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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
51/211

51ページ目 森の〇〇〇さん

「あれ?」

ディアガンドの森に入って少ししたときです。

私の索敵(サーチ)に不思議な集団がかかりました。

これは、誰かが逃げているのでしょうか・・・。

「どうしたのクロ?」

「はい、誰かが何者かに追われているようです」

「え!?どこですか!?」

「ここよりずっと奥です。あ、分断されました」

「こんな森の奥に人なんて来ないわよ!」

「と、するとエルフね」


おお、エルフですか!

今まで街では亜人と呼ばれる色々な人を見てきましたが、エルフはいませんでした。

やっと会うことが出来るんですね。

やっぱりファンタジーといえば、魔法・竜・エルフですよね!

「クロ、テンション一気に上がったわね・・・」

「あはは・・・」

「どうする?」

「助けましょう!」

ティファ様は迷わずにそう言われます。

他の皆様も問題無いようですが

「本当によろしいのですか?」

私の発言に皆様は怪訝な顔をされます。

「私が勉強した分では人間はエルフを誘拐等をしない盟約が大昔に交わされています。

ですが、恐らく今行われているのはその誘拐です。

仮に私たちが助けることが出来たとして、助けたところを他エルフさんに見られた場合私たちが犯人に見られ、ティファ様の素性がバレた場合は戦争に発展する恐れがありますが」

「そんな!私たちは助けたのですよ!」

「助けたのが私たち(人間)なら攫ったのも人間(私たち)です。

そしてこの手(誘拐)の問題は1度や2度のはずがありません。

今回で運悪く相手の我慢の限界を超える可能性もあります」

「放っておけというのですか、クロ!」

「ですから貴女に判断をして欲しいのです。これから付きまとうであろう問題なのですから・・・」


恐らく誘拐の目的もテンプレ通りだと思うので、フボッコで何の問題も無いのですが、私達の所為で戦争になってしまう可能性もあるわけですから、しっかり考えてもらわないと、特にティファ様は王族なわけですし。

「助けに行きます!例え、その結果がどんなものになろうとも私の騎士道は揺るぎません!!!」

他の皆様もより強く決心されたようですし、

「分かりました。リーズお嬢様、私の魔導書(グリモア)のMAPをお嬢様の魔導書とリンクさせますので、それを見て追いかけてきてください」

「わかったわ」

そう言って私は先行します。

後ろの方でリーズお嬢様が「場所遠すぎー」と言っておられますが無視して先行します。

なにせ、ようやくエルフに出会えるのですから!




地図の所まで一気に駆け抜けると、茂みの奥から何やら話し声が聞こえます。

茂みを抜けると、そこには野盗5人とエルフの少女?が1人いました。

光を反射する綺麗な髪、笹の様な細長い耳、完璧と言っていいほどの整った顔立ち。

まさしくファンタジーに出てくるエルフそのままです。

体つきもまさに計算されたかのように完璧な比率。

あれ?エルフさんってスレンダーだったような・・・まあ、いいです。

とにかく私はそのエルフの少女?に見とれてしまいました。


エルフの少女?と野盗は私を見て固まっています。

そうですよね、こんな森の中にいきなりメイドですからね。

ようやく思考を開始した野党の一人が

「お嬢ちゃんどうしたんだい?」

と、聞いてくるので

「あの、森に(魔物の素材を)採取に来たら・・・」

「ああ、なるほど。お嬢ちゃん、この森から出たいだろう?なら今見たことを黙っておいてくれるかな?そうしたら森の外まで送ってあげよう」

そう、下卑た笑いを浮かべながら野盗が近づいてきます。

その野盗が私に触れようとしたとき

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

エルフの少女?が急に座り込んで悲鳴を上げたのです。

何かに怯えている感じで・・・

今までの緊張が切れてしまったのでしょうか?

怯え方が尋常ではありません。


そのまま私とエルフの少女?は野盗たちに別の場所に連れていかれました。

どうやら分かれて行動している仲間の所へ行くようですね。

エルフの少女?も俯いたまま素直に歩いています。

私は野盗の厭らしい視線を受けながら歩いていきます。


「よう、そのメイドどうしたんだ?」

「ああ、森で拾ったんだ。そっちは?」

「問題ないぜ!」

顎で示した先にはエルフの女性が縄で縛られていました。

うん、普通に縛られているだけなのに何かエロいですね、コチラの方もプロポーションが良い所為でしょうか?

