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さて、邪魔な野盗は片付きましたし、後は口裏を合わせていただかないとですね。
「あの、大丈夫ですか?」
「ひゃ、ひゃい!」
呆然としているエルフの少女?に私は話しかけました。
驚いたのか、反応が過剰ですね
「あのー、実はお願いがあるのですが・・・」
「何でしょうか?」
「もう少しすると私の仲間が来るのですが、その時に口裏を合わせていただいてもよろしいでしょうか?」
それを聞いた時のエルフ少女?の顔はわけが分からないといった感じでした。
「何故、そんなことを?」
「誰にでも、知られたくないということは無いですか?」
暗に教えるつもりは無いと言っておきます。
少し考えるそぶりをしてから「分かりました」と簡潔答えていただきました。
「それでは」
身構えるお2人。
今までの状況では仕方ないですがもう少し警戒を解いても・・・いえ、それは今からですね。
「自己紹介をしましょう。私はクロといいます。セルグリンド学園のあるお嬢様の使い魔です」
「あ、エレーア・ジェローム・ディアガ・・・コホン。エレーアと呼んでください」
「ダランダ・ラリッサだ・・・」
私の勢いに流されたのか素直に教えていただけました。
それにしてもエレーア様って・・・
「それで、今後についてなのですが、一先ずフェリアの国王様の所までご一緒していただいてもよろしいでしょうか?」
「なぜ我々が人間の城にモガモガ・・・」
「・・・ら・・い」
「しか・・・・・した・・・」
エレーア様はダランダ様を後ろに引っ張って何やらボソボソ話しています。
気になりますが、問い詰めませんよ?問い詰めると私も色々話さないといけなくなりそうですし。
看破は使いますが・・・
ふむふむ、予想通りですね。
「お話はもういいのですか?」
「ええ。一応、人間の城へ行く理由を尋ねてもいいかしら?」
「私達だけでソチラの里?国?へ行くと問題が起きそうなので、権力に頼ろうかと」
「里でいですよ。なるほど、分かりました。向こうの野盗はどうするのですか?」
「無効化して引っ張っていきます。危険な魔物が出れば囮ですね」
暴れられると厄介ですが、歩いてもらわないといけないので両手の関節を全部外して、後ろで手を縛ってと・・・。
後はロープ (特別性)で縛って準備完了!
「仲間が到着するまでもう少しかかると思いますので、何かお話でもしましょうか」
私が質問をして2人が答えるというお話?をして皆さんが来るまで時間を潰しました。
「クロ!」
「あ、リーズお嬢様。お疲れ様です」
「お疲れ様。じゃないわよ!離れすぎよ!おかげで何度魔物に襲われた事か・・・」
「でも、課題の素材は集まったのですよね?」
「・・・うん・・・」
リーズお嬢様の愚痴も聞き、簡単な自己紹介もつつがなく終わった時です。
「すみませんでした!」
ティファ様がエルフのお2人に勢いよく土下座されたのです。
私達は皆固まってしまいました。
「あの、何故、いきなり土下座を・・・?」
「私は、本名をティファニール・パトリシア・コスカートと申します。つまり、この国の王族です。」
ティファ様の本名を来た時、ダランダ様の顔が急に険しくなりました。
明確な敵意すら感じます。
「人間とエルフの間にある盟約を破ってしまい、本当に申し訳ありませんでした!私は今までこの様が事が起こっているとは全く知らず、友好な関係を気付けているとばかり・・・」
ダランダ様はティファ様の前にかがみ、顔を持ち上げて・・・
バチン!!!
思い切りしばかれました。
「貴女に謝ってもらってもどうにもならない!仲間は帰って来ない!貴方一人頑張ったところで状況は変わらない。せいぜい苦悩し続けるのね!」
蒼白になるティファ様にエレーア様が
「今のは、一人で大変かもしれないけど、今日の事を忘れずに今後に生かしてくれってことですよ。すみません。彼女、口が悪くって」
その言葉にティファ様は安堵し、ダランダ様はそっぽを向いて顔を赤くされていました。
「で、この野盗どうするんだ?」
「お城に投獄でしょ?」
「こんなに連れて歩けるかよ。途中で魔物に出くわしたらどうするんだよ?それに、全体逃げ出そうとするぜ」
野盗については先ほど考えていた案をそのまま言うとドン引きされました。
「クロってたまに容赦ないわよね!」
「流石に、囮は酷いんじゃない?」
「言う事を聞かないいじゃない?」
揉めた末、ダランダ様が殺意たっぷりの交渉で野盗は自分たちで歩いてくることになりました。
帰り道は魔物の少ない道を進まないといけませんね。
とはいえ、ココは森の中。出口へ最短で移動するにしても時間が掛かってしまいます。
夜の森はたいそう危険なので適当なところでキャンプにします。
「エルフのお2人は食べれない物とかあるのですか?」
「うーん、お肉はちょっと・・・」
「分かりました、お肉以外ですね」
「「え~お肉無しなのー!?」」
ソコ、うるさいですよ!
