47ぺー目 中間報告 ティファ視点
ティファ視点
「ふう・・・」
昨日は失敗したなぁ・・・。
そう思いながら私は学校の廊下を歩いているます。
初めて出来たお友達は夕食を作り、皆が食べ終えるとそのまま帰ってしまいました。
その後、私はお母様と話していてそのまま眠ってしまったようです。
もう少し居てくれても良かったじゃないですか・・・。
「はぁ・・・」
私は今日何度目になるか分からないため息を吐きながら教室へ入しました。
教室へ入った私はいつもの席へ座る。
別に私専用とか、指定席というわけではない。
自然と席が決まり皆そのままその席に座っているだけ・・・。
「よ、昨日はよく眠れたのか?」
「うん、おかげさまで」
パーティの二人が話しかけてきてくれる。
「今回の中間発表、負けねえからな!」
「ハハハ、お前じゃまだまだ無理だって」
「そんなの分かんねぇだろ!ティファ。約束忘れてないよな?」
「分かってる、あなたが勝ったらデートする約束でしょ?」
教室の皆も今の会話を聞いていたのか所々から「まだやってるか」とか、「無謀すぎ」とか「風物詩だし良いんじゃない?」とか色々聞こえてくる。
中等部に入って、初めて誘われて勝ったときに、
「デートくらいなら今すぐOKだよ?」
って返したら
「負けたままなんて格好悪いから俺が勝った時に頼む」
って、それから成績発表の度に勝負をして今まで私の全勝で終わっている。
負けると派手に落ち込んでしまうので、初めはクラス中で問題になったけれど今では定期イベントの1つとしてクラス中から受け入れられ、賭けさえ行われていたりする。
彼が真剣に訓練して強くなろうとしているのを知っているけれど、私だって真剣に強くなりたい。
だから彼に負けることは許されない。
「おーし、お前らー席に付けー」
先生の活発な声が教室に響く。
タンクであり、バリバリの前衛職。
タンクなのにカウンターで敵を蹴散らしながら進んで行く先生です。
「ほーれ、さっさと順位を発表するぞー!」
そう言って先生は順位と名前を発表していきます。
結果は、今まで変わらず、私の勝ちですね。
悲痛な叫びを上げる彼に周りからヤジが飛び、次こそは!と彼が締め括って終わります。
「じゃあ、次ー。全校生徒成績いくぞー!」
文字通り全生徒の成績が表示されます。
コレは高等部に入ってからの情報です。
中等部でも優秀な生徒は高等部の生徒を抜かして上位に食い込むという事も多々あって、
高等部の生徒も後輩には負けられないと真剣に見ています。
表示される名前の色が違いますので、一発で分かっていいですね。
今回もチラホラと上位に食い込んでいる生徒が居るようです。
しかしそれは主に生産職であり、戦闘職では中間から少し上くらいまでしかありません。
成績の内容もクエストのポイント、稼いだお金の金額など様々なので、皆自分の興味のある分野だけ見ていきます。
私も2人と見に行こうと席を立とうとした時です、
「おい、あれ・・・」
「ああ、ティファニール様を抜いてる・・・」
「別の分野でもトップだぞ・・・」
そう、他の生徒の声が聞こえたので私たちは急いで確認に向かいます。
表示されるクエストポイントの項目を見ると確かに私の名前の上にもう一つ欄がありましたが、名前が記載されていません。
別の分野の所も確認すると商業の分野でも同じ状態でした。
確認に行こうとすると、もう他の生徒がしている途中のようで先生から報告がありました。
「ああー、この未表記の上位者についてだが、少し問題があって記載していない。
気になる者は俺の所まで直接確認に来てくれ。」
私は直ぐに先生の所へ向かって確認しました。
確かに私は王女として他の生徒よりは優遇されていると思います。
それでも、クエストポイントだけは優皆と平等に競えるので全力で取り組んでいます。
なので、その分野で自分より上の人はどんな人なのか知りたかった。商業の分野でもトップを取っているのです。
集まったのはクエストポイントと商業ポイント、それに生産ポイントの上位陣です。
皆、自分の得意分野で先を行かれたことに驚きと苛立ちを隠せません。
「件の生徒なんだが、うちの生徒ではあるが、生徒ではないのでこのような表記になった」
「どういうことですか?先生」
「お前たち、この今期初めの全校集会で紹介されたメイドを覚えているか?」
「「はい・・・」」
「メイドですか?」
私は何のことか分かりませんでした。
その頃は前のクエストの途中だったので、学園には帰れていませんでした。
「そうか、ティファニールは知らないのか、1人の使い魔を仮生徒として認めると学園長がおっしゃってな。
今回のトップはその使い魔だ。ちゃんとした生徒ではないが、成績はトップだしどうするかという議論になってこの形に落ち着いた」
「何という方なのですか?」
是非その方と会ってみたい。
出来れば手合わせなどして自分を更に伸ばしたいと思いながら聞いていると
「皆は知っていると思うがクロというメイドだ」
クロ?クロが私たちを抜いてトップに???
