48ページ目 激突!?リーズお嬢様vsティファニール様
リーズお嬢様は怒られたような感じでズンズン進んで行かれます。
ティファ様は王族ですので、公の場でいつもの呼び方はマズイと思ってああ呼んだのですが、どうやらそれもダメだったようです。
他の皆様も黙って後を付いてこられています。
「あの、リーズお嬢様・・・」
「ふう・・・」
「リーズお嬢様」
「何?クロ」
「その、先ほどは申し訳ありません。無礼を働いてしまったようで・・・」
「ああ、いいのよ。ティファニール様もそんなことで気にしないはずよ。自分で愛称で呼べって言っていたもの・・・」
「では、どうして?」
「私はあの貴族がムカついただけ」
ああ。とその場に居る全員が納得しました。
アレはダメだ。
脳を魔改造でもしないと治りそうにない性格をしていました。
ティファ様は一緒に教室へ入ってこられましたが、きっと捕まってしまったのですね・・・。
そんなことを考えていると廊下の向こうからティファ様がいらっしゃいました。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
ずいぶんと息を切らて、そんなに必死に追いかけてこなくてもいいのではないでしょうか?
「あの・・・すみません。クロ、リーズ・エライン。私は決して彼が言ったようなことは・・・」
「分かっているわ・・・います。流石にアレの発言を真に受けるつもりはありません。」
「そうですか、良かったー」
え?そんなに安心されるのですか?普通ならだれでもそう思うはずですが・・・。
「それで・・・」
「ここでは彼が来てしまうかもしれないので、私たちの寮で話しませんか?」
リーズお嬢様、ティファ様に断りを入れずに提案するのは不味いですよ。
本人は気にされた様子はありませんが・・・。
「分かりました」
「サブリたちもどうぞ」
「俺、入って大丈夫なのか?」
「侵入したってわけではないし、食堂くらいなら大丈夫でしょ」
「もし、あの方が入ってこられたら?」
「「「全力で排除する」わ!」わよ」
あ、はいそうですね。非常にメンドウそうですもんね・・・。
「お飲み物はコチラにお任せでもよろしいですか?」
「ええ。あと何かお菓子も出して」
「王女様にお出しするお菓子なんてありません」
「アンタが普通に作った物を出してくれれば十分よ」
サブリ様たちも首を縦に振ります。
はあ、仕方が無いですね・・・。
私がお茶の準備をしている間にもお話は進んで行きます。
「それで、どのようなご用件でしょうか?」
「いえ、中間発表でクロが物凄い成績を取っていたので、その・・・労おうかと・・・」
「え?クロの成績って高等部にも張り出されているんですか!?」
「はい。クエストポイントと売り上げの金額が全校トップです・・・」
「クロ・・・アンタ目立たないようにするって言ってかなり目立ってるじゃない!?」
「今回の分は多めに見ていただけると嬉しいです」
そう言いながらお茶とお菓子を配膳していきます。
「すみませんが、味の好みが分かりませんのでお砂糖・牛乳は各自でお願いいたします」
「これは・・・コリーンが言っていたコーヒーですね?」
「何ですか、それは?」
「クロがよく出してくれる飲み物だよ、ミューズ。」
今まで突っ込めませんでしたけど、ミューズお嬢様、普通に混じっておられますね。
「お姉様はどうして付いてきたの?」
「クロに少し聞きたいことがあったのだけれど、ティファール様からお先にどうぞ」
「ありがとうございます。では・・・まず私の事はティファと呼んでください」
ゴン!!
全員が机に頭をぶつけました。
いきなり難易度の高い事を要求されますね・・・。
「ティファ様、それはもう少し時間をおいてからでもよろしいでしょうか?」
「何故です!?まさか!皆さん私の事を・・・」
一気に暗くなってしまうティファ様。
この方も気難しいですね・・・。
「ええとですね?ティファ様は王族となられますので、私たちがいきなりそのような呼び方をしては問題になってしまう可能性があるのですよ」
「そんな!」
「ですので。もう数日、もしくはもう少しよく話す間柄になってから皆様の前でそう呼んで欲しいと言っていただければ問題は無いかと思います・・・」
「分かりました。早計過ぎましたね、すみません」
「それだけ?」
リーズお嬢様が少し棘のある感じで質問されます。
「え?あの・・・」
「ティファニール様のお話がそれだけなら私からもお話があります」
「な、何でしょう・・・」
「貴女に!決闘を申し込みます!!!」
ブッ!!!