そうですねー・・・あ、これなら。
丁度、材料もたくさん作ってありますし、あとはスープですかね。
「どうぞ」
「わー!唐揚げ。私コレ大好きなのよね!」
「これは、初めて食べますね」
お嬢様方はパクパクと食べられます。好評でよかった。
ただ、エルフのお2人は食べられません。
「あの、どうかされました?」
「どうかではない!肉が食えんと言っているのに肉料理などだしよって」
「あ、大丈夫です。ソレ、お肉ではありませんから」
「へ?どこから見てもお肉じゃない!?」
「コレは、お豆腐で作った唐揚げなのでお肉ではありませんよ?」
「豆腐ってあのフニャフニャのヤツよね?」
「はい!元は豆です。なのでどうぞ。」
そう言って初めて食べて下さるお2人。
「「~~~~~~!!」」
「香ばしくて美味しいです!」
「こっちのスープも絶品だ!!」
「・・・!リーズ。貴女、毎日こんなもの食べてるの?」
少し睨む感じでミューズお嬢様がリーズお嬢様を見ています。
リーズお嬢様は視線を逸らして唐揚げをパクついています。
「あー、分かる分かる!その気持ち!私も初めてクロの手料理食べたときそう思ったもん!」
「クロ、お城に来ても私の分作ってくれなかったよね?」
いえ、ティファ様は作りに行った時お城に居なかったじゃないですか・・・。
「おらぁ!いい匂いさせやがって!!俺らにも食わせろ!!!」
野盗が何か騒いでいますが無視です無視。
「おめえらにやられて怪我してんだよ!」
「変な体勢で歩き続けで体力減ってんだよ!!」
「こりゃぁ、美味いもんでも食わないと明日動けないかもなぁ~」
「クロ、どうするんだ?」
そんなに心配されなくても簡単ですよサブリ様。
「【ヒール】!、【キュア】!」
HPとスタミナを回復させる魔法を野盗に向かって飛ばします。
野盗はHPとスタミナが回復したことに驚いているようですが、
「腹減ってんだよ!喉乾いてんだよ!!食いもん寄こせ!!!」
尚もうるさいので
「【アクアボール】!」
「グハ!なにすんだ!?」
「人間、水があれば2・3日何も食べなくても問題ありません。あ、水はいくらでも差し上げますので言ってくださいね?」
上半身を縛られているので碌に避けることもできず、アクアボールまともに食らってく野盗たち。
「何だか、私たちが野盗狩りをしてその帰りの様な気分になってしまいます」
エレーア様は何だか自分が悪い方になってしまった様に感じているようです。
安心してください。悪いのはアイツらです!
ちなみに寝るときはテントを張って女の子はテントの中、寝ずの番は私とサブリ様が交代で行いました。
野盗達の周りには土の杭で囲って出られないようにしておきました。
念のためにね。
「おはよう~」
「おはようございます。みなさん!」
朝ごはんはサンドウィッチとコーヒです。
私は昨日徹夜してしまったので濃いめのブラックです、う・・・にがぁ・・・
野盗達にもサンドウィッチを食べさせていきます。
文句を言って動かなくなると面倒ですし、何故か味に感動していましたね。まあ、これでスムーズに帰れるでしょう。
アメとムチですね
お昼少し過ぎたくらいにフェリアに到着しました。
門番さんが変な者を見る目で見てきました。
仕方がありません、学園の生徒5名に王女様、メイド、フードを被った2人組。
誰だって止めます。
ですがティファニール様が説明して下さったので野盗を引き渡し、そのままお城へ向かいました。
ティファ様以外の皆様は若干緊張した面持ちでお城の中を進んで行きます。
謁見の間の前まで案内されたのですが入れていただけませんでした。
「とても重要な来客中で何よりも優先される」と、いつもの門番?さんから聞きました。
「王女である私が重要な要件だと言っているのです!そこを開けなさい!!」
「申し訳ございません、ティファニール様。国王様より誰が来ても待たせておけと・・・」
「私は・・・」
事の重大性を分かってもらえないのが悔しいのかティファ様は力づくで押し通ろうとされるので、慌てて取り押さえました。
「あなたは、中へ入れるのですよね?」
「はい、しかしそれも極力避けるように言われています。」
「では、伝言を一つだけ、ゴニョゴニョ・・・」
アレ?前にもこんなことがあったような無かったような・・・
門番さんが中へ入って国王様に怒られ、何とか伝言を言っているのがかろうじで聞こえます。
ガタ・・・
「どうぞお入りください」
「「「へ?」」」
扉は開いて中へ促されます。
皆さん、納得できないながらも促されるまま、中へ入っていきます。
国王様と謁見していたのは思った通りエルフの男性でした。
「どういうことです?私との謁見中に他者をそれもメイドや身元の分からない者を入れるとは・・・」
男性から感じるプレッシャが上がっていきます。
聞くまでも無く怒ってますよね?