正直、信じられません。
私の知っているクロはとても穏やかな性格で魔物と戦うような人には見えません。
「商業の方ではどうやって稼いでいるんですか?」
商業の生徒の質問に
「メインはポーションだな。後、最近問題になった調味料も卸している」
「調味料は分かるけれど。ポーションは納得できません!」
話を聞いていると調味料はクロが大量に出したのを目撃した人が何人かいたので納得できるけれどポーションは納得できないとのこと。
「ああ、あのメイドのポーションは殆どが城へ直販されているからほとんど出回っていない」
皆、驚いている。
当然、私も驚いている。クロってそんなに凄いの?
今思えばお父様も少しぎこちなかった気がします。
不審な行動も何回かありましたし・・・・
「卸す量も一度にかなりの量を卸せるらしいからな、売り上げが異常なのはその所為だろう。
最近では少しづつではあるが、アイテムギルドにも回り始めている」
なるほど、説明されれば納得できるわね。
しかし、私はそれでは満足できない。
だって、クエストポイントで負けているのだから、しっかり理由を聞かないと!
私同様、他の騎士志望の生徒は納得できていないらしく先生に質問を続けます。
「では、俺たちはどうして負けているんですか!?クエストの達成回数、魔物の討伐数のどちらでも負けていないはずです!」
「その通りだ。が、量で勝っていても質で負けてしまっている」
「質で???」
「そうだ。全校参加の探索クエストでは過去最高得点を取得。調味料に関しても・・・まあ、超高難易度の状態でクリアし、更にアイテムギルドへ卸すようになった」
「でもそれは自分で釣り上げたんだし、無効では?」
「それは・・・・・・・・・学園長の裁定だ。俺に文句は言えん」
何故か口ごもる先生。
いつもならもっとはっきり教えてくれるのに・・・。
「一番の決め手はホルゾンのダンジョンだ」
「あの初心者向けのですか?」
「ああ、あのダンジョン。実は強力な魔人が隠れ家にしていてな、クロを含むパーティーがその魔人の発見・報告を行い、更に街に現れた魔人も追い返したらしい」
「魔人くらいなら俺たちだって・・・」
「【仮面】でもか?」
【仮面】・・・少し前にこの国で暴れまわった記憶にも新しい恐怖の存在。
上位の騎士や冒険者に多大な被害を出していずこかへ消えてしまった魔人で今もなお恐れられている。
それをクロたちが撃退???
信じられない。
「冒険者ギルドに街の騎士や冒険者が証言しているから間違いは無いと思うぞ。ま、そういった功績で特例にこの順位というわけだ。分かったか?」
皆納得できないという顔をしてます。
先生は皆の気持ちを分かったうえで
「なら、会って直接話でもしてみろ、納得できるかもしれんぞ?」
と言いますが、そんな暇は無いし特例ならと渋々納得して帰っていきました。
この話を聞いた私は早速中等部へ向かいました。
そんなに凄いのなら是非ともクロと手合わせもしてみたいです。
中等部の廊下を歩いていると声をかけて呼び止められました。
振り返るとそこには見たくない顔がいました。
「おやおやこれは私のティファニール様ではないですか。こんな所までどうされたのです?」
この鬱陶しい男子生徒はダメンズ・イエキエール。
私が男子生徒を苦手になった理由の8割方はコイツの所為です。
あと何時から私はあなたのモノになったのですか!!
