表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
58/211

58ページ目 事前準備

イヴァン視点


ヘディは巧くやってくれただろうか?

俺の頭の中はその事で一杯だった。

昨日、ヘディが帰宅する前に呼び出し依頼書を持たせたが、果たしてうまくいっているかどうか・・・。

ハッキリ言ってクロの俺に対する心象は最悪だ。

ソコは自業自得なのでしょうがない。


が、


コレ(誕生祭)は失敗するわけにはいかない。

各国の王や勇者、各分野の代表や賓客に招待をするのだから、下手をうって失敗するわけにはいかない。

コレは我が国の威信にも関わることだ。

カティも事の重大さが分かっているので、何も言わず協力してくれた。


しかし、相手はクロだ。

ぶっちゃけ、リーズ・エライン(マスター)に何の関係も無いのだから、断る可能性は十分にある。

最悪はティファニールとイローナにも協力してもらうしかないか・・・。


そんな事を考えながら会議をする部屋へ向かう。

正直、昨夜はそのことが気になって全く眠れなかった。

全く、王たるこの俺が何故、そんなことに気を取られなければならないのか。

扉を開け、部屋へ入り、見渡す。

ソコにクロの姿は無かった。

く、仕方がない。クロの勧誘は後回しだ、決められることだけでも決めてしまおう。


「皆、忙しい所済まない。今から会議を始める」

皆の礼を受け、始めようとした時、「バタン」と扉が開いた。

ソコに居たのはいつものメイド服のクロだった。

前にはサービスワゴンがあり、そこには茶器やらお菓子(クッキー)やらが載っている。


「クロ、何をしている?」

「何をと言われましても、長い会議に口を湿らせる飲み物は必要ではないですか?

それに、甘いものは考え事をするときに良いと聞きましたので、果物入りですよ。

あ、もちろん飲み物は眠気が無くなる者を選んでいますよ?」


やっていることが完全にメイド(見た目のまま)だが・・・まあいい。

「わざわざ、スマン。今日は頼む」

そう言って会議を始める。

なお、クロが持ってきた飲食物は普通に従者が各自に配った。


「では、クロ。お前が思いつく問題を上げてくれ」

「いきなりですね」

「ああ。まずは簡単に問題とその状況を言ってもらえると助かる」

俺たちがくっちゃべるよりクロ視点で言ってもらった方が断然に早い。


「では、あくまで仮定ですからね?選択肢くらいに思ってくださいよ?」

もったいぶるな、そんなにとんでもない事を言うつもりなのか?

「まずは、国内・外を問わずに誕生祭を失敗させようとする者がいるパターンです」

「貴様!国内にそんな不敬なやからがいると!?」

「あ、あくまで仮定です。他国は勿論ですが、国内でもいるかもしれないではないですか。警戒しておいて損は無いと思います」

全くその通りだな。人の腹の内は読むのが難しい、これは当然だ。

どうにも俺たちが考えると、挨拶の順番や装飾といったものに意見が向くからな。

こういった別視点の意見はありがたい。


「次は、他国の(いさか)いに巻き込まれて台無しになるパターンです」

「何故、他国の問題が関係するのですかな?」

「中の悪い国同士も招待されるのでしょう?でしたら、ささいな会話から口げんかに発展し台無しになる所まで考えておくべきかと」

なるほど、可能性はあるか・・・。


「そして、魔物(デモン)が襲来するパターンです。

これこそ、魔物の事なんて誰も分からないですから、注意するしかないですね」

魔物が・・・まさか、そんな都合よく来ないとは思うがまあ、警戒しておいて損は無いな。


「と、大まかに分けてこの3つですね」

何?3つ?3つだと??

他にもまだまだあるはずだろう?

何故そんなことを言う。


「それでは、もう少し細かく言える所は細かく行ってみましょう」

ほう、まだ話は終わってはいないようだ。

「まず、1つ目です。小さな嫌がらせから暗殺まで、気を抜かずに警備していただくしかないですかね?私はいつごろからお祭りが始まるかは存じませんが、人数が増えるという事はそれだけ死角が出来るという事ですから、必要な物を捨てて足りなくさせるにしろ暗殺にしろやりやすくなりますね。ソコはもう警備担当の方に丸投げしますね。私の専門外です」


サラっと怖い事言って丸投げだと!?

貴様、リーズ・エラインを守っているじゃないか!

そっちの方の知識を俺にも貸してくれよ。


「あ、そうですねー。飲食される前に毒のチェックとかすればマシなんじゃないですか?」



「それで、2つ目何ですが、これが一番面倒ではないかと私は思っています」

ほう、1つ目よりも2つ目の方が面倒だと?他国同士の問題だ、我々がそこまで干渉できることは少ないぞ?

「まず、仲の悪い国同士と言いましたが、自国内でも同じことが言えると思います。中の悪い相手がいるのはなにも外国同士だけではありません」

なるほど、確かに貴族同士、領主同士で中の悪いものは存在する。

俺のパーティーでそんなことをする奴はいないと思うが、注意しないとな。


「さらに、貴族だからと無理難題を言ってくる者、迫ってくる者もいるべきと考えた方がよろしいかと」

「それは、どういうことですか?」

「まあ、ヒドイ言い方をするならば女アサリですね。今まで自国・自領では高い地位にいて、誰も注意できなかった、それでこのパーティでも普段通りに横柄な態度をとる人が出る可能性を考えるべきです。

分かりやすく言えば、ティファニール様を無理やりに連れ出そうとするとかですね」

何!?娘を無理やりにだ?