今度は皆さん揃って吹き出してしまいました。
「リーズ!あなた意味が分かって行っているの!?」
「はい、姉様」
リーズお嬢様の目は完全に座り、ティファ様を捉えています。
「はい、分かりました」
対するティファ様も間を置くことなく応えられます。
「ちょっとリーズ!あなた本当に意味が分かって言っているの!?しかも相手は王族のティファニール様なのよ!」
「大丈夫ですよ、ミューズ・エライン。彼女はしっかりと理解してその上で私に決闘を申し込んでいます」
「でも、もし決闘をするなら何を賭けてやるんだよ?いきなり過ぎんだろ、リーズ」
「「大丈夫」」
お2人とも同時に答えられ、
「では、ルールは1本勝負。どちらかに有効打が入るまで、魔法は初級、スキルは制限なしでよろしいですか?」
「ええ!武器はクロに準備させるわ。問題ある?」
「いいえ」
お2人だけでドンドン話を進められるので私たちは完全に置いていかれてしまっています。
「あの・・・負けた方はどうするのですか・・・・?」
「相手の要求を違えず飲む」
「当然です」
「ひ!?」
キャンディス様怯えてしまっているじゃないですか!
それにしてもお2人ともどうされたんでしょう・・・。
そのまま庭に出て決闘?を始めようとされています。
武器はいつもリーズお嬢様との鍛錬で使っている木剣です。
ティファ様も武器がロングソードで助かりました。
訓練用に作ったので頑丈で、攻撃力が低く、峰打ちのエンチャントが掛けてありますので安心です。
二人が武器を構え立ち会っています。
「ねえ、私たち決闘するって言ったわよね?」
「ええ」
「偏った審判にならないように皆に頼んだわよね?」
「そうだな」
「なら!何でアンタら皆、机を持ってきてお茶の続きしてるのよ!!!」
「えー?だって私たちその決闘関係無いし!」
「あなたがティファニール様に勝てるはずないでしょ?」
「その通りね」
「あわわわ・・・」
他の方は完全に観戦モードなので気楽にされています。
私も机とお茶を出してしまいましたが・・・
「まま、審判は私がしますので・・・・」
「クロ。公平かつ厳しい審判をお願いします!問題ありませんね?リーズ・エライン?」
「ええ・・・」
二人の雰囲気が変わったのを察して、皆さん、お2人を注視されます。
「では、始め!」
先に動いたのはリーズお嬢様でした。
体勢を低くして突撃からの切り上げ、そこから連続して攻撃をされます。
ティファ様にとってリーズお嬢様のスピードは予想以上だったのか、出鼻をくじかれて防戦一方になってしまっています。
「へぇ・・・」
「やるじゃない!リーズ!」
「スピードも攻撃も前よりは確実に上がっているな」
皆さん、リーズお嬢様を称賛されていますが・・・・
そこは流石、高等部トップの実力者。
少し防戦した後に強い一撃で強引に距離を開けます、そして・・・
構えを変え、武器の持ち方も両手持ちから方手持ちへと変え、剣を顔と同じくらいまで上げて剣先をリーズお嬢様へ向けます。
分かりやすく言えばフェイシングの様な構えです。
少し屈まれたと思った瞬間、一瞬で距離を詰められました。
そして一突き!
奇跡的に回避できていたリーズお嬢様は慌てて距離を取られます。
あー、不味いですね・・・。
私との鍛錬では主に斬撃のみだったので突きはかなりやりにくいでしょう。
皆さんも今の一瞬の動きに圧倒されています。
「アンタ!ハンデのつもり!?明らかにその木剣の使い方じゃないじゃない!」
「まさか。このくらいの重さなら私は振り回すのに何の問題もありませんよ?」
そう言って片手で木剣を振り回されるティファ様。
「なるほど、エンチャントね?」
「ええ。装備にエンチャントを掛けるのは当然です。貴女もでしょう?」
「ええ・・・」
「では!」
「おい、あれじゃあ、リーズはキツくねえか?」
「ええ。でも、どうするの?止めに入るの?」
「いや、そんなことはしないが・・・」
「あの突きは脅威ですねぇ・・・」
そうなのです、あの突きを躱すことはとても難しいです。
このまま一方的になるかと思いましたが、
「やぁぁぁぁぁぁぁ!」
ティファ様に向かって再度、突進。
ティファ様は一度その攻撃を見ているので余裕が見られます。
リーズお嬢様の攻撃にカウンターを決めようとした瞬間、リーズお嬢様のスピードが更に跳ね上がります。
「!?」
スピードを載せての上段からの連続攻撃、ティファ様も耐え切れずに後ろへ飛ばされてしまいます。
勢いのままに追撃に入るリーズお嬢様。
防御姿勢のままティファ様が一言、
「クリエイト・氷剣」
ティファ様の持つ武器は刃の部分だけ氷で大剣の形に作られカウンターを狙います。
咄嗟に横に飛び攻撃を回避されるリーズお嬢様。
中々の反応速度です。でも、あれは峰打ちの効果が発動するのでしょうか・・・?