他の野盗達は休んでいたのか奥から4人現れ、合計で10人になりました。

縛られているエルフの女性も捕まってしまったエルフの少女?を見て沈痛な面持ちをしています。


「さて、と。嬢ちゃん、俺たちはこれからこのエルフを雇い主の所へ連れて行く。一緒にに嬢ちゃんも森から連れ出してやるつもりだが、タダじゃあない。無事に森を抜ける為にはどうすればいいか分かるな?」

今にも暴発しそうな自分の欲望を必死に抑えているような感じで私に問いかけてくる野盗の一人。

他の野盗達もこの後の展開に期待してニヤ付いています。

「な!?貴様等!こんな幼気な少女を!!!」

(見た目)少女な私のこの後を心配してエルフの女性が抗議してくれます。

エルフの少女?はここに来て更に怯えているようです。

私の取るべき行動は・・・


・押し倒されて必死の抵抗 (フリ)からのフルボッコ

・了承 (フリ)からのフルボッコ


さて、どうしたものか・・・・・。

チ、チ、チ、チーン!!


・押し倒されて必死の抵抗 (フリ)からのフルボッコ

⦿了承 (フリ)からのフルボッコ


野郎に押し倒されるなんてノーサンキューです。

おもむろに右手を顔の横まで持ってきて

「はい、心得ています。こうですよね?」

少し顔を赤くして言う私の言葉に顔が更にニヤ付く野盗達。


パチン!


私が指を鳴らすと私の足元から太い木の根が野盗達を襲います。

一瞬の出来事なので、野盗達は誰も反応できずに吹き飛ばされたり、近くの木や岩に押し付けられたりして動けなくなってしまいました。


よし!一網打尽に出来ましたね。

逃げられるとメンドウですし、こうやって一気にやらないと・・・

索敵で確認しても敵影無し!っと。


クエストに引っ付いてきた大精霊様達がエルフの少女?を見つけたくらいから切れる寸前だったのでちょっとはマシになったでしょうか?

力を使えたドライアド様以外は不満いっぱいの感じですが・・・。


今の惨状を見たエルフの女性は呆然として、エルフの少女?は未だに怯えていました。

ですが、今のうちにやっておかないといけないことがあるので話しかけないといけませんね・・・。





エルフの少女?視点


私が必死に祈っていると奥の茂みから物音がしました。

願いが通じた!?

この際、魔物でも何でも構いません、逃げ出せるきっかけを・・・

しかし、茂みから現れたのは人間のメイドでした。

身長はそこまで無く、腰まで伸びた綺麗な黒髪、まだ少し幼さを残す顔と体つきの少女(メイド)

私も、野盗も思考が止まってしまいました。

何故、今このタイミングでメイド???

野盗の質問に対して採取に来て迷ってしまったの事。

直ぐに野盗達の顔が卑しく崩れ、何を想像しているのか分かりました。

彼女は私たちの代わりに彼らの欲望のはけ口にされてしまうのです。

逃げて!と叫びたいですが、この状況から急いで逃げ出しても捕まってしまいます。

いえ、彼らの嗜虐心を刺激して更にヒドイ事になるかもしれません。


野盗の一人がメイドに触れようとした瞬間、世界が変質した様な気がしました。

少女はそのまま立っているだけですが少女の周りは違います。

何か、異常な力を持った何かが多数纏わりつくように蠢いているのです。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

何アレ?何アレ?何アレ?

私はエルフなのでそれなりに長い時間を生きてきました。

しかし、こんなのは初めてです。

私は危険なのを承知でアレが何なのかを確かめようと思います。



あ、見なければよかった・・・。

一瞬、ほんの一瞬だけスキルを使ってみた先に居たモノはこの世界を構成すると言われている大精霊様()でした・・・。

別に大精霊様が人間と一緒にいることは実はそんなに珍しくは無いのです。

人間たちが知覚できないだけで、すぐそばに居られることもしばしばあるのです。

ですが、アレはおかしいです、異常です。

複数の大精霊様があんなにべったりと好意的にされているのは見たことも聞いたこともありません。

確かに私は今後の事を考えて祈りました。

どうか助けて欲しいと、どうやらその願いは聞き留められたようです。

ですが、結果はトンデモないもでした。

もし、あの野盗達が何か一つでも失敗すればこの森一帯が軽く吹き飛ぶような存在が使わされたのです。

まるで、「ほら、助けて欲しいんだろ?助けてやるよ、その後どうなるか知らないけどな」

と言われている気分です。

森の主(ボスモンスター)の方が全然マシです。


こうして歩いている間も大精霊様の機嫌が斜めになっていくのが分かります。

ヤメテ!それ以上話さないで!

