5ページ目 確認2 異世界を知る
言葉、文字に関しては問題が無いのは分かった。じゃあ、後必要なのはこの世界の簡単な情勢かな。
明日から戦争に参加します。とかだったらそのまま死ぬ気しかしない。
見聞きするのと実際にするのは全然違うからね。
「じゃあ、次はこの世界の事を教えてよ」
「この世界のことですか?」
「うん、リーズの分かる範囲でいい。ココはどんな所なのか、他の所はどんな感じなのか、
大まかでいいから知りたいんだ、召喚とかするくらいだから何かと戦っているんじゃあないかとは思っているんだけど」
騎士見習とか言ってたし、ほぼ荒事関係での呼び出しだろう。
これでお手伝いが足りないので呼びました。とかだったら釈然としないけれど、安全そうだし良しとしよう。
「ここはゼルパノス大陸のコスカートという国の王都よ。この大陸の他にもいくつかの大陸があるけれ ど、私たちのような見習はこの大陸から出ることなんて無いわね。移動するのは商人か高レベルの騎士、後は国の使者くらいじゃないかしら」
「一般人は移動しないのか」
「そんな大金と命を懸けてまで海を渡ろうとする人なんて、そういないわよ」
「海を渡るのが危険なのか」
「海には大型の魔物が出るから、ほとんど移動する人はいないわ。陸路だって危険だから基本集団で移動するの。その方が護衛代も安くなるしね」
「へぇー、強盗みたいなのは出ないのか」
「町の中にはそういうことを働く不届きな輩もいるけど、外にはほとんどいないわ。魔物がたくさんうろついているからソレに殺されるわ」
なるほど、海には大型の魔物出没するから命がけ+その護衛でお金がかかる。陸路も魔物がいるので集団移動。転移の魔法とかはありそうだけれど一般の人が利用できるはずが無いか・・・。
「魔物がいるってことは騎士は魔物と戦う人って認識でいいのか」
「ええ、基本、騎士の相手は魔物よ。稀に他国の進軍してくる兵と戦ったり、人・亜人の暴動の鎮圧とかもあるけれど本当に稀よ」
うん、テンプレだね。役に立てるかどうか分からないけれど、人と戦わないで済みそうなのはありがたい。ケンカも碌にしたことのない俺には人殺しはキツすぎる。じゃあ、魔物は大丈夫なのかって聞かれると怪しいけれど人よりはマシだろう。
「暴動って言ってたけど、種族差別とか宗教関係?」
「まあ、それもないとは言い切れないけれどほとんどは個人的なケンカが周りに飛び火して収拾がつかなくなったモノの鎮圧よ。多分、他の大陸でもだけれどこの世界では種族、仲間の繋がりはとても強いのよ。だから些細なケンカでも同族や仲間が助けに入って大ごとになることがたくさんあるの」
「第3者の仲裁とかは」
「その第3者を殴ったとかで第3者の仲間がケンカに参入して手が負えなくなるから基本、騎士が制圧しているわ。で、原因の人物に話を聞いて処罰が決まるの」
わーお、とんでもない所に呼ばれてしまいましたよ。これじゃあ、腕っぷしが弱いと圧倒的に不利だ。
「よくそれで国が持っているな。ならず者が集団で武器を持って暴れたらどうするんだ」
「たまに武器を出して脅すバカが出るけど、武器をちらつかせればソイツは敵味方関係なく周りから組み伏せられて、抵抗すれば袋叩きよ。危険人物は皆で排除するっていうのがこの世界の常識だからあなたも気を付けてね」
さいで、ソレに紛れて色々するヤツもいそうだけれどソコは自分で注意するしかないか・・・。
はぁ、何とも暴力的な世界に呼ばれたものだ・・・。
いや、暴動の理由が個人のケンカがほとんどなら平和なのか?
パッと聞いた感じでは当分、ココから動くことはなさそうだな。
説明時の雰囲気などからさっするに緊迫した状態ではないようなので一安心。
今の状態ならゆっくり質問しながらこの世界の事を覚えていけるだろう。
「あ、1週間後から学園の新学期が始まるからそれまでに使えるようになってね。」
【使える】というのが何をどの程度できることなのか分からないけれど、
ゆっくりはできなさそうだ。