どう見てもあんなのが当たってしまったら死んでしまいそうです。
スキルで確認すると、大丈夫。峰打ちの効果は残っています。
あんな重量で叩かれたら色々どうなるか分かりませんが大丈夫なのです。
「氷属性・・・」
「まさか使う事になるとは思っていませんでしたが・・・それにしてもよく避けれましたね」
「まあね・・・」
チラっと目だけで一瞬コチラを見るリーズお嬢様。
はい。私も訓練の打ち合いでよく武器を変形させます。錬金術で・・・。
今のティファ様の様な剣の形ではなく、避けにくい植物の根の様な形にしたり、蔓のように伸ばしてリーズお嬢様をひたすら追い回したり・・・。
その所為か、リーズお嬢様は距離を取られました。
後退の瞬間に距離を詰めるティファ様、そして放たれる怒涛の斬撃。
「だぁ~、やべえよ、コレやべえよ。リーズ、どうすんだよ・・・」
「あの斬撃を止めるのは厳しいわね!」
「腕もげちゃいますよ~・・・」
サブリ様たちはハラハラし感じで見守り、
「「・・・」」
カグヤお嬢様とミューズお嬢様は黙ったまま見ておられます。
心なしか、ミューズお嬢様の目に力が入っている様に思えます。
リーズお嬢様の動きをを敵の動きとして見ているような感じです。
防戦一方だったリーズお嬢様が急に反撃に出始めました。
動きの大きな大剣の隙ををついての攻撃です。
小回りの利くリーズお嬢様が徐々に押し返していく中、このままでは不利と悟ったティファ様は少し後退して、剣を細剣へと作り直します。
その隙をリーズお嬢様がスキルを発動させながら追撃します。
「光よ集え!シャイン・ソード!」
おお!リーズお嬢様!ついに光属性のスキルを覚えられたのですね!?
今夜はお祝いですか!?
「シザーズ・トラスト!」
しかし、ティファ様のスキルが間に合い突きとリーズお嬢様の光の剣がぶつかり、あっさりとリーズお嬢様の剣を砕きました。
「勝負ありです!」
ティファ様の突きはリーズお嬢様から左右にずれて止められています。
攻撃は外れていますが、次の動作でリーズお嬢様は負けてしまうのです。
リーズお嬢様は今、首に開いた大きなハサミを当てられているような状態でした。
本来なら、そのまま相手の首を刎ねるスキルなのでしょう・・・。
それを理解したリーズお嬢様もそれ以上の反撃はせず、その場に仰向けに倒れられ、
「あ~、負けたー!!悔し~!!!」
そう言いながらジタバタとされています。
はしたないですよ!リーズお嬢様。パンツ見えちゃってますよ・・・。
「リーズ、服が汚れるからやめなさい」
「うぅ~・・・」
カグヤお嬢様にそう言われて立ち上がるリーズお嬢様。
「私の勝ちですね?」
「ええ、分かっているわよ・・・。リーズよ。これからよろしくお願いします。ティファ様」
「え?ええと・・・リーズ・エラ」
「リーズよ!私はティファ様って呼ばせていただきますから、そう呼んでください」
「はい!分かりました。リーズ!!!」
良い笑顔のティファ様、良かったですね。お友達増えましたよ。
「それでは要求を・・・」
「え?呼び方の事じゃなかったの???」
「へ?ち、違います!」
「え?だって呼び方の事だと思ったからOKしたのに」
「要求は違えず飲むって言ったじゃないですか!?」
涙目のティファ様、はぐらかそうとするリーズお嬢様。
リーズお嬢様、私から学ばなくてもいい所もしっかり学ばれて・・・ホロリ・・・・
私は一人ハンカチで涙を拭きます。
しかし、さすがにこれ以上はいけませんね。
「リーズお嬢様。要求が何なのかリーズお嬢様は分かっていらっしゃるのでしょう?
約束は守りませんと・・・」
皆さんの無言の視線がリーズお嬢様を四方八方から突き刺します。
まさに四面楚歌!
「ああ~!もう!分かってるわよ!クロ関係でしょ!?いいわよ!好きにしなさいよ!!!でも!クロは私の使い魔なんだからね!!!」
ヤケ気味に叫ばれるリーズお嬢様、何故そこで私が出てくるのか分からず困惑する私。
「はい!」
と言って私に抱き着いてこられるティファ様。
何なのですか?この状況は!?
あ、ティファ様。結構大きいですね・・・
あ痛!?
リーズお嬢様、脛を蹴らないでください!
ティファ様を支えていて擦れません。避けれません。暴力反対です!!!
後でリーズお嬢様に聞いたのですが、昨日初めて会った時に直感的に互いに私の横のポジションを狙っている敵同士だと認識したとの事。
それで今日、私の横のポジションを賭けて戦ったということらしいです。
ワザワザ戦わずとも好かったと思うのですが、ティファ様は晴れてリーズお嬢様と仲良くなれたので嬉しそうに帰っていかれました。
私の横。空いてますよ?
ティファ「さて、リーズから許可も出ましたし、クロをこのままお持ちか」
リーズ「ふざけんじゃないわよ!!!」