いつ消えるか分からない細い細い道の上を歩いている感覚で歩いていると、どうやら別の野盗と合流したようです。

チラリと先を見ると縛られている私の付き人、ダランダの姿が見えました。

ダランダは捕まって俯いている私を見て沈痛な面持ちをしていますが、そうでは無いのです!

今現在、私たちが捕まっていることなど些細な問題なのです。

私が今しなくてはいけないことはこの怒気に満ちた大精霊様たちをいかに鎮めるかということです。


「さて、と。嬢ちゃん、俺たちはこれからこのエルフを雇い主の所へ連れて行く。一緒にに嬢ちゃんも森から連れ出してやるつもりだが、タダじゃあない。無事に森を抜ける為にはどうすればいいか分かるな?」

野盗の一人がそんなふざけたことを言い出します。

ダランダも野盗に対して抗議していますが、恐らく大精霊様は見えていないのでしょう。

もし見えているのであれば叫び出してもおかしくない状態です。

そしてさらに少女の口からトンデモない爆薬が投下されます。


「はい、心得ています。こうですよね?」


この少女は自分がどんな状態か理解しているのでしょうか?

いえ、正確に理解しているからこそ今の言葉が出たのでしょう。

自分一人では森から出ることが出来ないことがしっかりと分かっているが故の言葉なのでしょう。

ですが、そこから先はいけません。大精霊様の暴走は必至です。

少女は自分の状態を把握はしていますが、理解は出来ていないのです。


パチン


それは少女が顔の横に上げていた手を鳴らした音でした。

ほんの小さな森の中では聞こえるかどうかも分からない様な音のはずなのに私にははっきりときこえました。

その瞬間です、少女の足元から無数の木の根が野盗を目掛けて飛び出したのです。

その完全な不意打ちに野盗は反応することもできずに次々と吹き飛ばされ、叩きつけられ、動くことが出来なくなります。

時間にして1秒あるかないかの時間で私たちの状態は一気に変化しました。

瀕死で動けない野盗、囚われてまともに動けない私たち、今の出来事があっても平然と佇んでいるメイドの少女、そして未だ怒気の収まらない大精霊様達・・・。


ダランダは今の事態について行けず、呆然としています。

私は助かったけれど、これからどうやって大精霊様をお沈めすればいいのか考えていましたが、在ることに気が付きました。


気が付いてしまったのす。


この少女が今、明確に大精霊様に攻撃の指示を出した(・・・・・・・・・)ことに・・・。

本来、大精霊様に指示をできる存在なんていません。

私達の要望を聞いていただけることがあってもそれは大精霊様の気まぐれによるものです。

ですが、この少女は今、攻撃の瞬間を指定しました。

しかも、野盗達はまだ生きているのです!

これはもう確実に大精霊様に命令できるとみて間違いないでしょう。

ああ、私は、一体何を呼び込んでしまったのでしょう?

物語のヒロインの様だと雰囲気に酔って普段はしない演技に思考、祈り、その結果がコレです。

本当に、なんて化け物(メイド)を呼び込んでしまったのでしょう・・・。


「あの、大丈夫ですか?」

「ひゃ、ひゃい!」

呆然としている私たちに少女が話しかけてきました。

「あのー、実はお願いがあるのですが・・・」

「何でしょうか?」

一体何を要求するつもり?

お金?それともエルフ秘蔵のアイテム?それとも人間は忘れてしまった魔法?

警戒してしていた私に少女の口から出た言葉は、

「もう少しすると私の仲間が来るのですが、その時に口裏を合わせていただいてもよろしいでしょうか?」

「「へ???」」

絶対的な強者が要求した内容は全く意味が分からなかった・・・。

純真な心の少女の祈りが奇跡を起こす!物語ではよくあることです。

邪念ある人の行いで禄でもない事が起こる!物語ではよくあることです。

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