6ページ目 必死の抵抗
「使えるって、どの程度から使えるなんだよ?俺は今日、呼ばれるまで訓練なんて受けた事も無い一般人・・・平民だぞ。戦闘とか無理だぞ」
「大丈夫よ、前衛は私がやるわ。やって欲しいのは戦闘・一般生活の補助よ。後々任せることもあるかもしれないけれど、呼び出されて右も左も分からない人にそんなことはさせないわ。」
良かった。補助という事は雑用だろう、これなら俺でも出来そうだ。理解のある召喚主で良かった。
「ああ、ありがとう。助か」
「私より小さな女の子に戦闘なんてさせられないわよ」
は?今、聞き捨てならない事を言われたような・・・。
「あの、今なんて・・・」
「自分より小さな女の子に戦闘なんてさせられないって言ったの。まったく、「俺」とか言っちゃってお兄ちゃんでもいたの」
何故か少し嬉しそうな感じで返事をするリーズ。
今の俺の容姿と声で自分より年下の女の子と思っているようだ。
マズイ、自分で設定した容姿&ボイスだなんてバレたら変態確定だ。何とか誤魔化さないと!!
あ、そうだ。呼び出された時に色々変わったことにしよう。理由は・・・適当で行けるか?
「いやいや、男だから。」
「え!嘘!!・・・でも、自分よりも年下の子に盾になれなんて言えないわ」
「多分、俺の方が年上なんだけど・・・。17歳」
出していた本のページをパラパラとめくって確認している。
あの本に俺のステータス一式記載されてるのか
「ふぇ!? その容姿で男の子で年上とか詐欺でしょ!アレね!出てくる前に変身の魔法でも使ったんでしょ!!!」
「知らないよ!元いた世界には魔法なんて無かったって言っただろう!」
いや、キャラクリしたからあながち間違ってはいないのか?
だが、呼び出し前のキャラクリの事を聞かれると自分でこんな女の子みたいな容姿にしたことがバレる。
どう見ても変態だ!ランダムでこの容姿になったと言っても何故やり直さなかったのか聞かれてしまう!
何とかしてリーズの所為ということにしてしまわないと。
「どっちかというと呼び出したリーズの願望が入っちゃったんじゃあないのか。だいぶニマニマしてたぞ」
「ぐ・・・そ、それは可愛い妹みたいな使い魔がほしいなぁとは思ったけど、こんなピンポイントあるわないじゃない!!アンタ、こっちに来る前はどんなだったのよ!!」
く、こっちの前の状態を聞いてきた。このままココに呼び出された時の経緯を聞かれと変態確定だ。
なら、呼ばれる前よりも今の容姿の方がマシと納得させて追及されないようにしなければ!
「えと、身長は150くらい。体系はデブに片足突っ込んだような感じ。あ、声は年相応の感じだったと思う。何なら、変身魔法とやらを覚えたら元の状態になってやろうか。リーズか他の人が俺に変身の魔法を掛けて元の姿に戻れるなら戻ってもいいぞ!!」
さあ、どう出る?
普通に考えればお年頃の女の子なんだし、チビデブがそばに居るより妹のような子が横にいる方が好いはず・・・。それに、いくら使い魔といっても男がずっと隣に居れば嫌でも変な噂は立つだろう。
リーズがそっちの方が好きだったらどうしようもないが、まあそれは無いだろう。でも、戦闘補助とか言っていたしデブの方が肉壁になるのか?そうだとしたらヤバイ!
「ムムムムム・・・・・」
あ、リーズ何か難しい顔して唸ってる。
多分自分の中で葛藤しているんだろうなぁ。
さぁ、早く今の容姿と言うんだ!
俺は元の容姿が嫌でこの容姿にしたんだから!!
デブっぽいのと可愛い妹みたいなのでは、妹圧勝だろう?????
「んー、じゃあ元の容姿で♪」
「ふぁ!!」
何でさ、何でわざわざ罰ゲームに行くんだよ?
アレなの?そういう残念思考の娘なの?
「だってその方が変なの寄って来ないでしょう?まあ、好きな人が出来たら今の変身の魔法を解いてもらって、魔法で変身させて壁にしてたって言うわ」
うん、リーズの意見の方が確実にリーズには利があるよね。
そうかー、好きな人ができるまでの壁かー。その発想は無かったよ・・・。
ああ、俺は異世界に来てもチビデブにならないといけないのか・・・。
これなら異世界転生の方がよかったかも。
「ま、もう2、3日したら変身の魔法が使える先輩が返ってくるからそれまではその恰好ね」
うなだれる俺に慈悲なくそう宣言するリーズだった。
でも、キャラクリの事を聞かれないで良かった。
ほんと良かった。