そんな奴は捕まえて即刻首を刎ねてやる!


「だからって直ぐに首チョンとか言わないでくださいね?」

クロがジト目でコチラを見ている・・・。

「そういう場合は、対応の人を立てて極力紳士的に道筋を立てて相手に断りを入れて下さい。相手が怒鳴り散らして注目されてもコチラが紳士的に間違っていないことを述べれば孤立するはずですから。後は後ろでお好きなように」

おい、クロ。それは俺と同じで首チョンじゃないのか?何か違うのか?

「あ、勇者とか、そう言うメンドウなのはソチラに一任で」

さらっとメンドウ投げやがった!!!


「次にこのパーティーは立食パーティなのですよね?」

「ええ、参加者に自由に話して食べて飲んでいただく予定です」

「でしたら飲み物が零れた、とか、汁がとんでドレスが汚れた。などの問題が出てきますね。一定以上のランクの服を別室に置いて直ぐに着替えていただくようにできますか?」

「むぅ、ソレは難しいかもしれませんな。豪華な衣装となると・・・」

「こういったことに素早く対応できれば、相手の印象が良くなりますね」

服の汚れは自己責任ではないのか?確かに、俺も出席したパーティーでは1人か2人はそう言う輩がでるが・・・


「あと、食べ過ぎ、飲みすぎで気分が悪くなる人も出るでしょうからヒーラーは必須ですよね?食べ物つながりで、各国・宗教などで食べてはいけない物も調べておくのがよろしいかと。知らずに食べて激昂される方もおられるでしょうし、料理の近くにメインの材料名を書いておくといいですかね?」

お国柄・宗教の問題か、確かにアレは分かりにくいからな。これからも付き合っていかないといけない相手ばかり呼ぶのだ、調べさせておいて損は無いか。


「後はお手伝いの教育ですかね?態度云々をやたらと気にされる方もおられると思いますし」

「ぐ、手伝いは学生を使おうと思っていたのだがマズイか?」

「不味くは無いですが、女生徒が無理やり連れていかれそうな感じはヒシヒシとしますね。

学園にはカワイイ女生徒も多いですから、貴族からすれば難癖を付けたり、脅したりしてつまみ食いし放題ですね」

「もし、あの娘がそうなったらどうする?」

「え?そんなの・・・」

眼から光が消えて手を首の前で横切らせるクロ。

まずい、コイツなら本当にやりかねない・・・。

国側の難易度が一気に上がってないか?



「後は魔物対策ですね」

「対策と言っても警備を増やすしかないだろう?」

「はい。ですので、心構えの問題かと。そうですねー、魔王(デブル)が来るくらいには思っていただけるとよいのでは?」

「いくら何でも魔王は来んだろう」

きたらパーティーどころではなくなってしまうからな。

「ついでにクロ。お前の中の魔物が来る場合の最悪とはどんな状態だ?」

大陸魔王ヴァイアスが来るとか、魔王がチームで来るとか?後、竜族が複数で遠距離からブレス砲撃ですかね?」

ソレは国が終わるぞ。

物騒極まりないが、魔族が襲来するつもりでいたほうが良さそうだな。


「と、まあこんなところですか」

「そうか、助かった」

「いえいえ。お役に立てて何よりです」

そう、社交辞令を言って立ち去ろうとするクロ。

コイツ、本当に興味がないんだな・・・。


まあいい、参考にはなった。

今クロが言ったことを踏まえて会議を続けるか。

っと、そうだ!もう一つ大事な依頼があった。


「クロ、もう一つ頼みがあるのだが・・・誕生祭の時に出す料理を作ってもらえないか?報酬は用意できるものなら用意しよう」

「・・・。料理は作りますが、どのような料理を出すかはソチラで考えて下さいね。

私は王族のパーティーで出す料理がどんなものか知りませんから」

「お、おう・・・」

断られると思っていたのにあっさりと了承されてしまった。

何を考えている?

まさか、報酬でとんでもない物を要求するための準備か?


「そんな、何かとんでもない事を企んでいるんじゃないか?みたいな顔で睨まないでください。

国を挙げての誕生祭なのですから。お手伝いくらいさせていただきますよ」

「それは助かる」

「料理は出来るだけ早く決めて下さいね。準備に時間が掛かるかもしれませんから」

「わかった。決まり次第、確認してもらおう」

「では、私はこれで・・・」


そういって部屋を出ていくクロ。

・・・・

・・・

・・


助かった、一番懸念していた料理の問題が片付いた。

料理こそ俺たちは専門外だ。

料理人たちと協力して良い物を出してもらおう。


しかしクロの奴、今日はやけに大人しかったな・・・。

何時も聞く毒舌もほとんどなかった・・・。

なんだろう、すんなりと決まって安心できるはずなのにこの胸に残る不安感は・・・・・。

イヴァン「何故だ…クロの毒舌ないと落ち着かん…」

カティ「あらあら、クロちゃんに調教されてすっかりMになっちゃったのね?」

イヴァン「!? なん・・・だと・・・・」

クロ「ムチも縄もありますが、国王様を責める気はありませんよ?むしろ国王様(おっさん)の裸なんて見たくありません」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