは少し痛いかな?くらいだったのですが、回数を重ねるごとに痛みは増していき、ついには立てなくなってしまったのです。

リーズが逃げ出そうとした理由はこれでした・・・。


朝食の後は魔法の練習です。

リーズは光属性の魔法をまだ上手く使えないので、基礎からの復習。

私は攻撃魔法の精度を上げる為に的当ての練習をしています。

クロは教科書を持ちながらリーズの練習を見ています。

使い魔に魔法を教わる主人もどうなのかと思いますが、仕方がないですね。


それにしても、中々当たりませんね・・・#

クロが私用に氷塊を移動する敵に見立てて動かしてくれるのですが、全く当たりません。

何とか半分までは破壊できましたが、不規則な動きを繰り返しているので魔法の使用回数が増えて魔力を消耗していきます。

あの氷塊、少し大きくなっていませんか?

私、あの氷塊を破壊するまでこの練習をやめれないのですけど・・・。


お昼、私もリーズも再び地面に突っ伏していました。

2人とも濡れ鼠です。

クロの提案で、魔法を無効化する、または逸らす。

という訓練を行いました。

武器あり、魔法ありで回復アイテムで万全の状態まで回復してもらったのですが、この有様です。

しかも、クロから

「少し嫌な事でもないとやる気(避ける理由)が出ませんよね?」

と笑顔で言われて、白く濁った水球を撃たれ続けてひたすらよけ続けました。

初めは昼まで同様そんなに難しくなかったけれど、だんだんと難しくなっていき最後にはほとんど避けることが出来ませんでした。

当然、何発かクロに向かって撃ってみたけれど、余裕で相殺されて余計に魔法を撃ち込まれてしまいました。


何だか今日は突っ伏してばかりな気がします・・・。

「お疲れ様です、お風呂で汚れを落としてきてください」

そう言って屋敷へ戻っていくクロを見ながら

「ねえ、リーズ。今日は後、何があるの・・・」

私の心は折れそうでした。

「今日はもう何もないと思う、後は自主練ね」

「そう。あなた、いつもこんなことしているの?」

「ええ」


リーズによると最近は午前中に訓練をして、午後から簡単なクエストに出向いているみたい。

暖かなお湯が汚れを落としていくのがとても気持ちいい。

あんな訓練を殆ど毎日やっていれば強くなるはずよね・・・。

リーズが強くなった理由を理解しながら疲れを癒していきます。

私も、強くなれるでしょうか・・・?

「姉様」

「何?」

「クロがね・・・夏休み中は姉様も一緒にずっと訓練できますねってすごい笑顔で言ってた・・・」

私は血の気が引く思いがしました。

強くなるために訓練できるのは物凄くありがたいのですが、私の心がついて行けるでしょうか?

早くも心が折れそうになる私でした。


ミュ「クロはこの後どうするのですか?」

クロ「実験をします」

ミュ「へ?」

クロ「実験をします」

ミュ「・・・」


リーズ、ミューズともに地獄(クロ管理)のブートキャンプへ・・・

ヘディは胃を責められているが、リーズ、ミューズは心と体を責められる。



最近クロのS化が止まらない。

もっと裏方の予定だったんですが・・・。

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