「私は真剣に話していたのですよ?一体何の用だというのですかメイド風情が!」
更に怒気を滾らせコチラへ歩いてくる男性、目の前に立ち私を見下ろしています。
間近で見るとうん、やっぱりエルフは男性も超美形ですね・・・。
などと考えていると
「何とか言ったらどうなんだ、この・・・」
急に胸倉をつかまれました。
「「「!」」」
皆さんが庇おうとしてくれますが、ギロ。
男性の威圧の籠った一睨みで委縮してしまわれます。
「止めなさい!」
「何だ?貴様!?私に指図できるとでも思っているのか!?」
そう言って勢いよく取ったフードの中にはエレーア様のお顔があります。
「・・・」
「・・・」
しばらく呆然と見つめ合うお2人。
場面が場面なら絵になるシーンですが・・・・・
男は腰を抜かし後ずさりながら
「エ、エエエエエ、エレーア様ぁぁぁ!!!!!?」
「はい。エレーアです。それで、あなたは私に指図できるのですか?」
叫ぶ男性と、静かな怒りのお顔のエレーア様。
場の皆さんは状況を呑み込めず呆然としています。
「あ、あの。どうしてエレーア様がココに?」
「この方たちに助けていただいたからです」
「何故、直接里へ帰らず、人間の城へ・・・」
「この国の王女、ティファニールが正式に謝罪したいと言われるので来たのです」
「分かりましたが、何故、そのような下賤な人間をお近くに侍らせているのです」
私を指さしながら男性は言います。
「あなたはどうしてクロさんを下賤だというのです?」
「人間で在りながら、人間に使えているんだ!十分に下賤でしょう!?」
お嬢様方の雰囲気が変わった瞬間、エレーア様の手が男性の顔を鷲掴みにします。
「あなたの考えは分かりました。が、少し黙りましょうか?このままではエルフは助けてもらったのに礼どころか相手を貶めることしかできない一族と思われてしまいます」
何度も頭を縦に振る男性。
相当痛いのでしょう。
「イヴァン国王。この度は我々を助けていただいて、誠にありがとうございます。一族を代表してここにお礼申し上げます」
王族としてのエレーア様の声が響き渡る中、
「え!?エレーアって王族だったの!どうしよう?私思いっきり肩組んだりしてたんだけど!?」
エレーア様は皆さんと打ち解けて街に着くころにはガールズトークに花を咲かせる程になっていました。
その時にかなり砕けた間柄になっていたので、その時の事でしょう。
ティファ様も気が付いていなかったようで、意外そうな顔をしています。
「こちらこそ、盟約を破ってしまい申し訳ない」
「そのことに関してはティファニールさんが約束してくださいましたので」
「そうか・・・」
「それで、お礼も兼ねて我が里へ招待したいのですが、よろしいですか?」
いきなりの質問に国王様はコチラを見て、皆さんは必死に顔を左右に振っておられます。
「では!クロさんをお借りしますね?」
「分かった」
私の意見無しで話を進めるエレーア様と国王様。
リーズお嬢様に助けを求めるように顔を向けると、
「エレーア様!」
リーズお嬢様の力強いお声!
「なあに?リーズちゃん?」
「先に魔物の素材の調合をさせて下さい!宿題は早く終わらせたいのです!」
「オッケー!私も手伝ってあげるわ。こう見えて結構器用なのよ!」
「リーズお嬢様ーーーー」
どうやらリーズお嬢様は宿題の行方を心配されていらしたようで、終わってからで問題無いと分かると直ぐに私を売って更にお土産の注文までされました。
いくら私が使い魔だからってさすがに泣きますよ・・・。
皆さんの分の調合が終わった後、私はエレーア様たちと一緒に荷馬車で連れていかれました。
ある晴れた昼下がりの事でした・・・。
カワイイ?メイドは連れていかれるのです。
見送る皆さんの目が生暖かったです。
私「リーズお嬢様ー!助けて下さーい!!!」
リーズ「お土産よろしくぅ!!!」