「ごきげんよう、ダメンズ。中等部に用があるだけです」
「おお!私に会いにわざわざ!?そんなに心配せずともあなた席は他の言い寄る女に譲りはしませんよ?」
ああ・・・鬱陶しいです。
彼の両親は有能なのに何故彼はこんなにもダメなんでしょうか?
どうしてこうなった・・・。
「そんな事は絶対にありません!」
私はそのまま彼を無視して中等部へ向かいます、後ろから何やらベラベラ話す声は環境音として耳に入れません。
教室へ着くとそこでは一角に人だかりができていました。
クロはリーズ・エラインと居るはずなので探しますが見つかりません・・・。
「貴様等!ティファニール様が来られているのに何をしている!?早々にひれ伏せ!!!」
と、ダメンズが何かわけの分からないことを喚いていたので人垣が崩れ、コチラを向いて跪いてくれたので私は目的の人物を見つけることが出来ました。
私としては普通に接して欲しいのですが、なかなかそうはいきません。
しかし、今日はそのことへ感謝です。
直ぐにクロを見つけることが出来たのですから。
「あ、皆さんすみません。えっと私もクロ・・・さんとお話がしたくて来たのですがよろしいですか?」
皆さんがサッと道を開けてくれます。
そこを何故か偉そうにすすむダメンズ・・・。
「おい、メイド!ティファニール様が貴様の為にわ・ざ・わ・ざ、時間を割いてくださるのだ。感謝しろよ!!!」
ちょ、ちょっと何をそんなに高圧的な態度を取っているのですか!?
私は普通に今回の事を労って色々お話ししたいだけなのに、これでは誤解されてしまいます!
クロを見ると理解できないという感じで周りを見まわして、周りはまたかとあきれ顔になっています。
そして、リーズ・エラインは近くの人に何か言われています。
どうか、どうか説得であってください。
クロと話したいのは私の意思ですが、現状は私の命令では無いのです!
「あ、あのクロ・・・」
「はい。何でしょうか?ティファニール様」
ティファニール?ティファと呼んで欲しいとお願いしたはずなのですが・・・
!まさか!?今の私の行為で嫌われてしまったのでしょうか???
「あ、あの昨日の様にティファと呼んでくれて構わないのですよ?」
「え、あの、その・・・」
「貴様!!!ティファニース様にそのような無礼な呼び方を!!!許さん!!!」
私の話を毎回中断し、クロに誤解を与えるダメンズ。
あなたこそ無礼で許せません。
「ダメンズあな・・・」
バン!!!
大きな音がしたのでソチラを見るとリーズ・エラインが机を叩いて立ち上がってこちらへ来ました。
「申し訳ございません、ティファニール様。私の|使い魔が大変ご無礼を働きました」
その顔は、全く悪いとは思っておらず、敵意しか感じませんでした。
「い、いえ。そんなことは・・・」
「直ぐに調教しなおしますので、この場はこれで失礼いたします・・・」
そう言って礼をとり、クロを引っ張って出て行ってしまいました・・・。
それを追って何名かの生徒も一緒に教室を出ていきます・・・。
私はソレを見送ることしかできませんでした。
「全く、何と無礼な奴らだ!私がわざわざティファニール様とお話しできる場を設けてやったというのに・・・」
その発言に教室に残された者は呆れることしかできませんでした。
「さて、これからどうされますか?」
「私はクロを追いかけます。あなたは決して付いてこないでください!」
「何故あんな無礼者たちと話そうなどというのですか?」
自分の事は全く理解していないようですね・・・。
まずは彼を振り切らないとクロとはまともに話をすることもできそうにありません。
「色々と話したいことがあるだけです!あなたには関係ありません!」
イライラが溜まっていき、口調も荒くなってきてしまいます。
「私にはモガモガ・・・・」
私のイライラを察してくれた他の生徒が口を封じ押さえつけてくれました。
「ティファニール様。どうぞ、行ってください。コイツは私たちが押さえていますので・・・」
「ありがとうございます。皆さん!」
私はお礼を言い、クロが移動していった方へと走っていきました。




